「ヤバい」オーラびんびん

そしてもう一方、夫婦連名ですらなく、もはや一筋のシンパシーも許さない孤高のお別れコメントをドロップしたのが、もう一挙手一投足が「ヤバい」オーラびんびんで目が離せない元貴乃花親方ですよ。

んー、もうね、名称なのか記号なのかもよくわかんない「元貴乃花親方」って呼び名がまずすごいよね。部屋もなく、弟子もおらず、家族もいなくなった無職の男。すごい。電気グルーヴの曲みたいだ。もはや貴乃花でも親方でもない、元貴乃花親方という存在がシュールで、呼び名だけでも十分面白いのに、あの異様に落ち着いた喋り方や独特のマフィア風ファッション、ひいきの整体師を通じてとある宗教に傾倒していたらしいというオカルティックなキャラも相まって、軽薄に言うと彼のキャラは、すっごくTV向きで、私たちを退屈させない。

そんな元貴乃花親方が、23年間も連れ添った景子さんと離婚。
思えば、あの全盛期の宮沢りえちゃんと、婚約発表からたったの2ヶ月で破局した男と同一人物なのである。ハッキリ言って、私は、あのときからこの人のことを「怖い」と思っている。何考えてんのかわかんない。だってだって、私たちのミューズ、ファッションアイコン、男たちの理想のガールフレンド、あのりえちゃんを捨てるなんて、頭おかしいとしか。破局の理由も結局よくわからず、なんとなく不気味なモンスターのような印象だけが残りました。
その後のりえちゃんの痛々しい男性遍歴を見ると(大きなお世話か)、その失恋が彼女のその後の人生に暗い影を落としたことはまず間違いなくって。

で、元貴乃花親方はといえば、破局の2年後には8歳年上の女子アナと結婚。
TVで披露宴を生放送したり新婚旅行を撮影クルー密着で放送しちゃってる彼を見るにつけ、私は「こっわ」という感想を抱いていたのです。

案の定、その後も実の母親や兄とも絶縁し、靴職人として家を離れた自分の息子との確執も垣間見え、「確実にヤバいんだろうけど、何がヤバいのかよくわからない」という感じでずっと目が離せない存在ではありました。

そんな彼が、23年も続いた結婚生活に幕引きするにあたって発した言葉が、「卒婚」。結婚生活を「卒業」する、いわば、円満離婚の進化版のような形態。
やはりここにも、「我々は一般人の理解の及ぶところでは生きていない」というステージの違いをアピールせんとする気概を感じずにはいられません。自分は結婚に負けたのではない、結婚という制度など卒業し、さらなる高みを目指す求道者である、と。 え? そこまで言ってない? でも、大の大人が、結婚生活に失敗したことを、なぜカッコつけて「円満」とか「卒業」とかポエムにしちゃうんだろう。

離婚しても後悔しないし、不幸でもない、と言いたいのはわかる。
でも、まるで結婚生活を続ける人たちを見下すような、自分たちはそこより1つ2つ上のステージから俯瞰で見てますよ、というようなニュアンスは隠した方が正解だと思う。たとえそう思ってても。

Text/ティナ助

次回は<地獄の「家のことちゃんとやるなら働いてもいいよ」ルール>です。
芸人からの暴言騒動で話題になったM-1審査員の上沼恵美子さんですが、ティナ助さんが興味をもったのは彼女の結婚してからの人生。関西では有名人だけど関東でそれほど知名度がないのには、夫からのある要求があって…?