広島ならではの酒飲み文化
憧れの包丁ホルモンを求めて

©ツレヅレハナコさん×新久千映対談画像 ツレヅレハナコさん

――新久さんは広島在住でらっしゃいますが、広島ならではのつまみには何がありますか?

新久

「がんす」という、かまぼこみたいな薄い練り物をフライ状にしたものがあります。ちょっとピリ辛なので、酒にも合うし、ご飯にも合うし、パンに挟んでカツサンドみたいにしてもいいんですよ。

ハナコ

へえ、おいしそう!

新久

東京と一番違うのは魚介事情でしょうか。関東と瀬戸内海では、スーパーで売ってるものも全然違います。広島では、「小いわし」という煮干しにするような小さないわしが2キロ500円とかで売っていて、刺身や天ぷらにして食べるんです。
あと、お好み焼きの前座として、鉄板料理をおつまみにする店が多いですね。

ハナコ

広島のお好み焼き屋さんで有名な「八昌」の支店が、東京の経堂にもあるんですよね。知り合いが、「素そば」という具の何も入っていない焼きそばを食べていて、「何それおいしそう!」と思って教えてもらいました。

新久

あとはやっぱりホルモン文化ですかね〜。

ハナコ

広島といえば、「包丁ホルモン」にずっと憧れていました!

新久

さすが、よくご存知ですね! 牛の小腸などを天ぷらにしてポン酢と唐辛子で食べる「ホルモン天」は広島でも割と一般的で、その辺の安い居酒屋さんにもあるんですけど、その中でも「包丁ホルモン」は福島町や都町あたりのごく一部でしか食べられなくて。

ハナコ

各個人にまな板と包丁が1セットずつ配られて、揚げたてのホルモンが丸のまま出されて、自分で好きな大きさに切って食べるんですよね。仕事で広島出張が入ったときに、何はともあれ包丁ホルモンを食べに行くことだけは予定に組み込みましたよ(笑)。

新久

ただでさえ脂っぽいホルモンをさらに揚げるっていう、どうかしてる食べ物なんですけど、不思議といくらでも食べられちゃうんです。

ハナコさんが頼りにする 最強の二日酔い薬“ミラ様”

――飲み過ぎての失敗談とかってありますか?

ハナコ

電車はふつうに乗り過ごしますね。以前、吉祥寺に住んでいたときに、中央線を寝過ごして「まずい!」と目を覚ましたら高尾駅で。
斜め前に座っていたサラリーマンが起こしてくれたので、「この辺に、朝までやってる居酒屋ないですかね?」と聞いたら、「目の前に“笑笑”がありますよ」と言われて、その人と朝まで飲みましたね。

新久

え、一緒に飲んでくれたんですか?

ハナコ

「どうも、はじめまして!」と飲みはじめて、「そろそろ始発が出ますね、じゃ!」って別れて(笑)。

――二日酔いなんかもされるんじゃないですか?

新久

ウコンやヘパリーゼ、ハイチオールCなどをローテーションで飲んで対策してますね。つい昨日も出版社の新年会だったんですけど、事前にヘパリーゼを飲んだら、12時間くらい飲んでたのに平気でした(笑)。

ハナコ

私は「ミラグレーン」という肝機能の改善に効く薬を頼りにしてます。私の飲み友達の間では「ミラ様」と呼ばれていて、今日はやばいだろうという日は「ミラ様いっとく?」っていう言葉が交わされますね(笑)。

新久

知らなかった……! (ネットで調べて)これ、効能に「アルコール中毒」って書いてありますよ(笑)。

ハナコ

一応、ふつうに薬局やネットでも売ってるまともな薬ですから(笑)。でも、私の飲み友達は「俺、ミラ様飲むと酔わないんだよね……。その強さが怖いから、もうミラ様飲むのやめるわ」って言ってました。別に酔わないためにミラ様飲むわけじゃないし……と仲間内で議論になりましたけど(笑)。

新久

議論になるのがおもしろいですね(笑)。ハナコさんとは大の猫好きという共通点もあるし、ぜひこれからも東京にきたときは一緒に飲みましょう!

ハナコ

こちらこそ! 広島に行ったときは案内してくださいね。

(プロフィール)
ツレヅレハナコ
2004年より食をテーマにしたホームページ「ツレヅレハナコ」を始め、以降 ブログ TwitterInstagramなどで個人的な食情報を提供し続けている。

初の著書 『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)が2月10日に発売されたほか、『月刊!スピリッツ』4月号(小学館)より、原案・協力を務める山崎童々の漫画『みつめさんは今日も完食』が連載開始される。

(プロフィール)
新久千映
広島県広島市出身。2006年に『コミックバンチ』増刊号(新潮社)でデビュー。

『月刊コミックゼノン』『WEBコミックぜにょん』(徳間書店)に連載中の『ワカコ酒』はTVドラマ化やTVアニメ化もされ、現在TVドラマのシーズン2がBSジャパンなどで放送中。
地元広島のご当地グルメを描いた 『新久千映のまんぷく広島』も好評発売中。
また、『コミックエッセイ劇場』(KADOKAWA)にて『新久千映の一人さまよい酒』を連載している。
Twitter:@chiezoooou
ちえぞう王国―新久千映HP

 この連載が本になります!
TwitterやInstagramでも大人気のグルメブロガー・ツレヅレハナコさんが、リアルで晩酌のお供につくっているおつまみを紹介する当サイトの人気連載『夜のひとり呑みレシピ』が、なんと書籍化することになりました!

 レシピを大幅増量し、写真もすべて撮り下ろし。さらに書き下ろしエッセイや食にまつわるコラムも多数収録しています。10分でつくれちゃう超即席メニューから、ツレハナさん行きつけのお店の味まで、全10章・66レシピを一挙収録。夕飯やお弁当のおかずにも使えちゃう便利な一冊です!

<目次>
1 10分で飲みたい!
2 最近、野菜が足りてない
3 肉を食わせろ!
4 魚だって食べたい
5 果物で泡か白
6 1回作って3回飲もう
7 材料は少ないほどうれしい
8 シメタンの誘惑
9 大好きな店のアレ
10 ホムパの神様、ありがとう!

Text,PHOTO/ツレヅレハナコ

※2016年2月12日に「SOLO」で掲載しました