どうして申し訳なかったんだろう。たぶん、セックスこそが相手に与えられる最大のメリットであると信じて疑わなかったからだ。一時的でもそれができなくなった自分は、充電切れのiPhoneとか、インク切れのペンみたいな存在である気がしていた。自分を卑下するだけじゃなく、男性に対しても失礼な発想だったと思う。

以前、この連載の中で不倫と期待値の話を書いた。相手に期待することは、傷つくリスクを負うことだ。「生理のときも普通に接してもらえて当たり前」という期待を持てば、そうじゃなかった時にとんでもなく傷つくことになる。
生理の件だけじゃなく、わたしもSちゃんもあらゆるシーンでギリギリまで期待値を下げて、自分を守りたかったのかもしれない。

Sちゃんとは、卒業以来おそらく一度も会っていない。今では連絡先も知らないし、手紙を渡す機会もない。Facebookで検索してみたら、今はもうママになっていた。

手紙を読みながら思い出したのだけど、当時のわたしは手紙に必ずオリジナルキャラクターを書き添えていた。手紙を受け取った友達全員が捨てるか燃やすかしていることを祈るばかりだ。

Text/白井瑶

初出:2019.01.24