• special
  • 2012.07.07

ベビーシッターと子育て論

 学生時代フランス人と日本人のご夫婦の家庭で、ベビーシッターのバイトをしていたことを思い出しました。 1番上が4歳のお兄ちゃん、2番目が2歳の妹の2人。
子守は慣れていたし、子どもも嫌いではないので引き受けましたが、さすがにその1年後に、さらにもう1人増え、1人で3人の面倒を見ることになったときは大変でしたが、楽しい思い出です。

子育ては人任せ

Fat Baby Mirror By crimfants
©Fat Baby Mirror By crimfants

 2人とも仕事を持っているご夫婦だったため、幼稚園に迎えに行き、2人のうちどちらかが仕事から戻ってくるまでの間の数時間が自分の担当。
大学の授業が幼稚園のお迎えの時間までに終われば、担当するという形。
どうやら、ベビーシッター代は自治体から補助が出ているようでした。

 でも、時には休日にほぼ丸1日任されることも。
理由は、「夫婦だけで遊びに行きたいから」


 「まあ、なんて無責任な!」
この話をした当時の実家の母の反応です。
自分は「まあ、なんて素敵!」と思っていたのですが、それは母には言えませんでした。

夫婦は夫婦、子は子

 母のような反応をする人は大勢いて、基本的に子育てを人に任せることは恥ずかしいとされています。
こんなに少子化が叫ばれている時代でも、働きながら保育園に子どもを預けて働いている同世代の日本人女性たちは口々に「なんだか手を抜いているようで心苦しい」と言うのです
。  なぜ、そんな風に思うのか? と聞くと
「子どもが愛情不足になりはしないか。愛情不足になったら健全に育ってくれないんじゃないか」と。

 何を差して“健全”と言っているのかはわかりませんが、子どもがグレるか、イイコに育つかどうかは親にかかっているという意識らしいのです。

幸せは自分次第

 フランス人女性と日本人女性の大きな違いはそこにあります。
子どもが例え寂しい子ども時代を送ろうと、幸せになれるかどうかは自分の責任。
幸せは自分でつかむしかないという、そもそもの考え方がフランスにはあります。


 そう言い切ってしまうのはどうかと思います。
が、では親が大事に大事に、保育園にも幼稚園にも預けずに育てられて、とっても立派な社会人になって、それがその子の幸せなのかというと、そんな保証はどこにもないわけで……。
むしろ、そういう豊かで苦しみの少ない家庭に育ってしまったからこそ、弱い人間の気持ちがわからない人になったり、尊大になって周囲の人間が去って行ってしまう人もいます。

 子育てに何が正解かなどということはない。
ならば、まずは夫婦が幸せにならないと意味がない。
それならば、苦しい子育ては卒業して、他の人にも手伝ってもらって何が悪いの? むしろいいことじゃない。


 フランス人女性の無責任と言えなくもない価値観に、誇れるだけの子育ての結果を残せているのか?
今の日本の子どもたちを観察して、ちょっと考えてみる必要があるかもしれません。

Text/Keiichi Koyama

関連キーワード

この連載の過去の記事

special
2012.10.17

今月の特集

AMのこぼれ話