• special
  • 2012.12.01

一回女になったあとに待ち受ける落とし穴 私は不毛な恋愛しかできない!?/雨宮まみの恋愛履歴

こじらせ女子の女神・雨宮さんの恋愛遍歴が今明らかに!付き合ってくれる男性が現れたことで自意識はますますこじれ、「好きな人のタイプの女性にならなくちゃ!」という思い込みが頭の中を支配していきます。しかし待って、それは本当に彼から望まれたことですか?AM読者のみなさんも、洗脳されていはいませんか?

 こちらのコーナーは、著名人の方たちに様々な恋愛遍歴を語ってもらうインタビュー連載です。
今回は『女子をこじらせて』『だって、女子だもん!!』(ポット出版)の著者雨宮まみさんに、恋愛の歴史をお伺いしました。

 第1回の『モテから退化していく成長期、身を削って喜ばせる青春時代』第2回『恋愛は難しい…それなら性の欲望だけでも満たそう! 振り切れていく青春時代後半』から、引き続き、『一回女になったあとに待ち受ける落とし穴 私は不毛な恋愛しかできない!?』をお送りします。

付き合うことより“かわいい”という言葉で救われた!
さばけた女性になれば道は開ける…!?

雨宮まみ  だって女子だもん!! 名言 インタビュー

―ここから社会人~現在までの恋愛状況を聞かせていただければと思うんですが、社会人になられて、なにか恋愛観が変わった事件ってありますか?

雨宮:変わった瞬間は……付き合ってくれるって人があらわれたんです。
熱烈にアプローチされて、それでちょっと変わったんじゃないですかね。
でも、付き合ったという事実よりも、最初に「かわいい」って言われたってことがすごく大きくて、印象深かったです。
人生で自分が「かわいい」なんて言われるとは思わなかったので、ものすごく舞い上がりました(笑)。

―かわいいはデカいですよね。

雨宮:逆に男性にアドバイスするんだったら、とりあえず「かわいい」って言っておけば、誰かひっかかってくるよって言いますよ(笑)。
「キレイ」とか「美人」とかはどこか他人事というか、客観的な評価っていう感じがするけど、「かわいい」って主観で言ってる言葉って感じますもん。

―その方と付き合う中で変わっていかれたんですね。

雨宮:そうですね。それまで人間失格だと思っていたのが、人とちゃんと付き合ったりとかできる人間なんだ、人並みになれたのかもしれないという自信は多少芽生えたんです。

 ただ、いかんせん恋愛経験が少ないから、落ち着いてくると「もっとドラマチックな恋愛がしたい」っていう、こう、良くない気持ちが湧いてくるんですよ。
付き合いはじめの頃はよかったんですが、落ち着いてときめきが減少するとともに、情熱的な何かを求めて迷走し始めちゃうんです。
悪い男が魅力的に見えたりして。

付き合いが落ち着くと悪い男に走り出す…
男の理想の女になれず109の真ん中で号泣

雨宮まみ だって女子だもん!! 格言 名言 インタビュー

―ということは、その後悪い男にいってしまったんですか?

雨宮:そうなんです、20代後半くらいから。
自己評価が低いせいだと思うんですけど、自分と付き合ってくれるような男は、つまんない男なんじゃないかっていう思い込みがあって(笑)。

 自分と付き合わないような男を見かけたときに、グラッとくるんですよ。
あの人が自分のほうを向いてくれたら、自信を持てるかもしれないって思って向かっていっちゃうんですよね。それで自分にきたら「ヨッシャーーー!」みたいな。
本当は、こっちにきただけじゃどうしようもないじゃないですか。単にセックスしたいだけかもしれないし。

そういうこともよく分かっていないまま、ただこっちに来ただけで、価値が認められた! ってランクが上がったような気分になって、夢中になってました。

 その人に認めてさえもらえれば、私も女としての評価が上がるんだって思っているから、自分にとって少し難しい人を常に必死になって振り向かせようとする、悪循環に…。

―その当時の雨宮さんにとっての難しい人ってどんなタイプだったんですか?

雨宮:自分とはかけ離れているタイプですね。すんごい日焼けしてたりとか…(笑)。

―チャラい方向ですか?

