“贅沢”ができない倹約家の夫と「金銭感覚の違い」で揉めないための工夫

by Alexandre Chambon

前回の記事では価値観の違う2人が一緒に暮らしていく難しさ、それでも上手くやっていくための工夫を紹介しました。

現在の夫と私は過去に3回離婚しており、今回が4回目の結婚です。前回までは入籍から比較的早い段階で離婚していたのですが、今回はなんと離婚せずに1年以上が経過……短気な私の結婚生活が1年続いた理由は、結婚離婚の繰り返しとともに行った価値観の擦り合わせの工夫が全てだと言っても過言ではありません。今回はおすすめのお店も紹介しつつ、どうやって価値観を擦り合わせて行ったのかを紹介したいと思います。

私たちのこれまでの離婚理由は

過去3回の離婚の理由は全て育った環境による“金銭感覚の違い”です。

私たち夫婦は2人とも旅行が好きなのですが、たとえば移動手段に関して、私は「旅先で元気に楽しむために移動は少しでも快適にしたい」という考えからグリーン車やビジネスクラスでの移動を選択します。一方で以前の夫は「高いお金を払ったって到着時間は同じだよ?」と言ってその日の最安値の移動手段を利用したがっていました。

また、夫はクーポンや割引特典などが大好きで、どこへ行くにしても、何をするにしても、必ず割引特典を探してきてそれを利用したがるのですが、以前の私は「そんなの探してる方が時間の無駄、それを探すのに費やす時間でもっと高い利益を得られるよ」と思ってしまうタイプでした。

とにかく経験させる

私と夫が最初に結婚したのは夫が22歳の時。私たちがそれまで生きてきた環境は全くの正反対でした。

私は中流家庭に生まれ、お金の心配は一切せずに進学、就職と能天気に人生を歩んできました。季節に1回は家族で旅行し、家族の誕生日にはちょっといいレストランで食事するそれなりに文化的な生活だったと思います。

一方の夫は幼い頃に両親を亡くしており、義務教育終了までは施設で生活、猛勉強して返済不要の給付奨学金を獲得し自力で進学した苦労人……“贅沢”とは無縁の人生を歩んできた人です。

夫は「高い席に座ったって到着時間は変わらない」「どんなに部屋が豪華なホテルでも眠ってしまえば部屋は見えない」「近所の居酒屋だって美味しいよ」と言うものの、そもそもその“高い席”も“豪華なホテル”も“贅沢な食事”も経験したことがなかったのです。とはいえ、大人になった夫にはそれらを楽しむだけの財力はあるのだから、どんどん経験させて、良さを教え込もうと考えました。

そして“贅沢”に抵抗感を示す夫をどうやって連れ出したのか……私の工夫を紹介します。

①横浜ベイホテル東急のインルームダイニング

テーブルマナーや食材への知識がなければ、どんなに素敵なお店に行ってもお互いに楽しめませんよね。出会った当初の夫はテーブルマナーを全く知らなかったので、まずはそれを教え込むことに決めました。

とはいえ、大の大人がレストランでテーブルマナーを指導されているなんて恥ずかしいですし、マナー本を渡して勉強させるのもなんだか嫌味です。勉強させるよりも「なんだか知らないうちに覚えちゃってた」という流れがいいなと思ったので、食事を楽しみながらさりげなく教えていくことにしました。

まず最初に連れて行ったのは横浜ベイホテル東急の“インルームダイニング”。

普通に誘っても断られるのは分かっていたので、「じゃらんポイントが5万円貯まっている!使いに行こう!」と言って誘い出しました。

ここでは保温庫に入った食事とカトラリーがセットされた専用テーブルが客室に運ばれてきて、あとは自分達で取り出しながらコース料理を楽しむスタイル。完全なプライベート空間でのコース料理です。これなら人の目もないのでリラックスした状態で、楽しくテーブルマナーを学べると思いました。

マナーを教えるときも「これがマナーだよ」と押し付けるのではなく、「パンを皿につけて千切ればパン屑が出ないんだよ」「お魚を切るときはこの方向で切ると身くずれしなくて食べやすいよ」「ナプキンを綺麗に畳んで戻すと“まずかった”ってジェスチャーになっちゃうんだって!」と、雑学披露のようにさりげなく説明。夫は「動作の1つ1つにちゃんと理由があるんだね」と興味を持ちながら習得していきました。これと同じように懐石料理は温泉旅館の部屋食で、中華コースも個室レストランで、とさりげなく教え込んでいきました。

ちなみにインルームダイニングではソファーで皿を抱えてメインを食べたり、ベッドに寝そべってデザートを食べたり、本来はかしこまったレストランでしか食べられない料理をリラックスして(お行儀悪く)楽しめるのでかなりお気に入りです。夫がマナーを習得した後も年に数回利用しています。

②ANAの会員の特典を利用

私は結婚前からANAのダイヤモンド会員で、クレジットカードは年間一定以上利用した人のみが発行できる“スーパーフライヤーズカード”をメインで使っています。そのため飛行機の搭乗券に交換できるマイルや、座席のアップグレードに使えるポイントがザクザク貯まります。

夫には日頃から「家賃とか光熱費とか日々の支払いでもマイルが貯まるんだよ」とさりげなくお得感をアピールし、旅行が決まれば「あっ、ポイントの有効期限がもうすぐだ!マイルとポイント使ってビジネスクラス押さえちゃうね!」と言って、夫との旅行では貯まったマイルとポイントを使って実質無料で飛行機を予約するようにしました。それだと夫も「有効期限が近いなら使わないとね」と言って好意的にビジネスクラスに乗ってくれましたし、そうこうしているうちにビジネスクラスに慣れた夫は「エコノミークラスはちょっと……」とお金を払ってでもビジネスクラスを選ぶように変化していきました。正直しめしめと思っています。

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