モラ夫と別れられない理由

――モラ夫の共通点を聞くと、お付き合いや結婚を継続していくのは難しい人だなと思います。なぜ、女性はモラ夫と付き合い続けてしまうんでしょうか。

本田先生

いつも悪い人なわけじゃないんですよ。さっきまで楽しく話していて普通だったのに、何かのきっかけに説教が始まり、「お前は俺を怒らせる」と言われる。だから「今度から気をつけないと」「私が悪いんだ」「努力が足りない」とか思っちゃう。

――たしかに、いつもいい人なら「たまたま機嫌が悪かったのかも」「怒らせちゃったから」とか思っちゃいそう…。

本田先生

それに、モラ夫は徐々に相手を弱らせて「支配」するのがうまいんです。
たとえば、奥さんが料理上手な女性だとします。付き合い始めの頃は、料理をすごく褒めてくれたのに、そのうち「こんなもの食べられない」と文句を言い始めるんです。そうして、モラ夫は、相手の得意なことや好きなもの、自信を持っているところを侮辱して自尊心をつぶしていきます。
他にも、妻が習い事をしたり、資格取得のための勉強をすると「そんなことして今更何になるんだ」「おまえに教えてもらう生徒が気の毒だ」と楽しみや向上心もつぶします。

女性の自信や向上心をなくさせて、自分で考えたり反論する力を弱まらせて支配するんです。マインドコントロールのようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。

――よく、モラハラ被害者に「逃げればいいじゃないか」なんて言う人がいますが、逃げる力を奪ってしまうんですね。

本田先生

その通りです。誰かに相談しようにも、友達や実家との付き合いを制限されていたり、周囲から孤立させられていることも多いので、身近に相談相手が少ないこともあってモラ夫のことをモラ夫と気づけないんじゃないかなと思います。

――手口が巧妙すぎてこわいですね。

本田先生

モラ夫はいい人のふりをするのがうまいし、用意周到で、見抜くのは難しい。
被害女性の方々は、モラ夫に人格を否定され続けた結果「自分らしさ」を失くしていきます。だから、相手があなたの好きなことや得意なことを含めて「自分らしさ」を否定してきたら、おかしいなと思ってください。