まずは自分を楽しませてみる

こう考えると、楽しませる能力に長けている人が魅力的、というのは男女ともに共通して言えることだ。恋人であれ、友人であれ、できることなら誰だって、黙ってても自分をどんどん楽しい方に導いてくれる人と一緒にいたい。何しろそんなラクなことはないわけだから。自分がラクしてても楽しませてくれる相手は神である。つまり、モテたいなって思ってる人は、どんな小手先のモテテクニックを学ぶより、楽しませ上手になることを目指すといいということなんじゃないだろうか。

じゃあ一体どうやったら楽しませ上手になれるのかって考えると、本件に関して言えば私、楽しみ上手が楽しませ上手ということで良いのではないかと思うのだ。つまらない世の中をつまらないまま生きている怠惰な人には、相手を楽しませることなどできるはずがない。何より自分が「楽しい」と思うことにひたすら素直に行動する。自分を、もう存分に楽しませる、そのための技術を磨く。重要なのは、自分に関しては決してラクさせるんではなく、とことん「楽しませる」ということである。

そうするうちに、自分が誰かに楽しませてもらうのを受け身で待ったり、相手の反応を伺って後手に回ったりする、誰も楽しくない負のサイクルから、脱却できるときがやってくるのではないかと思うのだ。だから私たち、存分に楽しませよう、自分を。

楽しみ上手は生き上手、生き上手は楽しませ上手、ということなのである。

……なんだか一部シニア向け雑誌の特集のタイトルみたいになったけど、お盆だし、まあいいか。

Text/紫原明子

※2015年8月12日に「SOLO」で掲載しました