転機は70歳になったらやってくる

 その頃にはおそらく、どんなキャリア系女子も、仕事に一区切りついているはずです。また、どんなママであっても、さすがに子供から手が離れているでしょう。そして私のような、どこにも属せないかんじの人も、適当に遊びつくして一息ついている……はず。

 そうなんです。70歳になれば、またもう一度、全員が「女子高生」「女子大生」だったあの頃のように、一律「おばあちゃん」になれる。そうしたら、今疎遠になってしまっているあの子やその子とも、またみんなで集まってワイワイやれるんじゃないかって、私は夢見てしまうのです。

 もちろん、現実には自由にできるお金に格差があったり、昔の友人と連絡をとろうにも難しかったりして、「高校の頃のあのメンバーがそっくり揃って大集結!」ってわけにはいかないでしょう。
要は「一度形成されたクラスタが高齢者になることによって解体される」という話で、「キャリア」とか「恋愛」とか「子供」とか、今私たちが悩んでいることが完全に過去のものになる日が、いつか必ずやってくると思うんですよね。

 いってみれば、キャリア系もママ系もアウトロー系も、プレイしているゲームがちがうだけです。そこに価値や難易度の高低はない。
だから70歳になって、ほぼすべてが片付いて「アガった」ら、重要なのは「自分がしてきたゲームからいかに面白い話を引き出せるか」、これだと思うんですよ。関係がフラットになったら、話が面白くて気の利くヤツがいい思いをするに決まっています。

 そこから逆算すると、おひとりさまもおひとりさまじゃない人も、今の私たちがやらなければならないことは、結婚するとかしないとか、子供を産むとか産まないとかの「正しい(とされる)生き方を選ぶ」ことじゃなくて、「話が面白い人になる」ことじゃないでしょうか。
話が面白いっていうのは、笑いをとるということだけじゃなくて、相手の好奇心をいかに引き出せるかってことです。
仕事でも、育児でも、趣味でも、恋愛でもなんでもいいのだけど、とにかく目の前のことに夢中になって、工夫して、解像度を上げて、思いっきりめちゃめちゃ楽しまないと、きっと「話の面白い人間」にはなれません。

 それで、その「話の面白い人」になるための具体的な方法はなんかないんかというのを私はみなさんと一緒に考えていきたいのですが……それはまた次の機会に。

Text/チェコ好き

※2015年8月20日に「SOLO」で掲載しました