心が閉じている人が気になるのは救世主になりたいから?

J:今までに自分が好きになった人と、好きになられる人のタイプは同じですか?

真:全く違います!好きになるタイプは、同性から好かれる明るい人。好きになってくれる人は暗い人。

J:暗い人って具体的にどんな人?

真:友達が少ない、ひねくれている、簡単に人のことを友達と言わない。
そういう閉じている人のことを知ろうと思って仲良くしているうちに、気がつくと好かれてしまうんです。

J:でも、最初にその人のテリトリーに入っていってしまうのは真由美さんのほうなんですよね。
そういう人たちは「自分の中に入ってこないでくれ」と塀を高くたてているので、それを乗り越えて入ってきてくれる人にすごく価値を感じるんだと思うんですよ。

真:(笑)。そうですよね、わざわざね。

J:そうですよ。鍵までかけているのに、ガチャガチャって入ってくるんですもん。
心を閉ざしている人は「人と絶対に関わりたくない」と固く決意しているというよりは、とてもナイーブで繊細なゆえに、過去に人間関係で自分の期待を裏切られ傷ついて、それで人間関係がわずらわしくなって人と距離を置いているんだと思うんですね。
そうやって心に鍵をかけたのは自分なのに、実は寂しかったりもするからガチャガチャ鍵を開けようとする人がいると「この人は分かってくれるかも」って真由美さんのこと好きになるんだと思います。
でも、そういう人のことは実は好きじゃない?

真:好きじゃないですね。
今も興味はありますが、付き合うと相手がすべてを共有していないとダメになってきて、苦しくなるので。そこから別れるまでもすごく時間がかかるので、もう繰り返したくないですね。

J:じゃあ、今まで「恋愛したってまた前と繰り返しになる」と思っていた気持ちが、また恋愛したいという気になったのは、どんな心境の変化からなんですか?

真:二人きりでしか会えない人じゃなくて、自分の家族と、友達と一緒に会ってくれる人って、素敵だなって思えるようになって。
そういう明るい人に今まで振られてきたけど、付き合えればいいんだ、だから、来た人を変に受け入れたり「変わった人が好き」っていう発想はやめようと。

J:「変わった人を受け入れてきた」というか、真由美さんが自分から突っ込んでるんだと思うんですけどね。
閉じている人たちは一番傷つきやすくて臆病な人たちだから、何もしないのに自分から来ることなんてほとんどないと思うので。
ちょっと変わっている人とか、「この人もう少しこうやってやったら、もっと楽しそうなのにな」と突っ込んでいくというか。そういうのをメサイアコンプレックスというんだそうです。私も心理学は詳しくないのですが。

真:メサイアコンプレックス?

J:いわゆる救世主。閉じている人たちにとっての救世主になりたくなるんですね。
私も若いときはやっていたんですけど、「彼らと社会の架け橋になるんだ!」なんて、そこに自分の価値観を見出すんですよね。
でも、それって逆に考えると自分に自信がないだけなんですよね。だから人に必要とされることで自尊心が満たされるというか。共依存。

真:必要とされていると感じたいというのはあると思います。

J:でも必要とされることにおなかいっぱいになったりすると、付き合った期間が無駄だったと思っちゃう。