その人生はアクション映画? それともラブロマンス?

 もし、あなたの人生を映画のジャンルに例えると何になるのでしょうか。
今までのウォルターの人生はジャンル分けできない。レンタル屋のコーナーに振り分けられないし、そもそも置いてさえいない。ポッカリと空いた穴を埋めるように空想し、空虚な片想いもそれで埋めてしまっている。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと LIFE! ベン・スティラー ショーン・ペン クリステン・ウィグ シャーリー・マクレーン アダム・スコット パットン・オズワルト キャスリン・ハーン 20世紀フォックス映画 アドベンチャー 空想 現実 ユーモア 人生 ラブロマンス ヒーロー 2014 Twentieth Century Fox

 時折、アクション映画にもラブロマンスにも変化を遂げる演出にビックリさせられる。まさに、ウォルターは突然ビルの窓ガラスを突き破り、スパイダーマン顔負けのアクションと、スーパーマンを凌ぐヒーローっぷりを見せるのだ。現実と空想が激しく行き来し、その分現実の退屈さを痛感してしまう。
シェリルへの想いもなんとも切なく、やるせない。「頭の中では上手く話せたのに!」って経験は誰でもあるはずです。だからこそ、カメラマン・ショーンを探し出す旅が劇的に思える。

 仕事、家庭、様々な事情があってとどまっているこの世界。そこから初めて足を踏み出した時、現実が空想を超える。その展開が見事で、思わずウォルターに自分を投影するかのように応援してしまうのです。

思わず「LIFE!」と叫びたくなる

 ウォルターは写真の中のショーンに「冒険しないか?」と手招きされていると錯覚し、未知なる冒険に旅立つ。
今までレンタル屋の片隅にも置かれなかったウォルターの人生が、次第にアクション映画、ラブロマンス等のコーナーに置かれていくほどドラマチックに。挙げ句の果てに新作映画のコーナー、そして劇場公開まで実現してしまうのだから奇跡としか言いようがない。

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 このメタファーとも受け取れる人生の変化が面白く、ただのアドベンチャー映画にしないところがさすがベン・スティラー。
前半のダイナミックな空想と、後半の劇的な現実。この対比自体がユーモアたっぷりで、観る人の映し鏡としてスクリーに描き出されるのです。

 ウォルターが“人生”の中で得たものは何か?
この映画はまさに「LIFE!」と叫んでいる。たった一度きりの人生を讃えている。写真の中のショーンが手招きするように、ウォルターもスクリーンから手招きしているのです。