物欲が偏りすぎている

物欲がない、というわけではないむしろありすぎるほどあるのだが、物欲が偏り過ぎているのである。
特に今は「アイチューンズカード以外は欲しくない」と言っても過言ではなく、自己負担の2000円ですら「2000円分のアイチューンズカードが買えるではないか」と思うと惜しいのだ。
もしかしてと思い調べてみたが、今のところ返礼品にアイチューンズカードを出している自治体はない。
つまり、各自治体は一刻も早くアイチューンズカードを返礼品にすべきである、いろいろ難しいのだと思うが、これが実現すれば、村民全員の医療費学費を免除し、総金歯にするのも夢ではない。
ただそういうつまらない人間のために「トイレットペーパー」や「洗剤」という生活必需品を返礼に出しているところもある。
ふぐは食わなくても死なないし、むしろ食った方が死ぬ可能性が出てくるが、ケツを拭かなければ社会的生命に関わる。

ちなみにうちの実家は兄がふるさと納税をやっているらしく「みかん」を頼んだと聞いた。
同じ場所からひり出たはずなのに、兄とはセンスが随分違う。

このように、何もいらない、ケツも拭かない、という人以外には得なシステムと言えるのだが、当然知っている人しか使わない制度である。
ふるさと納税しかり、今は「知っている、知らない」で損得が大きく変わってくる世の中だ。
収入を上げるのは並大抵ではないが、知っていることで払わなくていい金を払わなくて済むようになることは多い。

つまりお金に対する「知識」が大事ということだ。

しかし、その知識さえもぶち壊すのが「しがらみ」という物である。
金に関する勉強をすれば「貯蓄型の保険なんてやめろ」と100万回ぐらい言われるのだが、それも身内の「保険に入ってくれないだろうか」の一言で水泡に帰す。
特にうちは「配偶者」がそれなので逃れようがない、

最近また「貯蓄に見せかけて実質マイナス」という情弱向け保険を更新したところである。

逆に言えばそういうものに入っている人間を簡単に情弱と笑わないでほしい、そこには損とわかっていてもやらなければいけない、事情というものもあるのだ。

Text/カレー沢薫

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