埋没しないファッションって

雨宮

青野さんはお仕事柄、ファッションには気を遣われていると思いますが、埋没しないようにとか、逆に浮かないようにとか、そういうことは考えます?

青野

僕はそんなに考えてないかも。一番重要なのは今日誰と、どんな場所で、ってことかなあ。人は特に大切ですね。 短パンはないだろうとか。
今日だったら、この作品に出てくる人と派手さで同じ土俵には立てないし。だから落ち着いたカラーかな、でもネクタイはちょっと下北沢の場所的に違うかな、じゃあドットのスカーフでも垂らそうかな、とかそういうのが楽しめるタイプなので、それは考えます。
埋没、溶け込むかとかは考えないかな。雨宮さんはどうですか?

雨宮

例えばですけど、オープニングパーティ、レセプションパーティー、とか言われるともう身構えますね(笑)。「パーティー」って、みんなどれくらいのテンションでキメキメで来るのか教えて欲しいんです。行き慣れてないと、わからない。

青野

ああいうのは一番難しいですね。大体、和装でくる方は何人かいますよね。
鉄板だし別の世界にいってる感じもあるし。でも、あれはあれでずるいなと僕は思っちゃうんですけど(笑)。

雨宮

和装は逃げ…!(笑)
私の研究によると、文化系の女性には和装逃げに走る人と、チャイナ逃げに走る人がいるんですよね。私はチャイナ逃げ派なんですが…。知性もありつつ個性も見せつつ、なおかつ格式もあるというのが可能かなあ、と自分では思っているんですが…(笑)。

アイコニックなものは落ち着けない

青野

ファッション系の催しだと、特に女性はハイブランドの人も多いですよね。
あえてそっちに突っ込んでいったりすることもありますか?

雨宮

正真正銘のハイブランドは、正直買えないです。でも確かに、試写会なんかでもファッション誌の方はすぐわかりますね。最新のアイコン的なものを必ず一つは身につけていらっしゃるので、これがファッション誌の世界なんだなぁとはよく感じます。

青野

でも、そういうところでいうと、ぼくはアイコニックなものは敬遠してしまうタイプかもしれません。悟られたくない気持ちが、少しあって。
そういう感じで服を着るのって自分に関していえば全然落ち着けないんですよね。
ロゴが入っているものも興味ないですし…。ロゴものを、本気で着てるとちょっときついじゃないですか。

雨宮

(笑)。 本気で着てるかどうかの区別は、仲良しじゃないとわからないですもんね。この人は洒落で着てるんだなぁとか、友達はわかってくれても、知らない人が見ればただのロゴ好きな人に見えちゃう。

青野

ロゴものは難しいところですよね。わかりやすいんですけど、逆にそれが足かせとなってしまったりして、どっちもどっちみたいなところがあるかなと思います。

【次回に続きます。お楽しみに!】

※2015年8月19日に「SOLO」で掲載しました