セクハラやパワハラへの対処は本人の意思を尊重して

配偶者がセクハラやパワハラを受けていることが確認できたら、「すわ、家族の一大事!」と思って、いきなり職場に突撃したくなります。

時には行動力が事態を良い方向に一気に解決することもありますが、ちょっと落ち着いて考えたいのは、被害者である配偶者がどう考えているかということ。被害者は配偶者であって、「私」じゃないんですよね。家族が被害に遭ったとなると、自分も被害者みたいな気持ちになるけど。

被害者の意思を尊重しないで、周りがやいのやいのと話を進めてしまっては、被害者は置いてきぼりになり、納得できない結果になってしまうかもしれない。あくまで被害者は本人だという意識で、本人の意思をできるだけ尊重すべきだと私は考えています。

告発するのは勇気がいること

セクハラやパワハラを職場で告発するのは、(残念ながら)とても勇気がいることです。

私の友人も職場で同僚に襲われたことがあります。襲われたなんてて大げさな…と思われるかもしれませんが、話を聞く限り、襲われたとしか表現できない状態でした。

友人からセクハラ被害(性被害)を告白されたときに、私は思わず「人事に相談した?」と聞きましたが、友人は「大事になると働きにくくなるかもしれないし」と躊躇していました。セクハラに対して、どれだけ公正に会社が対処してくれるか信じられなかったのです。

この辺が本当に嫌ですよね。

まだ日本では被害者が不利な対処を受けないとは、にわかには信じられないところがある。いじめを受けると、加害者ではなく被害者を違う学校に移すようなことが当たり前だったりしますし。

私の友人は最終的に、同僚からの被害を会社に告発しました。ただ、そこに至るまでに、同じ会社で同様の被害を受けた人から話を聞いたり、人事に一般論を聞いたりして、加害者が適切に罰せられ、被害者が適切にケアされるかどうかを事前に確認できたからです。

結果として、友人を襲った同僚は解雇されたそうです。その同僚は、既婚者で子どももいたそうなんですけど、その後、どうなったかは私は聞いていません。

最後の防波堤でありたい

セクハラやパワハラに限らず、家族の一員が何らかの被害を受けていたら、私はその被害から家族を守る防波堤になりたいと考えています。家族は最小の互助組織ですからね。

被害を受けていることをありのままに受け入れて、本人の意思を尊重しながら対処を考える……。言葉にするのは簡単なことだけど、赤の他人だととても難しいことです。

家族だからこそ寄り添えるというのはありますよね。ただ、家族がすべて抱え込むのは大変なので、時に専門家を頼るのも大切だと思います。

Text/斗比主閲子