隣人にクレームのはずがナンパされる

 ミラノからパリに戻ってきてホッとしたと思いきや、最近引っ越してきた隣の建物の住人が夜中1時、2時になっても爆音パーティーを止めないという災難に遭いました
同じ建物内であれば訪問して苦情を言うこともできるのだけれど、爆音スピーカーを備えたその部屋は隣の建物。
パリのアパートは玄関に住人しか分からないコードがあり、その番号を知らなければ中にも入れないので苦情を伝えに行くこともできません。こういう時に限って旦那さんもおらず一人ぼっち…。

 夜中3時を過ぎるもお隣さんはさらにヒートアップし窓も全開で近所中に響き渡る奇声を発し始めました。これはもう警察に電話するしかないな、と思いベッドから起き上がり緊張しながらも17というフランス警察番号を押しました。
警察に「これは何回目の電話ですか?」と聞かれて驚きつつ「私の人生で始めての電話ですよ」と返答。つまり警察がこう聞くのは、土曜日の夜だったのであらゆるところで騒音騒ぎがあって何度も何度も電話する人が大勢いたからだと思われます。
とりあえず警察は事情を了解してくれたものの、いつまでまっても来る気配もない。そうこうしているうちに気付いたら夜中の4時半。
それでもお隣は静まる気配もない…。
体は疲れているのにイライラのせいで眠れず冴えた頭で考えた挙句、「そうだ! 窓づてにお隣さんと話して苦情を伝えればいいんだ」と思いたち、キッチンの窓から顔を出して人影の見える隣の窓に向かって 「エクスクーゼモア!(すみません)」を響かせること5、6回目。
ようやく窓から顔を出したのは意外にも40代の大人のムッシュ。私はすっかり若い人たちのバカ騒ぎだろうから叱ってやろうと思ってたのに…
「すみません、眠れないので音を小さくしてもらえませんか?」と及び腰に。
するとムッシューは謝るどころか
「君、名前は何ていうの? 一緒に飲もうよ、一人かい?」
と、私を誘い始めたのです。
相手の予想以上の反応に脱力して終いには「シルブプレ~」と悲願し始めてしまった私。
「そうだ、ここはフランスという外国なんだった…」
いつまでも来ない警察と、騒ぎ続けるお隣さんを恨みながらベットに身体をうずめ朝を迎えたのでした。

ほんと、海外ってびっくりすることが多いです。
その度に怒り心頭していたら神経がパンクしてしまうと思います。
「もう、しょうがないやね」と諦めることも大事だなと思う今日この頃。
だからフランス人はしょっちゅう※「c’est la vie(それが人生)」ってつぶやいてるんでしょうね。

ともかく海外ではいろいろと覚悟しつつも身の危険を感じたらばケンカせずに逃げるが勝ち、諦めるが勝ちなのかもしれません。海外へご旅行の際はくれぐれもお気をつけて楽しいゴールデンウィークをお過ごしください。

※c’est la vie:セ・ラビ=どうしようもないとき、諦めの意をこめて使うことが多いフレーズ 

Text/中村綾花

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プロフィール

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中村綾花

ラブジャーナリスト/ライター。
1980 年福岡県生まれ。県立長崎シーボルト大学(現・長崎県立大学シーボルト校)国際情報学部情報メディア学科卒。
テレビ番組制作会社でAD として勤務するも仕事に疲れ果て、ニューヨークに1年間逃亡&遊学。帰国後は20 ~ 30 代サラリーマン向けフリーペーパー& ウェブサイト『R25』(リクルート)で執筆や編集を務める傍ら、男女がもっと分かり合える場を作る「男の子の会」を主宰しNHK ニュースで全国放送される。しかし、そこに映る自分の姿に絶句し、2010 年に「世界婚活」プロジェクトを立ち上げ、世界各国の恋愛・結婚事情を取材して回りながら婚活も行うラブジャーナリストとして活動開始。
2012 年、世界婚活中に出会ったフランス人と結婚し、現在はパリにてLOVEを調査中。日仏カップルや、現地のフランス人・日本人にインタビューをする日々。
website:[世界婚活]
twitter:@ayakahan