そんな私がすすめる大好きな本

『世界文学を読みほどく』 (新潮選書)書影 世界文学を読みほどく (新潮選書)

そんな持論を持つ私が、それでも同世代のアラサー女性にすすめたくなってしまう大好きな本があります。嘘です。同世代の男性にもすすめてたし大学生の男の子にもすすめてました。つまり見境なく誰彼かまわずにすすめている本があるのですが、それが池澤夏樹さんの『世界文学を読みほどく スタンダールからピンチョンまで』です。

こちらの本は、スタンダールの『パルムの僧院』から始まり、トルストイの『アンナ・カレーニナ』、ジョイスの『ユリシーズ』、そしてピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』まで、19世紀から20世紀にかけて生まれた世界の有名文学10作品について、作家の池澤夏樹さんが解説をしてくれます。
私がこの本をおすすめする理由は、近代文学についての基礎的な知識が身に付くというのはもちろんのこと、池澤さん独自の目線で、「近代」というのがどういったものであり、どのような変遷をたどって現代にいたったのか、というのを説明してくれているところにあります。体系的だったものが徐々に崩れていき、混沌をきわめていく世界のようすを文学から眺めてみるというのは、とてもスリリングな体験です。

「直近で読んだ5冊」のなかに、ベストセラーや有名作家の本、仕事に関連する実用書以外の本のタイトルが出てくると、「なんで!?」とその本を選んだ背景が気になってしまうのは、私だけではないはず。あくまで確率の話ですが、今話題になっている本だけでなく、その人独自の基準で本を選んで読む習慣がある人って、やっぱり話が面白い場合が多い気がします。

みなさんが最近読んだ本や、おすすめの本の話も、もっと聞かせて欲しい。一緒にダサピンクなんて吹き飛ばそうぜ、って私は思うのです。

Text/チェコ好き

※2015年9月3日に「SOLO」で掲載しました