「セーターに穴」がパリジャンスタイル

私が始めてパリを訪れた数年前、世界婚活動リサーチ貧乏旅行だったので道中ユニクロの薄汚れたねずみ色のパーカー&ストレッチジーンズという出で立ちでパリをウロウロしていました。
華の都パリなのに…とちょっと惨めな思いをしていたのは最初だけで、パリの図書館付近で見かけた学生や、街中で見かけるパリジャンたちを見ていたら自分が妙にこの街に溶け込んでいることに気付いたのです。

「パリ=ファッションの街=みんなオシャレ」という私の勝手なイメージは、パリジャンの着ていたボロボロセーターwithけたたましい毛玉やヒジやワキ部分にぽっかり空いた穴、手洗いしたら黒い汁が出てきそうなズタボロ・エコバックを見て完全に撃ち砕けました。
もう何年も使い倒された彼らの服を見ると、日本人だったら「みすぼらしい」と、絶対に捨ててしまうほどのものです。

私が東京に住んでいた時は「ご褒美」という言い訳のストレス衝動買いでシーズンごとに増え続けるのが服だと思っていました。
でもパリに来た途端に物欲が萎え、いかに安く面白いものを蚤の市で見つけるか、という方に興味が変わってきたのです。
ただし、帰国した際に渋谷なんかを歩くと物欲が一気に目覚めてしまい我慢するのが大変です。渋谷ですれ違う若者の服を改めてみると妙に小ぎれいだなという印象も受けます。

そもそも、パリには東京ほどモノが溢れていないし、お金もないし、見てくれ以外のもっと違うこと(例えばヴァカンス)にお金を使ったほうがいいよね、とパリジャンたちは思っているようなのです。むしろ見てくればっかりに気を使っている人は中身が無くてかっこ悪いとすら思われるほど。

ただ、年に何度か開催されるセールでは、それまで物欲なんて一切見せなかったケチケチパリジャンたちが豹変します。 セール開催前に下調べ&試着をするために店を訪れ、セール当日は速攻狙ったものをお買い上げという姿が見られるのです。セールで獲得したものをまた何年も大事に使い倒すんですね。

なんとパリジャンの貧乏ファッションだけで今週は終わってしまいました。
来週以降パリジャンハッピー貧乏ライフについてお話を続けようと思います。
ではまた!

Text/中村綾花