「2番目の女」を続けないプライド

私が固まってしまったので、ミサさんも「まずった」と思ったのでしょうか。不倫相手のことに話題を戻してくれました。

ミサ「ほんとのところを言えば、今の彼はずっと好きで、もう家族みたいな感じなんですよね。でも、彼が私を好きでいてくれるのは、私が(普通の女の子と違って)甘えたりしないで、彼を楽しませることができるからなんです。でも、それって結婚したら無理だから」

確かに、結婚するような相手へずっと”自立したカッコいい私”なんて見せられない。「もう仕事もなにもがも上手くいがない~だすけて~!」ともたれかかりたい日もあります。
でも、不倫ではそうはいきません。会える日も限られてるのに、自分のわがままなんてぶつけられない。最高の笑顔で接してあげたい。そんな最高の笑顔を見せて過ぎた、10年。

ミサ「だから、ちゃんとわがままいったりケンカできる人といつか結婚するぞ! って、毎日思ってるんです」

彼女は「2番目の女」のリスクを誰よりも知っている女性でした。そりゃそうか、10年もやってるんだものね。正妻の立場でばかりものを考えて、好きな人に甘えっぱなしの覚悟のない女は、私のほうでした。

ミサさんと別れてから、和菓子をお土産に買って帰りました。「本当の彼氏」へ、たまには最高の笑顔を見せなくては、と。

☆個人の特定を避けるため、職業や場所を一部改変しています。ご了承ください。
☆次回は《「孫よりも愛してる」還暦の初恋不倫》編です。

Text/トイアンナ