その3: 数百〜千人規模の立ち見形式なライブハウスの場合
ブルーノート東京〜LIQUID ROOM〜Zepp Tokyoなど

鈴木みのり エロしぐさ Rick Camacho

 ライブハウスクラスになると、本気なバンド好きや音楽好きが文字通りひしめきあっているので、ヘタに色気づいた気持ちで参加すると痛い目に合いそうです。なので、ライブ中よりライブ後のファンの集いに同行できるよう努めてみることをオススメします。

 ライブ鑑賞で汗をかいた状態でバーカウンターや会場前に行き、タイプの男性がいたら濡れた自分の身体をアピール。知識と感性という武器を手に、音楽についてコアに語り合いたい嗜好を持つひとは男性に多そうですし、肉弾戦が繰り広げられるライブハウスに足を運ぶとなると男性が中心になるため、そこに女性がいるだけで目立ちやすい。モッシュで転んだりしたら、助けてくれることもあります。

 そう言えば、BiSのライブに初参戦したとき、ライブハウス慣れしていないわたしはいつも履いている10cmのヒールで最前線におり、幸い事故はありませんでしたが、後に「危ない」ととがめられたことがあります。

 ライブハウスでは女性性を身にまとうのもほどほどにしておいた方が良さそうです。
ただし、ブルーノート東京やビルボードライブ東京などのバブリーなライブレストランならば、あえて『ブライズメイズ』ばりのボディコンとヒール靴でイケイケにやれます。

まとめ

 たとえば電車に乗っているときなんかに、「目の前に猫背で座ってるNe-netのにゃーTシャツ着たこの女性は、能年玲奈ちゃんかわいいなあって先週まで『あまちゃん』毎日3回見て大友良英さんのサントラももちろん買って、大学のともだちに『サマーヌード』は山Pの曲じゃなくてもともと真心ブラザーズの曲なんだよ! と熱弁、マ、10コ離れたお兄ちゃんの影響で知っただけなんだけどね、って言うかなにげに山Pカッコよくて好きだし……なあんて密かに思ってて、でもバイト先の本格派炭火焼きハンバーガー屋ではジャニーズとかEXILEとか小バカにして来週末のSEKAI NO OWARIのライブ楽しみだねーなんつって、帰りの井の頭線の車中iPhoneでサイゾーウーマンをチェックしつつ、最近AMおもしろいよねってこの連載読んでくれてるのかなあ」などと、このコラムを読んでくれる「文化系女子」の像をつかもうと勝手に想像をふくらませて仮想読者と設定。

 形だけではわからない、とは言え形でわかるものもある、って言うかだいたい表面と中身はつながっている。単純に山Pカッコいいって思うならジャニコン行ってチャラい気持ちになったって良いと思うんだ、文化への嗜好を自己表現とすることにがんばりすぎなくたって良いんだよ、ってそもそも彼女が山Pカッコいいと思ってるかどうか知らないけど。

 ヤ、もしかしたら、ふだんはにゃーTシャツ着てたって週末は、アメアパのビスコースTシャツにタンクトップも合わせてAlexander Wangのミニスカ履いてAcneのハイヒールブーツをカツカツ鳴らしながら青山のクラブに行って、ヒョンと太めに釣り上げた濃いパープルのアイライン(THREEで買った)がよれてぼやけたっていいじゃないかとシャンパン片手にイエーイ! ってな具合に男とくんずほぐれつ朝まで飲んで騒いで遊んでる、のかもしれませんが。

 シャンパンは苦手なわたしですがこの秋も、同じくらい場違いなカフェラテ持ってモーニング娘。のコンサートのため武道館に乗り込んで、トイレで推しメン・小田さくらちゃんのTシャツに着替えたら、10cmヒールで踊りながらラベンダー色のサイリウムを振ろうと思います。

 次回は、「静かな図書館で使えるエロしぐさ」をお届けします。

Text/鈴木みのり

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