ピックアップされるのを待たない!人間関係の成功体験を積み重ねよ

参加者

湯山さんの本を読んでいるとすごく突き抜けていると感じます。それって自分への肯定感から突き抜けているのか、そういうわけでもなく突き抜けているのか。どちらなのでしょう?

湯山

皆さんにびっくりされるのですが、私の自己評価はとても低いですよ。私の20代はどうだったかというと、ものすごく嫌な女だったね。いっつも友達と飲んで、愚痴言ってたし、悪口の女王様。その能力を今、生かして本を書いている(苦笑)。
私の20代はバブルの頃だから女性がすごくピックアップされました。それで自分よりも能力の低いと思っていた人がバンバン先に登用されていったときには、もう恨み百倍という感じでしたね。

 今振り返ると、ピックアップされるのを待っているだけで自分から行動を起こしていなかった。飲み会でグジグジと悩んでいるだけ。でも30代から、自分の頭でいろんな事を判断して行動して、小さいけれど成功体験を積み重ねていってやっと掴んでいったんです。

参加者

それは仕事での成功体験ですか?

一同

あーーー 。

湯山

もちろん。それに加えて、人間関係の成功体験も大きい。ちょっとおせっかいだけど、喧嘩しているところに仲裁に入って解決したとか。友達が悩んでいたときに一晩付き合ってなんとかなだめる、それもひとつの成功体験です。

 人間関係っていっても、たとえばデートでこういうことをしたら、つまらないと思っていた男が別の魅力的な表情を見せた、というのも成功体験ですよ。仕事のなかでも、お医者さんだったらたらい回しで来た患者さんの病気を自分が発見したというのもそう。
 失敗体験はもちろんあるんだけれど、それを成功体験に塗り替えていくことを30代からやっていく。陣地の塗り替えですね。自己肯定なんてなくとも、客観的な成功体験が自分を支えてくれる。あのときあんなに感謝されたとか、あのときあんなに地獄だったけどうまくやったとか。小さな積み重ねなんですよ。

【次回に続きます】

湯山玲子(ゆやま・れいこ)
著述家、ディレクター。日本大学芸術学部文芸学科非常勤講師。自らが寿司を握るユニット「美人寿司」、クラシックを爆音で聴く「爆音クラシック(通称・爆クラ)」を主宰するなど多彩に活動。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッションなど、カルチャー界全般を牽引する。
著書に『クラブカルチャー』(毎日新聞社)、『四十路越え!』(角川文庫)、『女装する女』(新潮新書)、『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『ベルばら手帖』(マガジンハウス)、『快楽上等!』(上野千鶴子さんとの共著。幻冬舎)、『文化系女子という生き方「ポスト恋愛時代宣言」!』(大和書房)、『男をこじらせる前に 男がリアルにツラい時代の処方箋』(KADOKAWA)など。

Text/皆本類

※2015年7月15日に「SOLO」で掲載しました