10年前のイケオジな元カレと会ってきたエモい話

終わりと始まりのゴリラ

ゴリラと出会ってしまった瞬間のひどい遊び人ことヤング元鈴木

25歳の秋。
3年間、散々男達を連れ込んだ中野新橋の部屋ともお別れの時が来ていた。

新たな部屋でゴリラとの同棲が始まるのだ。
「俺こういうの得意なんだ」と言いながら、ゴリラが手際よく私のベッドやクローゼットを解体していた。

そのベッドやクローゼットは、全て歴代の男たちが苦労して組み立てたものだ。

私はそういった作業がとても苦手なので「やってくれよぉ！物心ついたばかりだからできないよぉ！」と駄々をこねて、全部男達にやってもらっていたのだ。

それをたった1人のゴリラが、全て解体している。

「今日記念すべきこの日から、私は生まれ変わるのだ…！」

私はその光景を見て、歴史の始まりと終わりに10秒ほどエモい気分に浸ってから、茶碗を新聞で包む地味な作業に戻った。

今の私を作るもの

生まれ変わった元鈴木と同棲中のゴリラ

30になるまで、みんながなぜ元カレ達にそんなにエモさを感じているのか理解できなかった。

しかし、今私はやっと理解したと思う。
元カレそのものがエモいのではなく、元カレが絡んだ歴史がエモいのだと。

今の私は元カレ達がいてこそある、と語る友人に、「ウソだ！私はあいつらがいなくても私だし！」
と啖呵を切ったりしたけれど、友人は正しかった。

元カレ達が関与し、作ってきた私の歴史を、最終的にはゴリラが仕上げたのだ。

そう思うと、どんな形でも私と過ごしてくれた皆様には感謝しかない。

イケオジとの同窓会をきっかけに、過去の男達に感謝ができる人間に、この歳でやっとなれたと思う。

ちなみに、この出来事を理系の妹とゴリラに「こんなことあったんだけど超エモくない！？」と話したところ

妹「トラウマかよ！お姉ちゃんまじクズ！」
ゴリラ「サイテー！しかし明大ラグビー部とか本当好きだよね！！」

と非難ごうごうだったことをここにご報告させていただきたい。

Text／元鈴木さん

次回は＜人は大きく分けて「決める人」と「決めてほしい人」になる話＞です。
告白やデートコース、お店、ファッションや趣味など…あなたは恋人に決めてほしいタイプですか？自分で引っ張っていくタイプですか？会社もカップルも夫婦も、2つの役割がお互いに相手を尊重するのがうまくいくコツなのかもしれません。

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