冴えなくてモテないブスは整形で大成功?
『カンナさん大成功です!』

 こちらは体重95kg。でも舞台は“整形大国”韓国のショウビズ界だからもっと面倒くさい。
日本の同名人気コミックを映画化し、韓国で空前の大ヒットを記録したラブコメディです。

カンナさん大成功です! 2007 KM Culture co, ltd All Rights Reserved/KM

ストーリー

 歌手のカンナ(キム・アジュン)は誰もが聞き惚れる歌の才能があるのに、体重が95kgのブス。音楽プロデューサーのサンジュン(チュ・ジンモ)への恋も、想いを伝えられず殻に閉じ篭る日々。
そんなある日、思い切って全身を整形する。誰もが振り返る美女に生まれ変わったカンナは、自分を偽り“ジェニー”という名でサンジュンの目の前に現れ、歌手として成功していくが……。

誰だって好きな人に好かれたい…!

 カンナはイケメンプロデューサー・サンジュンをいつもこっそり観察し、ちょっと優しくされただけで天にも昇る幸せを感じる。そんなピュアな恋心が、まさかの全身整形を駆り立ててしまう……。
美女に変身したカンナが見る景色は、整形前と一変する。これが痛快です。 交通事故を起こしても優しくされ、駆けつけた警察すら親切。そして歌手としても大きく羽ばたいていく……。

 外見ってやっぱり重要なんだ! と思わずにはいられない世界の変動。それがあまりにも分かりやすくて笑っちゃいます。しかし、だからといって恋も上手くいくとは限らない。ただ好きな人に好かれたいだけなのに……。
“美しい=幸せ”とはならない運命が、カンナを待ち構えているのです。

「美しい女はブランド品。普通の女は既製品。あんたは……返品よ」

 これはブス時代、カンナが友人に投げかけられた言葉。やがて“ブランド品”になるカンナですが、“ブランド品”が必ず買われる保障はどこにもない。
この映画で問題視されているのは整形ではありません。他人にウソをつくことなのです。
名前を偽り、自分を捨て、更には痴呆症の父親の存在を隠して生きることが、カンナ自身を苦しめます。人の気持ちは騙せても、自分を騙すことはできないのです。
この「自分らしく」という普遍的なテーマは誰の心にも留まるはず。自分を失った人は、たとえ成功しても、それが自分の成功にはならないのです。

 クライマックスで、人気スターとなったカンナが多くの聴衆の前で独白するシーンには心をえぐられます。顔がウソでもその涙がホントだから、こちらもホントの涙を流してしまうのです。
“返品”にだって大成功の可能性はある。そんな希望を抱かせる作品です。

カンナさん大成功です!

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販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