永遠なるものたち

今はもう会えない人。泣くことも憚られる人。思えば嫉妬心が彼女との距離をあけてしまった

コントロールが難しい嫉妬という感情。恋愛だけでなく、仕事やプライベートの関係でも、他人と比較することで自分の中に複雑な感情が蠢きます。今回は姫乃さんが感じた嫉妬と、そこにある寂しさを綴ります。

 自分を好きになってくれない人や身勝手な人ばかり好きになり、不安定な恋愛関係に陥ってしまう女性たちへ。
「私は最初から私を好きじゃなかった」――自己肯定感の低い著者が、永遠なるもの(なくしてしまったもの、なくなってしまったもの、はなから自分が持っていなかったもの)に思いを馳せることで、自分を好きになれない理由を探っていくエッセイ。

永遠なるものたち 003
「戦場のガールズ・ライフ」

カフェでパソコンをする寂し気な女性の画像
by Christin Hume

 幸い私は大人になったので、もう他の女の子と同じ制服を着ることも、試験の結果や、誰のほうが異性に好かれるかで順位を付けられることもありません。あれだけ煩わされたはずの、女の子同士の嫉妬心とか、僻み混じりの羨望とか、そういった感情もいつしか忘れてしまいました。

 この原稿が行き詰まって、そろそろ一週間が経ちます。

 私の方から、「新連載なので、最初はわかりやすい話を書きましょう」と編集さんに提案したのですが、女性同士の嫉妬心とか、そういった具体的なテーマを与えてもらうと、一向に書ける気配が訪れませんでした。いつかはひどく執着していたはずなのに、ちっとも思い浮かばないのです。ああ、弱音を吐きたい。でも私には、弱音を吐けない理由がありました。

 まだ私が一冊のエロ本にしか連載を持っていなかった頃、とあるライターの女性が、「締め切りが溜まって執筆が追いつかない時、自分はライターに向いていない気がして落ち込む」というようなツイートをしていて、少し羨ましく思ったことがあるのです。当時は、締め切りが溜まるほど仕事のある人が、ライターに向いていないわけがないと思っていたからです。

 いまの私は困っているから弱音を吐きたいだけで、昔の私みたいに、誰かから羨ましがられる対象なのかもしれないと想像すると、それだけで気持ちが塞ぎます。弱い私など羨ましがられても、ますます困ってしまいそうです。

 あの頃の私は10代でしたが、思えばまだ嫉妬心のようなものがあったのかもしれません。しかし、いまはそれも遠い昔のことみたいです。

 溜め息をつきながら原稿を諦めて、パソコンで別のウィンドウを立ち上げました。

 最近、自分の新しいホームページを作るために、過去に出版した書籍や、主な連載などをまとめているのです。あれこれ懐かしみながら資料を探しているうちに、ふと、岡崎京子のトリビュート本に、私の写真が掲載されたことを思い出しました。しかし、肝心のタイトルが思い出せません。岡崎京子……なんだったっけ。