「自分はこうだから、相手も同じだ」と決めつけない

あくまでもわたしの推察ですが、あなたは彼に自分と同じものを同じ分だけ求めているのではないでしょうか。
あなたが彼に対してヤキモチを妬いたら同じ分だけ彼にも妬いてほしい、自分が勇気を出して不満を伝えたら彼にも同じようにしてほしい、自分が真面目な話をしているときは彼も真面目に向き合ってほしい、といった具合に。
でもね、それは無理なんです。
そして、そのやり方で相手の愛情や熱量を測ろうとする行為も、結果的に空しくなるだけですからあまりおすすめできません。

彼があなたに普段してくれていること、体調を気遣ってくれたり、サポートをしてくれたりなど相談文に書かれていることから、あなたとは表現方法が違いますが、彼なりのあなたに対する愛情があるように感じ取りました。
ですから温度差が浮き彫りになったというわけではなく、あなたはヤキモチを妬く、彼はヤキモチを妬かないという性格や物事の受け止め方に違いが出ただけに過ぎないのです。

事実、パートナーに対して不満が何もない、全く嫉妬をしない、なんてこともあります。
かくいうわたしはヤキモチを妬かないタイプです。
ほんとうに、まったくもって、そういう感情が沸かないのです。
これは夫に対してだけでなく、過去の恋愛でもそうでした。
でも、だからといって「相手に興味がない」ということではありません。
ヤキモチを妬かない理由としては、相手のことを信用しているとか、ヤキモチを妬くメリットを感じないとかなんとか説明できなくもないですが 、乱暴な言い方をすると“だってそういう性格だから”が着地点になってしまうのです。

わたし自身はそういう考え方・性格ではあるため、想像したところで理解が及ばないかもしれませんが、世の中にはヤキモチを妬く人が存在することは認識しています。
だから、あなたが彼にヤキモチを妬くことを否定しているわけではありませんからね。

たしかに、ヤキモチを妬かない=相手に興味はない、という図式が成立する人もいるでしょう。でもこの図式はあくまでもその人の主観に過ぎないため、相手がヤキモチを妬いてくれない=私のことなんてどうてもいいんだな、と結び付けてしまうのは少し早計ではないでしょうか。

今回はヤキモチを妬く/妬かないにフォーカスを当てていますが、これに限らずお付き合いをしていたら価値観の相違を生じることもあるでしょう。
そういうとき、「自分はこう思う、だから相手も同じように思うはず」と決めつけてしまうのはおすすめできません。それでは歩み寄りのしようがありませんからね。
「あなたはそういう考え方なんだね」「こういう風に考える人もいるんだな」という認識を持つことがまず大切で、そこで初めて価値観の擦り合わせの作業に移れるのです。

それこそ、あなたが彼に対して不満を伝え、「何か私に不満があったら言って」という要望に対する「不満は何もないよ」という彼の返答は、一見冷たいようでいて「あなたはヤキモチを妬くタイプなんだね。でも僕はそうではないんだ」と自分とは違う考えだと認識したうえでの発言だと捉えることができますよね。
そういった彼の返答から「自分に対して感情がない」「温度差がない」と結論付けてしまうと、まとまる話もより複雑に、より困難になってしまいます。

もしわたしがあなたの立場だったら、相手がヤキモチを妬かない人だとまず認識をしたうえで、次に自分の中でどこまで許容できるかの判断をします。
自分の倫理的に絶対に許せないことではないのであれば、お互いの生活を侵害しない(自分との関係を疎かにしない、情報をきちんと正確に伝えるなど)という前提で、それは相手の個性の一部だとして受け入れる選択をすると思います。