セックスは、相手のパワーを自分の一部にすること

高年収の男性は、恋愛市場においてとても人気である。その理由は、男性から高価なものをプレゼントしてもらいたいとか、自分の給料では入れない高級レストランに連れていってもらいたいとか、結婚までたどり着いていい暮らしをしたいとか、決してそれだけではないのだろう。男性が持つ社会的な威信や、高年収を勝ち取るために得た能力を、まるまる食べて消化し、自分の体の一部にしたい。おそらくそんな、原始的な心理も働いていると思う。 大半は結婚までたどり着けない不倫であっても、セックスという手段によって相手を「食べる」ことで、その男性が持つ社会的な威信や能力を、自分の一部にすることができる。私自身も、さすがに年収に惹かれるとは言わないが、自分にない能力を持っている男性はやっぱり魅力的に見える。

「食べる」ことは、相手のパワーを自分の一部にすること。そうだとすると、実は「あいつ、もう食ったよ」はワンナイトの女性ではなく、いちばん大切なパートナーにこそ、敬意を持って用いるべき言葉なのかもしれない。いや、きっとこれを読んでいるあなたは「はあ?」と思っているだろうけど、『性食考』を読むと、この感覚がなかなか真に迫ってくるのだ。不思議な本なので、ぜひ手にとってもらいたい。

初の書籍化!

チェコ好き(和田 真里奈) さんの連載が書籍化されました!
『寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか -女の人生をナナメ上から見つめるブックガイド-』は、書き下ろしも収録されて読み応えたっぷり。なんだかちょっともやっとする…そんなときのヒントがきっとあるはすです。