雨宮:ギラついた感じの人です。でもそういう男の人って、茶髪で巻いていてネイルサロン通っていて、みたいな女が好きなんですよね。

 私自身はそういう女性に対してすごいコンプレックスがあったから、そういう男がこっちを向いたら、私も女として価値があるのかも! って思える気がして、すごいムキになっちゃって。
でも、付き合ったらやっぱり「爪伸ばせよ」「髪伸ばせよ」「ブーツはけ」とか言われるんですよ。それで「やっぱり今の私じゃだめなんだ」と、ひとつひとつ自信を打ち砕かれていくんです。

 ほかの子たちが何年も前からやっているようなことを、付け焼刃でやっても髪もうまく巻けないし、爪も折れるし、細いブーツってどこで買えばいいんですか!? って感じだし、なんかいつも買っている店のブーツはあのセクシーブーツと何かが違うなって…。
そういう店に行くと「筒幅はいくつですか?」とか訊かれて「えっ何そんなの測ったことない!」って、またショックを受けて。
何もかもが未知の世界でした。

―そういう男性と関係している間は幸せではあったんですか?

雨宮:いやあ、キツいですよね。常にダメ出しされる不安がありました。
 その人はギャルっぽい子が好きだったから、ギャルっぽい格好をしようとして、109に行ったんですけど、二十代後半で109ってとこがすでにもうキツい。
で、行って、好きな感じの服はあるんですけど、ジーンズがふとももまでしか上がんないんですよ。
世代的にもう骨盤のサイズが違うんです。
店員さんが普通に着ている服がまったく入らないんですよ。
世代的な身体の差があるから「私もうギャルにはなれない~~~」と思って、そのとき109の真ん中のエスカレーターのとこで泣きましたね(笑)。

 ギャルみたいな女性性を思いっきり出してる存在って、かっこよく見えたし、自分自身もそういうのに憧れていたんです。
女としての仮装を徹底的に、完璧にやれてる人っていうのがすごくうらやましくて。
それができない自分の中途半端さも嫌だし、でもやらなきゃ好かれないっていう緊張感もつらくて。
とりあえず、やっぱりマメじゃないとできないんですよね…。
「マスカラって朝塗ったら終わりじゃないの? なんでポーチに入れるの?」みたいな、そういう人間がそこに行くのは無理なんですよ。



「私は不毛な恋愛しかこの先もできないのではないか?」
一回”女”を経験したあとに待ち受けていた落とし穴

―最終的にはギャルになるのはあきらめたんですか?

雨宮:その人に振られたので「ギャルにならなくてはいけない」という強迫観念からは解放されました。
年齢的にもギャルはもうヤバめな感じだったので、まぁ次は自分の好きな格好すればいいやって。

―フラれたときはどんな様子だったんですか?

雨宮:地獄のようでした。「その人に認められたら、女として自分を自分でも認められる」と思って頑張ってフラれたから、女としての自分、全否定ですよ。
見た目だけじゃなく、心の部分でも離れて行かれてしまったので「見た目だけじゃなくて、私は心もダメなんだ」って、そのときはけっこう発狂しそうになりましたね。


―それまでの高校や大学時代と比べて、一回女としてやっていけそうだったところで、もう一回ショックがあったのですね。
そのあと、そこからどうやって脱出したんですか?

雨宮:その後も何人か、お付き合いをした人はいるんですけど、同じパターンが多かったんですよ。
いいなと思う人がいたら、その人の気を引こうとして、その人の好きな女がどんなタイプか考えて、うまくそのパターンに自分をあてはめられると、女としての自分の価値が認められた気がする…ってことをついやってしまってて。

 それって、女として認められるのが嬉しいからやってるだけで、ふと気がついてみると「私この人のこと本当に好きなのかな」って思う瞬間があったりするんです。

 そう思うと、今度は外見や女としての自信とかが問題じゃなくて「私って、なんて不毛な、自己中心的な恋愛をしてるんだろうっていう内面の問題になってきて。
人とちゃんとした関係、実りのある恋愛ができないんじゃないかと思えてきて、ゾッとしちゃって。
普通のカップルみたいに付き合ってるつもりだったけど、真剣にちゃんと相手と向き合って恋愛していると言えるようなことって、あったんだろうかって。

 好きだった気持ちが嘘だとは思わないけど、自分が必死になっているということと、相手のことを本当に考えているかどうかってまた別の問題じゃないですか。
コミュニケーションとして、ちゃんとした関係が築けていたのかって考えると自信がなくて。

 それが見えてきたときは、見た目の欠点が見えたときよりずっと落ち込みましたね。

―相手のことは好きなんだけど、相手のこと自体は考えてないっていう状態でしょうか?

雨宮:自分のことを好きになってほしいだけですからね。
「相手のためにこうした」と、心から言えるようなことが、自分にはあったんだろかって。
それに気づいたときには、こんなトシになって、何やってるんだと思いました。

モテる男女に相談して見えてきた恋愛の仕方…
自分を叩き売りするのだけはやめておけ!

