婚約って、幸せ?

 と・いうわけで結婚の約束は取り付け、心は躍っていました。結婚式というとんでもない代物をすっかり忘れて。
でもそれは「世界がきらめいてる!ハッピー!」という感じとは程遠いものでした。

 もう戦わなくていんだ、という安堵のため息でした。

 田舎の宿命として「結婚適齢期が早い」というのがあります。
大学へ入っても「大学なんて、女が行ってもしょうがない。さっさと結婚しなさい」、就職しても「総合職なんて、女なのにみっともない。24歳までには結婚しなさい」。

 そんな意見を無視してキャリアを進めても、年齢を意識させられる出来事は山ほどありました。後輩の結婚。合コンでちやほやされなくなる、25歳の壁。毎日殴られっぱなしで「でも、私にはキャリアが!」と踏ん張っていた10年弱。立ってるの、もう限界。

 私の道は確かに明るくなりましたが、それはいつもの空が快晴になったのではなく、立ち込めていた暗雲が消えてくれた、光でした。

ステータス「婚約」の無駄遣い

 さて、結婚することになった、という報告を誰にするか。例の33歳で出産を誓い合った仲間は、全員当時の彼氏と別れていたので連絡できない。とはいえ、私の周りはこれまたバリキャリ女子だらけなので、なんとなく報告しづらい。

 頭を抱えていると、ポップアップするLINEが、1件。連絡を絶っても絶ってもコンタクトしてくる、元彼でした。

「あ、結婚するからもう連絡してこないでくれますか?それじゃ」

--親より先に、元彼のけん制に結婚ネタ使っちゃったよ・・・・・・。死にたい・・・・・・。

 でも、こうして結婚を盾にできるようになったことで、初めてパートナーに守ってもらえた気もしました。「守る」には身を挺する以外にも、いろいろな方法があるんだなと。

☆次回は、結婚式場探し編です。

※年齢、場所などは一部修正して個人情報がばれないようにしています。ご了承頂けたら幸いです。

Text/トイアンナ

初出:2015.06.18