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  • 2012.06.10

フランス新ファーストレディに見る、「男の価値」

 本日より、日仏を比較しながら、日本女性の恋の進化を促そうというざっくりとした記事を書いていこうと思います。
便宜上「フランス人女性」「日本人女性」と書いていますが、もちろんすべての人にあてはまるわけではありません。
あくまで総体として、平均的なイメージとして括っているだけですので、目くじらを立てるのを抑えていただけますと幸いです。 よろしくお願いします。

美女とおじさん

 「ただのおじさん」と揶揄される新オランド仏大統領の恋人(パックスすら契約していない)、全てを持っている極美人で才女のヴァレリーが世界中で話題の存在に。
ツイッター上でミシェル・オバマに訪米時のエスコートに関してお礼を言ったかと思えば、「Rapport de l'Unicef: 10% d'enfants pauvres en France. Une information qui meriterait l'indignation et la Une. Pas la banalisation(ユニセフによるとフランスの児童の1割が貧困。一面で報道するにふさわしい情報。ワイドショーネタ(大衆ネタにする)にはふさわしくない」とか知的さを感じさせる呟きをする発信型の女性。
大企業増税を公約にして、経済的格差是正を訴えて当選した自分のパートナーに向かって「だからって貧困層を大衆扇動に利用するんじゃねーぞコノヤロウ!」とクギを刺しているともとれるこの発言、この勇気。
それもそのはず、彼女は元フランス大衆誌『Paris Match』の記者なんです。性差別的発言をした同僚にビンタしたり、勝手に自分の写真を表紙に使った元職場、Paris Matchに猛烈に抗議したとかなんとか。
美も才も地位もある女性が、ただのおっさん体型のオランド大統領をパートナーに選んだだけでも不思議なのに、その大統領の元パートナーも、美人で女性大統領候補にもなったセゴレーヌ・ロワイヤル。
なぜ外見も能力も揃えた仏人女性が、見た目の釣り合わない男性を選ぶのか?

 政治家って何かひきつけるパワーやら戦略を持っているのか。
たしかにファーストレディといわずとも、政治家の妻の座は魅力的なもの。
やっぱり権力だよね~と言いたい気持ちをぐっと抑えてみると、面白いことが見えてきました。


フランス人女性は「自分を輝かせてくれる」男性がお好き

happy couple By Angelo González
©happy couple By Angelo González

 友人の仏女性たちに聞くと男の条件として多く上がってくるのが「助けてくれる人」「自立を許してくれる人」「家事を手伝ってくれる人」。 上流サラリーマン家庭の専業主婦はまた話が別ですが、自分も仕事を持って自立している女性は大抵、生活を共にしていく上で精神的にも物質面でもヘルプになる人が大事だそう。
社会生活のためにも、私生活においても自分を1人の人間として「輝かせてくれる」男性。
家事の分担はもちろんのこと、一緒に休日を楽しく過ごす手筈が整えられたり、ちょっとした気遣いができたり……。
そうすることで、自分の仕事も私生活もより豊かにできる相手が、基本なんだと。もちろん、男性側へのヘルプも忘れずに。
 確かに、日本の政治家の妻たちは、なかなか表に出てきませんし、自分で仕事を持っている人はほんのわずか。
「内助の功」で一方的にヘルプする側に回っているように見えます。
日本人女性を全体的に見てみると、自分たちの女性としての「役割」を忠実に演じようとする傾向が高い。
だから男性も、いかに男性としての「役割」を忠実に果たしているかどうかで、価値を判断しているようです。
どこに勤めていて、どんな生活をしていて、どれくらい稼いで、どんな人生設計をしているかなどを重視。
相手によって自分がどれだけ“幸福”な存在になれるのかという、「自分ありき」の判断ではなく、自分がどれだけ他の人に“幸福に見られる”存在になれるのかという、「立場」を与えてくれる男性を評価しているよう。
自動的に自分の“幸福”の尺度を「社会的」判断に身を委ねる人が多数派。
相手の学歴や年齢や年収や職業という“枠組み”からスタートするお見合いや婚活が、いとも簡単に成立するのも、いい証拠かと思います。


自律的な女にとって、男性の価値は「恋する能力」

-56 By Emery Co Photo
©56 By Emery Co Photo

 フランス人男性の成功者(恋愛という面で)が、面倒くさいくらいに女性に対してケアできる理由がわからないと、不思議に思う日本人男性は多く、「そんなこと日本で広められたら、俺たちがもっと頑張らなきゃいけないじゃないか」と言ったTVコメンテーターもいました。
それは彼らが「恋ができる」からです。

 女性を見つめ、女性のことを思いやり、女性にもっと幸せになって欲しいと望むこと。
それが「恋」であり、愛するということ。
相手への気遣いや思いやりを「めんどくさい」「疲れる」、ましてや家事分担を当然のことのように女性に押し付けるなどという乱暴な行為は、恋ができていないからできるのです。
恋が終われば、相手への思いやりも心から出てこなくなってしまう……。
だからこそ、夫婦であったとしても、お互い恋をすることに対して障壁が少ないのだと思います。
別離をサラッとしてしまうのも、「恋が終わってしまったならしようがない」と、「恋をすること」自体価値が高いものと観ているからかと。

 オランド大統領は、前妻(PACS契約)セゴレーヌ・ロワイヤルが大統領選で忙しく、不在中に不倫をしました。
そうして3人の子どもがいながら別れることになったのですが、その時にロワイヤルがオランドに言い放った言葉が素敵すぎます。
「そうね、言うことがあるとすれば、あなたは恋に生きなさい!」
大統領選にかまけて相手への思いやりが欠けることになった自分の落ち度を認めた発言、かつ「恋ができる男」なんだから恋に生きてほしいと送り出すひとこと。
嫌味度もハンパないですが、強いです。
フランス人男性のモテポイントは、「見た目」<「恋する能力」なのかもしれません。
日本人男性で「恋する能力」がある人……う~ん、なかなかいませんね。
一流大学で「恋愛学」とか教えないといけない人たちですから。
そもそも「思いやり」の平均値自体が低すぎますから。

 相手の女性にできるだけ輝いてもらえるようにするのが魅力的な男性。

 「恋をする能力」がある男性を選びましょう。ない人は捨てましょう。

Text/Keiichi Koyama

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