―そういうことに気づいたのが大体30歳前半、30歳ぐらいだったんですね。難しい時期ですね。
ここから現在にかけて、恋愛観は変化したんですか?

雨宮:自分の恋愛観がいろいろ間違ってたと気づいて、次に好きな人ができたら、真剣に恋愛をしたいっていう建設的な気持ちが自分の中に出てきたんです。

 意を決して、周りのすごいモテてる男の人と女の人に、それぞれ思い切って相談したんですよ。
「私どうしたらいいと思う?」って(笑)。
それまでは、そういう猛者たちが使っているテクニックを自分も使えるなんて思ったこともなかったし、テクニックとかそういうのが入り込む余地のない恋愛が純粋なんだと思っていたんですよね。
でも、何の配慮もなく、状況も読まずに「好きです!」だけで迫るのって、それこそ「自分の気持ちを押し付けるだけ」じゃないですか。

 今まで、「相手が自分を好きになる」って、運しかないと思ってたので、こっちを向かせるテクニックとか考えたことがなかったんですよ。
「好きな人をこっちに向かせる」という勝負は最初から投げていたし、告白をするかしないかくらいの選択肢しか、自分の中にはなくて。
「デートの段階から徐々に興味を持たせて、気を引いていくのが普通でしょ?」と言われて、ガーンって頭を殴られたようなショックを受けました。
それが去年ぐらいの話なので、私、目が覚めたのがすごく遅いんですよね(笑)。

―じゃあ、本当に去年開眼したんですね。

雨宮:はい、もう、すごい初心者ですよ(笑)。その時に「選手としてのポテンシャルは低くないんだからがんばれ」って言われて。
でも、そう考えると、ほとんどの人は選手としてダメじゃないんですよね。
 それに初めて気がついて、楽になりました。


 自分が何も持っていないからダメなんじゃなくて、持っていないと思って勝負を投げてるからダメだったんだって。
ちゃんと、自分がどういうタイプの選手なのか、長所や短所を考えて、真剣に勝負しないといけないんだなって思いました。

―雨宮さん自身はどんなタイプの選手なんですか?

雨宮:とりあえずギャルじゃないですよね(笑)。
その前になろうと頑張ってた性的に奔放なキャラも明らかに向いてなかった(笑)。

 どういうタイプなのかはわからないですけど、自分に価値がないと思い込んで、自分を叩き売りするような恋愛をするのは良くないなって思いましたね。
タダのものを無理矢理押し付けられても、そんなもの大事にするわけないじゃないですか。
で、大事にされないとさらに「自分には価値がない」って思う悪循環が続くわけだから。

自分が不幸になる付き合いだと思ったら
「やめよう」っていいましょう!

―現在の恋愛に関しては結構良い感じですか?

雨宮:いや、連敗ですね。試合に出始めたばっかりだから、ケガばっかりで……(笑)。
でも、自尊心は持つようにしようと思うようになりました。

―雨宮さんが完全に自尊心が持てるようになった瞬間ってどこですか?

雨宮:自尊心は、今でもすぐ傷つきますよ。
でも、持てたかなと感じたのは、恋愛で自己主張できるようになったときですかね。

 今まで、もったいなくて自分から振るとかできなかったのが、この人とこのままの関係を続けていくと自分が不幸になるってときに、「もうやめましょう」って言えたときかな。
自分だけが傷つくような恋愛に対して「やめよう」って言えたとき。


―自尊心の低い女子はなかなか言えないですよね。

雨宮:でも、言わないとズタボロになるところまで行きますからねぇ。
身体は大丈夫でも、恋愛の傷って軽視できないでしょう。
ズタボロになったところから自尊心を取り戻すのって、すごい大変だし時間がかかりますよ。

 そういう思いを何度もすると、心から「もう二度とあんな思いをするのは嫌だ」って、拒否することを覚えるんですけど、ほんとはズタボロになる前に覚えたほうがいいと思いますね(笑)。


雨宮まみ
ライター。九州生まれサブカル育ち。守備範囲は「セックス&自意識&女のあれこれ」。
赤裸々な半生を綴った『女子をこじらせて』(ポット出版)は全国のこじらせ女子に大きな影響を与える。
現在、「女子」を語らせたら、この人! という5人を迎えての対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)が絶賛発売中。

ツイッター:@mamiamamiya



ライタープロフィール

雨宮まみ
ライター。九州生まれサブカル育ち。守備範囲は「セックス&自意識&女のあれこれ」

今月の特集

AMのこぼれ話