子はかすがいで起爆剤

 わたしの怒りの前提として、先月の終わりごろから息子の離乳食を始めたのになかなかに食いつきが悪く進まない、ということがあります。それが、いま最も悩んでいることのひとつでもあり、なんとか息子が離乳食を快く食べてくれる方法はないかと、あれこれと調べているところ。
その過程で、保育士さんから「両親がご飯を食べている楽しい雰囲気の中であげるのがいい」というアドバイスをいただきました。さっそく、実際に一度か二度ほど試してみたのですが、まるきり無駄で、「わたしたちの食事の邪魔をすることに夢中になるだけで、離乳食は食べない」という結論に達していたのです。

 だから、その日も、「お昼に離乳食をあげようかな」と少し迷い、「でも、雰囲気に流されて食べてくれるわけじゃないことはもうわかってるし、新しい食材を試すわけじゃないから、いつも通りに夕方にしよう」と決めていたのです。そういうことを当然知らない夫の「いいこと思いついた!」とばかりの発言が、「なんにもわかってないくせに!」と、わたしの怒りの導火線に火をつけた。

 つい相手を嫌な気分にさせるような、厭味ったらしい言葉を発してしまったこと、「そういうこと言わせんな!」という逆ギレの気持ちも合わさって、怒りにドシドシと床を踏み鳴らしながら、冷凍してある食材をレンチン解凍して離乳食を用意しました。そして、ぶすっとしたままテーブルに置き、「あーあ」とため息をついて腰を下ろし、離乳食の容器に手を伸ばそうとしたところ、夫がその器を取って、息子を膝に乗せ、離乳食を与え始めたのです。まさかの!自主的行動!!!

 空気を読んだのか、夫が自分から進んで役割を担ってくれたことで、すっと怒りが収まりました。もしも夫が自分の食事を中断することなく、わたしが息子に離乳食を与えるように促していたら、怒りのポイントカード(貯まると何かが起きる!)にひとつハンコが押されていたことと思います。

 子はかすがいといいますが、時には起爆剤にもなります。母と父となったわたしと夫には、これまでにない困難が降りかかっているように思えます。けれども「相手と仲良く暮らしていきたい」という願いを忘れることなく、きちんと具体的な行動でその気持ちを示すことだけが、地味ながらも困難を乗り越える方法ではないかと思うのです。

Text/大泉りか

次回は<「好き」だけで結婚してもいいけど……出産後に夫を粗大ゴミ扱いしないために>です。
夜泣きがきっかけで「…この人が息子の父親でよかったって思った」という大泉りかさんのツイートが1万RT超え!そんな旦那さんの育児に対する振る舞いから学ぶ、結婚相手に最低限求めるべき条件とは、一体なんでしょうか?