ライフイベント低発生系ゲームの攻略法とは

心理・行動分野の研究者である大森篤志さんの『オトナ女子のためのさみしさくんのトリセツ』も、そんな「独身のライフイベント低発生問題」に頭を抱える女性の嘆きから話が始まっている。
この本は、自分の気持ちややるべきことを書き出したり、コーヒーや紅茶を丁寧に淹れたりと、ひとまず「気持ちを今に集中させる」ことで、この「3面ループ感(さみしさ)」から抜け出すことをすすめている。科学的根拠に基づいた方法が書かれているだけあって、気休めではないところもポイントだ。

もちろんこの本に書かれた策も有効だが、独身者がこの「3面ループ感」から脱出するには、最終的には「課題と節目を自分で作る」しかないのかもな、と私は思う。
ライフイベント高発生系ゲームは、結婚したら夫婦の共同生活、子供が生まれたら育児と、課題が向こうからやって来てくれる。でもライフイベント低発生系ゲームは、ボーっとしていると目に見えるような課題は降ってこない。課題自体を自ら創造する必要がある。

一つ恥ずかしい告白をしよう。不肖31歳のワタクシ、今年の目標は「小説を書く」ことである。ブログやコラムなどの文章はよく書いているけど、小説に関してはド素人もいいところなので、たいしたものが出来上がるとは思っていない。だけど、新しい挑戦をしてみたいと思って、今、小説を書いている。そして、出来はともかく、ちゃんと完成させられたら、次の面に行けると思っている。幸い、応援してくれる仲間もいる。

ちょっと悲しいのは、結婚や出産はみんなが拍手大喝采で祝福してくれるけど、私が小説を完成させたところで多くの人は「へぇ~」って感じだろうなってこと。ま、応援してくれている仲間たちに褒めてもらうので、いいけど……。

人間が社会的な動物である以上、本当に必要なのは結婚でも出産でももちろん小説でもなく、「周囲からの祝福」なのかもしれない。私は強がりではなく独身であることを気にしていないけれど、結婚した友人に対して、結婚したことそのものよりも、まわりから「おめでとう」と祝福されていることが、ちょっと羨ましい。祝福されるということは、その人が社会の構成員であると認めてもらえることだから。
あなたのまわりに独り身の人がいたら、彼/彼女が何かを成し遂げたときにぜひ、精一杯の祝福を送ってあげてほしい。

「課題と節目」を創造すること、またそれを成し遂げたときに、褒めてくれそうな人たちに囲まれていること。これが私の考えたライフイベント低発生系ゲームの攻略法なんだけど、どうだろうか?

Text/チェコ好き
記事初出:2018.06.23

次回は<部屋を片付ければ、恋も仕事も上手くいく! わけではないぞ>です。
断捨離ブームは下火になっていないけど、ほんとに部屋を片付けるだけで人生は変わるのでしょうか。そのブームに「ちょっと期待しすぎ」と語るチェコ好きさん。読書を通して見える、掃除と生き方の関係とは?