好きだからやる。自分のために。

たまに「ライターになるにはどうしたらいいですか?」「やりたい仕事があるのですが、何をすべきでしょうか?」というような相談を受けることがある。

私の場合は偶然だ。でも、何か叶えたいことがあるのなら、目の前のことをコツコツやり続けるしかないのだと思う。私の周りには、アーティストやカメラマン、漫画家など、自分の好きなことをしている人がたくさんいる。もちろん、才能があって、色々な人から認められたからこそ趣味を職業に変えることができたわけなのだが、最近は努力を努力と思わないで何かひとつのことに集中し続けられるのも大きな才能なんじゃないか? と思うようになっている。

突然、自分の人生が劇的に変化することなんてない。何もしていないのに才能が認められることも、人からの評価が変わることもない気がする。なんだか夢がないな、と思う。けれど、たとえお金にならなくても、見てくれる人がいなくても、評価されなかったとしても、自分を信じて地道にやっていくしかない。好きだからやるのだ。自分のために。その結果として、何かにつながることもそうでもないこともあるだけだ。

この連載が、150回目や200回目を迎えることはあるのだろうか。わからないが、もしあるならその時までに、また本を出したり、新しいことに挑戦できたら、と思う。もちろん、未来のことがどうなるかわからない。今、こんな風になっているだなんて全く想像していなかったから、同じく予想外の出来事ばかりの未来なんだろう。そうであって欲しい。

目の前のことをやり続ける。夢は見ない。とにかく、手の届く範囲のことを真面目にこなしていく。「もう駄目だ」「私に才能なんてない」と思いながらも、不貞腐れることなく私は自分の好きなことを、会社員として働き続けながら、ひっそりと続けていく。

Text/あたそ

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