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  • 2012.10.19

『ヱヴァンゲリヲン』の伊吹マヤは満腹ゼリー女!?(1)

フツウすぎて報われない「フツ子さん」になっていませんか?

By chadawg24
©By Applegurl ♥♫♥

 11月17日に公開される『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』。
その人気はアニメファン、サブカルファンの域を超え、もはや国民的なコンテンツと言っていいでしょう。

 本作の魅力のひとつとも言えるのが、綾波レイや式波・アスカ・ラングレー、葛城ミサト、赤城リツコといった女性キャラクターの個性。
“フツウ”とはほど遠い強烈なパーソナリティを持つ彼女たちには、それぞれに熱烈なファンが存在します。

 

 そんな主要キャラの陰に隠れて、ひっそりと存在する“フツウ”の女性をご存知でしょうか。
彼女の名前は、伊吹マヤ。

戦闘シーンで、「ダメです! 起動しません!」とか「活動限界です!」など、しょっちゅうトラブルに見舞われてはテンパッているNERV本部のオペレーターです。

 テレビ版にも映画版にもレギュラーで登場している彼女ですが、ほかの女性キャラには何かしら恋愛要素のからむ場面や描写があるのに、彼女にだけはこれといった恋愛エピソードが与えられていません。

 このように、マンガやアニメには“フツウ”すぎるがゆえに、地味なあつかいを受けているサブキャラが存在します。
彼女たちは、恋愛でもメインキャラにお株を奪われて、きっと悔しい思いや切ない思いをしているはず……。

 「脱!フツウ」をテーマにお届けしている今月のAMでは、“フツウ”に甘んじることで陥ってしまう4つのタイプを紹介してきました。
そこで、このコラムではマンガやアニメに登場する「フツ子」さんたちの中から、4タイプに該当する女性をそれぞれピックアップ。
彼女たちの苦悩を、勝手に想像してみたいと思います。

本当は加持さんが好きだった!? 満たされないマヤの苦悩

 典型的なサブキャラ気質で、圧倒的な不遇感を漂わせている伊吹マヤ。
ところが実は、90年代のエヴァブームの頃は、アニメ情報誌の人気ランキングで常に上位にランクイン。
VHS版では7巻のジャケットに起用されるほどの人気キャラでした。

 NERV本部にいる女性といえば、優秀だが冷徹な一面を持つリツコや、私生活はずぼら、仕事では独断専行型のミサトなど、性格のキツすぎるメンバーばかり。
一方、伊吹マヤは性格もまじめでひたむき、与えられた職務を一生懸命にこなす姿には好感が持てます。

 職場で付き合うならこんな子が理想だと思うのですが、碇ゲンドウはリツコを愛人にし、加持リョウジは元カノのミサトと再び恋仲に。
同僚の日向マコトさえ、ミサトに好意を持っており、マヤは完全に蚊帳の外。

 これほど報われないのは、マヤ自身が、幸せの満腹中枢を自ら麻痺させている「満腹ゼリー女」だからではないでしょうか。
「満腹ゼリー女」の定義についてはこちらの記事(http://am-our.com/love/79/3724/)をご覧いただくとして、マヤにはおそらく、研究職のリツコや、中間管理職のミサトなど、バリキャリ型の上司に対する劣等感があるはずです。

 本当は、加持リョウジみたいな年上の頼れる先輩に憧れているクセに、「あの人はミサトさんのものだし……」という遠慮から積極的になれないでいるのではないでしょうか。

 おそらく、高校時代も野球部のマネージャーとかをしていて、キャプテンの男子にこっそり恋をしていたはずです。
でも、キャプテンはチーフマネージャーの女子(巨乳)と付き合ってしまい、泣く泣く撤退。
そのうち、レフトとかを守っているどうでもいい男子に告白されて、なんとなく付き合っちゃうパターンだったに違いありません。
「彼だっていい人だし、大事にしてくれてるんだから、あたしは十分幸せだわ」
そうやって幸せの敷居を下げることで、傷つくことを回避してきたのでしょう。

百合に走ったのは、本当に欲しいものから目をそらすため?             

By mathewingram
©By Ryan Abel

 こうした「満腹ゼリー女」の傾向は、多忙きわまるNERV本部に入って、ますますこじれてしまいます。

 憧れの加持さんが手に入らないジレンマ。
「私には仕事があるから、今はこれでいいの」と自分を納得させようとしますが、満たされない気持ちは変わりません。

 一時期は、冴えない同僚のメガネ男子・日向マコトでもいいかな……と思ったときもあったでしょう。
しかし、マヤのような女性は、私だけの王子様を夢見るロマンティックなタイプかと思わせておいて、実際は意外と権力志向だったりします。
高校時代、どうでもいいレフトと付き合ってしまった苦い経験から、彼女のプライドは妥協を許さなかったのかもしれません。


 そこで彼女は、もうひとりの“尊敬できる先輩”であるリツコに、百合的な敬愛を抱くようになります。
代わりのものでお腹をいっぱいにすることで、本当に欲しいものから目をそらすことにしたわけです。

 しかし、自分をだますのにも限界があります。
テレビ版の第11話では、エレベーターの中でもつれあっていた加持とミサトを見て、「不潔……」と思わず本音をもらしてしまう場面も。
物語の終盤で、徐々に彼女の精神的なもろさが浮き彫りになってしまうのも、自分の本当の気持ちにウソをついて、“かりそめの満腹”を得ていた反動かもしれません。

 あなたも、満たされない自分を、無理やり他のもので満足させようとしていませんか?
満足度を下げることで、伊吹マヤのような“かわいそうなサブキャラ”にならないように気を付けてください。
あなたの人生のメインキャラは、あなた自身なのですから……!

Text/Fukusuke Fukuda

※登場人物の恋愛関係については、テレビ版・旧劇場版に描かれたものを参考にしています。
 まだ完結していない新劇場版では、関係性が異なっていたり、明示されていなかったりするのでご了承ください。


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ライタープロフィール

福田フクスケ
フリーライター。“くすぶり男子”の視点から恋愛やジェンダー、セックスなどを考察。

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