イバラの中で死なない方法

『私が死ぬか、相手を殺すか』ってアンタ…お役所勤めの堅実な女性像からはまるでかけ離れた物騒さです。まずは一旦落ち着いて、その振り上げた包丁を下ろしましょうね。そして周りを見渡してみましょう。一面に広がるイバラの森の中で、立ち尽くしているのが今の状況です。
長年にわたる既婚男性への片思いからの出口が『あるんだろうけど見えません』とおっしゃるほととぎすさん。それでは生きて脱出する方法を一緒に探してみましょう。

イバラの森から抜け出すには以下の方法に集約されるのではないでしょうか。
ズバリ“もと来た道を戻る” “防護服を着て歩み続ける” “焼き払う”の3つです。

“もと来た道を戻る”というのはカンタンな話、諦めてしまうということです。そもそもフツウの恋愛の場合ですら、4年も片思いが続いてしまっている状況と聞くと、まあ…残念ながら望みは薄いんじゃないですかね…? という感想が出てきてしまいます。
望みが薄い恋を諦める。それはごく一般的な処置ですよね。もちろん引き返すにしてもイバラは生い茂っていますから、擦りむいたりトゲが刺さったりはあるでしょう。でもそれは、恋に破れた誰もが負う痛みです。どんな恋愛にしろ、引き際に無傷でいられることはないのですから。

それでもやっぱり諦めきれず、イバラをかき分けて進んでいくことを決意した場合でも、あんまり痛い思いをするのはイヤですよね。それならば“防護服を着て歩み続ける”のもひとつの手段です。自分の身を守って、少しでもラクな状態で片思いを続けましょう。要は他の男性にもちょっと目を向けてみて、軽くもう1コ恋愛してみませんか? という提案です。

ただの防護服だから、運命の相手をホンキ出して探す必要はありません。お遊びでも手慰みでもいいのです。ただフと辛いときに「私にはこの人だけじゃない」と思える、どうしようもなく寂しいときに「仕方ないから他の人で穴埋めしちゃお」と代替できる、ただそれだけで、気分って軽くなるものではありませんか?

どうやら二股されがちなほととぎすさんに、二股することを提案するのはなんだか非常識な感じもします。でも前の彼も、前の前の彼ももしかすると、しんどい実生活を生きるための防護服を必要としていたのかもしれませんね。

そんなんじゃ満足できない! 他の恋なんてもうできるワケがない! と頑なに信じるのであればもういっそのこと、イバラの森ごと“焼き払う”のが手っ取り早いです。世間体だの将来だのは、もはや関係ありません。その既婚男性に手を出しましょう。止まることを知らない恋心を実行に移しましょう。その結果、恋の炎がメラメラと燃え上がるか、くすぶって終わってしまうかは分かりませんが、少なくとも視界は開けます。

ただし、焼き払ってイバラの森が見事に消え去ったとして、次は火の海か焼け野原のどちらかを歩んでいかなければならないことも確実です。それはそれで相当苦しいはずですがほととぎすさんは、イバラの中で包丁を構えているのと、炎と煙に巻かれるのとでは、どちらがマシだと思われるでしょうか。