繊細な「しれっとオジサン」

オジサンがずっと誘われ待ちで場にとどまり続ける理由を考えた時に、ふと思い出したのは、たまに男性が口にする「男は繊細だから」というセリフです。

わたしは長らく、男性が繊細だなんて大嘘だと思っていました。だって、吉野家が最高に美味いとか、一度脱いだTシャツのにおいを嗅いでもう一度着るとか、周りがビックリするくらいの大きな声でくしゃみをする人とか、ちょっと谷間を見せた服を着ているだけで「ヤレる」と勘違いする男たちの、どこが繊細なのか。

しかし、自分が同じ状況に置かれた場合のことを考えると、オジサンはもしかして繊細なのかも、と思ったのです。

だってオバサンは、誘われてなくても、その飲み会に参加したければ「わたしも参加して大丈夫?」とか「誰でも参加できる会ですか?」と確認するくらいは出来ます。たとえ「身内だけだから」とか「ちょっと無理かも、ごめんなさい」と言われたところで、いちいち傷つきません。誘って断られると、拒否されたと感じて傷つくオジサンは、確かに繊細とも言える。

「『帰れ』と言われてない」だけなのに「誘われた」ことにするのは、決して褒められるものではない、老獪でこずるさが漂う行為です。もちろん、オジサンの繊細さに、他の人々が配慮しなくてはならない謂れもまったくない。

だからオバサンのわたしが、「しれっとオジサン」から何か学ぶことがあるとすれば、参加が望まれていない飲み会に、なし崩しに、もしくはゴリ押しや口八丁で無理やり乗りこむのはやめたほうがいいということでしょうか。もっとも、そんな飲み会には、最初から空気を読んで、参加しようとはしない気もしますけど。

オジサンはなぜ誘われてもいない会に参加したいのか……まぁ、アレですよね、若い女の子と、お近づきになれることを期待しているからだ。本当に身の程知らずですね(笑)。

Text/大泉りか

初出:2018.09.12

次回は<恋人ができても子供ができても、女の友情はいつか必ず元に戻る >です。
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