殺気立った面倒な日本人女性の客

例えば、こんな具合です。
30後半の日本人女性客にご飯をよそってサーブしたところ
「普通こんな米、出さないですよね? ありえないんだけど」
と言ってきました。

もし、この店が超高級日本食レストランで、全ての食材を日本から空輸で取り寄せている、というのなら分かります。
でも、そのレストランは高級というわけでなく、米も日本米に近いものを使っている状況です。
なので、日本程美味しいホクホクのご飯の再現は不可能に近いわけです。

そういうこと、パリに住んでいる日本人であれば「しょうがないよね」と分かるところですが(『文句あるなら超高級店に行け』と言いたいところ)日本食レストランで日本人の店員が米を出して来たら、ついつい日本と同じで当然、と思って威張ってしまうのでしょうか。
だからって、そこで日本人店員につらくあたるのは、フレンチの店でフランス人店員に強く言えない分八つ当たりしているという風にしか思えません。

こういうケチをつけるのは本当に日本人ばかりです。フランス人はちゃんと日本食と日本人にリスペクトがあるとすら感じます。

さらに、この客の不機嫌に心あたりがありました。

この日、フロアには彼女1人と、ちょっと離れた席に6人くらいの日本人男性が綺麗な女性を囲んだ二組しかいませんでした。
その米にいちゃもんをつけた女性は、6人のグループの後に到着し、そのグループが欲目に付くところに一人で座り、じーっとグループの方を観察しているようでした。
そのグループの男性1人がトイレに席を立つと、その女性はその男性を追いかけるように同じくトイレへ。
2人はなかなかトイレから戻ってきません。

詳しくは分かりませんが、端から見ていても彼女の背後には殺気というオーラが漂っていたのでなにかの修羅場だったのでしょう。

まぁこの女性は特別腹が経っていたのでしょうが、こういうレストランの日本人客だけでなく日常で出会うパリの日本人女性は、結構めんどうな人が多くて私なんかビクビクしてます。

来週も引き続き、他にはどんな面倒な日本人女性がパリに生息しているのかお話してみようと思います。

Text/中村綾花

初出:2013.12.22