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  • 2012.10.23

『魔法少女まどか☆マギカ』の美樹さやかは眠り姫女!?(2)

魔法少女の中にも“フツウ”をこじらせた女子がいた!?

By Mikamatto
©By Mikamatto

 “フツウ”すぎるがゆえに、マンガやアニメの中で不毛な扱いを強いられている登場人物たちを“フツコさん”と名付け、その報われない恋愛パターンを勝手に想像するこの短期連載。
しかし、“フツコさん”は、なにもサブキャラやモブキャラばかりに存在しているわけではありません。

 2011年に放送されたアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』をご存知でしょうか?

 かわいい女の子たちが魔法少女に変身し、人類の敵である魔女と戦うという、一見よくある王道アニメ。
ところが、そんな王道路線を逆手にとった、オリジナルストーリーならではの先の読めない展開が話題を呼び、大ヒットしました。
この10月からはテレビシリーズを再構成した前後編の劇場版が公開され、こちらも注目を集めています。

 物語は、ごく普通の女子中学生・鹿目まどかの前に、ある日“キュウべえ”と呼ばれる謎の生物が現われることから始まります。
「どんな願いでもひとつだけ叶える」ことと引き換えに、自分と契約を交わして魔法少女になってみないか、と誘うキュウべえ。

 最初は華やかでかっこいい魔法少女に憧れていたまどかですが、同じ中学の先輩や転校生、違う町からやってきた魔法少女たちと活動をともにするうちに、その過酷な運命を知り、翻弄されていくことに……。

 登場する5人の少女たちは、全員がストーリーの大事な展開を担う主要キャラばかり。
にもかかわらず、“フツウ体質”をこじらせるあまり、鬱展開に巻き込まれてしまった悲劇のヒロインがいます。
それが、美樹さやかという女の子です。

自分の恋心にフタをしてしまった“寝たフリ女”さやか

 美樹さやかは、主人公・まどかの同級生であり親友です。
活発で正義感が強く、行動力もあるさやかですが、恋愛に対しては典型的な「眠り姫女」タイプ(「眠り姫女」タイプの定義については、http://am-our.com/love/79/3813/をご覧ください)。
幼馴染の上条恭介に片思いをしながら、彼に自分からその思いを伝えることができません。

 恭介は治療不可能なケガで入院しており、バイオリン奏者になる夢を断たれた少年です。
さやかは、そんな彼のもとへ毎日のようにお見舞いに通いますが、彼が自分の思いに気付いてくれるのをただじっと待っているだけ。

 ケガをしてプライドをへし折られた男なんて、スキにつけこむには絶好の状態。 病室でふたりきりなんだから押し倒し放題なのに、ガツガツしていると思われたくないのか、さやかは自分の「好き」という気持ちにセーブをかけ、“人のいい女友達”を演じてしまうのです。 もう! なんというヘタレ女!


 「眠り姫女」タイプがよくないのは、手に入れたい人がいるのに、受け身になってしまっていること

“どうせ私なんか……”と思っている一方で、“そっと恋い焦がれるだけの自分”に酔っていたりもするからタチが悪いのです。 さやかも、とっとと告白すればいいものを、何を思ったのか「恭介のケガを治すことと引き換えに、魔法少女になる」という回りくどすぎるアプローチをチョイス。 そんなことしても、恭介は“さやかのおかげ”だとは気付いてくれないのに……。

後悔してももう遅い! “悲劇の眠り姫”にならないために             

By mathewingram
©By arhadetruit

 奇跡的にケガが治った恭介は、案の定、それがさやかの契約のおかげとも知らずにうかれモード。
献身的にお見舞いをしてくれたさやかのことなど忘れ、再びバイオリンにうつつを抜かしはじめてしまいます。

 しかも、あろうことかクラスメイトの親友も以前から恭介のことが好きだったことが発覚。
もたもたしているうちに先に告白されてしまい、あっさり持って行かれてしまう始末……。

 結局、そのせいもあって精神的に追い詰められてしまったさやかは、魔法少女の過酷すぎる運命を知らされていよいよ絶望。
ある救いようのない顛末を迎えることになってしまいます(この辺は、ストーリーの核心でもあるので一応ネタバレ回避しておきます)。

 かわいそすぎるぞ、美樹さやか!

 こんなことになるなら、ケガなんか治さずに、「私が一生面倒みてアゲル♪」と恩を売って、自分なしでは生きていけないように飼い殺してしまえば、ゲットできたかもしれないのに!
そう思ってしまう私は、性格が歪んでいるのでしょうか。

 でも、「あのとき、アタックしていれば……」と後悔しても、もう遅いんです。
恩を売るなら、本人にわかるようにアピールしないとオチるものもオトせません。

 結局、「眠り姫女」から脱することができなかったさやかは、悲劇のヒロインを演じる自己満足によって、自分の恋心をごまかそうとしてしまったわけです。

 フツウ恋愛体質も、こじらせると最悪の結末を迎えてしまうこともある。
そのことをしっかり肝に銘じて“脱!フツウ”するためにも、劇場版『魔法少女まどか☆マギカ』を観に行くといいかもしれませんよ。

Text/Fukusuke Fukuda


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ライタープロフィール

福田フクスケ
フリーライター。“くすぶり男子”の視点から恋愛やジェンダー、セックスなどを考察。

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