音楽とダンスが差別の壁を無くす?

 社会的に隅っこに追いやられた二つが団結する。そこに至るまでのプロセスが劇的で、これが実話であることを疑うくらい感動的です。

 炭坑労働者のストライキの集会に訪れた“LGSM”に対する白い目がリアル。マークの拙い演説が災いし、退席する人々で溢れ返る。しかし、次第に同性愛者たちの熱意が伝わり、一致団結していくのだから清々しい。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと マシュー・ウォーチャス ビル・ナイ イメルダ・スタウントン アンドリュー・スコット ドミニク・ウェスト パディ・コンシダイン ジョージ・マッケイ セテラ・インターナショナル パレードへようこそ 炭坑労働者 同性愛者 LGSM パレード プライド PATHE PRODUCTIONS LIMITED. BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE 2014. ALL RIGHTS RESERVED.

 印象的なのは、音楽とダンスが偏見と差別の壁を壊し、心を通わせていくシーン。集会で一人の女性が歌い出し、やがて全員が合唱しはじめる姿に涙を誘われる。

 過酷な境遇でも笑いが絶えず、ユーモアを忘れない人々の姿が素晴らしい。これは映画自体にも言える。「カルチャー・クラブ」や「ザ・スミス」など1980年代のヒット曲に乗せて、自由を勝ち取ろうとする物語をポップに描き出す。

  その軽快なムードは冷ややかな時代に対して、この映画自体が歯向かっているように見えてくる。それが、政府に抵抗するマークたちの姿と重なるのです。

誇りを賭けたお祭りに訪れる清々しい結末

 本作は、多くの女性が物事を進める鍵を握っている。
ステフは青年ジョーを“LGSM”に誘う重要な役割を果たし、シャンは田舎の人々の目を気にする夫を説得し、ヘフィーナは炭坑町全体を取り仕切る。

“男勝り”なキャラクターが勢ぞろい。もちろん、その性は男と女の二つに留まらない。様々な性の形が混じる中で、その明確な意志さえあれば同じ意志を持つ人々は集まり、やがて大きな力になる。

 たびたび橋を渡るシーンが挿入されるが、これはイングランドとウェールズを架ける橋。田舎から都市へ、すべての壁が取り払われる時、橋の意味がようやく分かる。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと マシュー・ウォーチャス ビル・ナイ イメルダ・スタウントン アンドリュー・スコット ドミニク・ウェスト パディ・コンシダイン ジョージ・マッケイ セテラ・インターナショナル パレードへようこそ 炭坑労働者 同性愛者 LGSM パレード プライド PATHE PRODUCTIONS LIMITED. BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE 2014. ALL RIGHTS RESERVED.

 反発する人々を描いただけの映画ではない。小さな町から全国へ、人と人とが分かち合う姿を描くから感動を覚える。
当然のことながら、それは容易くはない。タブロイド紙では「オカマがストに口出し」と書き立てられ、“LGSM”の支援を打ち切るか否か採決がとられる。

 それでも、悪評で得た知名度を利用し、ピンチをチャンスにして、資金集めのコンサートを開催する。そのパレードが“プライド”に聞こえた時、それは誇りを賭けたお祭りとなるのです。