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  • 2014.06.17

恋愛の契約を重視する日本人といきなりセックスするブラジル人/Barbossa林さんインタビュー

 今回の特集は「セフレ」。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)やCakesでの連載「ワイングラスの向こう側」Facebookページでの投稿が話題の渋谷のワインバーBarbossa(バールボッサ)の店主・林伸次さんに「セフレ」とは何なのかを伺ってきました。たくさんのご友人やお客様との会話から生まれた多彩なセフレ論を、ぜひご自身の考え方と照らし合わせながら、楽しんでみてくださいね。

林さんのセフレに関するスタンス
恋愛感情がなくてもセックスできる人とできない人

林伸次 BarBossa セフレ コラム 恋愛 AM

―本日は、セフレについて質問させてもらおうと思います。

林:まだ外がこんなに明るいのにこんなこと言うんだって思って顔が赤くなってしまって(笑)。まだお酒飲んでないのに。
色々話すこととか決めていたのに、やっぱ恥ずかしいかも(笑)。

―そうですよね、ご無理をせず徐々にお話していただけらうれしいです(笑)。

林:初めに僕のスタンスを話しておきたいんですけど、僕は女性の経験が4人で、たぶん奥手で耳年増なんです。
基本的にセックスって恋愛感情がないとできないもんだと信じ込んでいるんですよね。
だから、セフレっていう言葉自体ありえないって思っていたんです。
それで、お店のお客さんにも話をふってみたんですけど、まずセフレという言葉は置いといて、恋愛感情なしにセックスができる人とできない人がいるという話になって。
たとえば、風俗。僕は、いわゆる風俗は行ったことがないんですよ。
で、話を聞いていると、僕みたいに行ったことなくて、例えタダだとしてもできない男性が3割ぐらいいるような感じがしてきたんです。
具体的に失礼しますと、初めて目の前に座った人に急にパンツを脱がれても難しいということです。

 友達の知人で海外芸能人のキャスティングをやっている方がいるのですが、いわゆるグルーピーというか簡単にやってくれる女の子を用意することも仕事に入っているそうです。
でも、例えば5人のアーティストだったら、そのうち何人かは「俺はそういうの興味ないから」って言って、外に飲みに行くらしいんです。3割説はそんなところからもきています(笑)

 じゃあ、その3割の人はどうしたらセックスできるのかということを考えてみたら、「とりあえず外に出る」と。
ディズニーランドに行ったり、お酒を飲んだりして、こんなこと考えるんだとか、この子こうやって笑ったらかわいいなってそんなことが何時間かあって、ちょっとずつ恋愛感情が芽生えてきたら、その子とセックスできるかもしれない。

 でも、恋愛感情がなくてもセックスできるという人もいっぱいいるんですよ。
もちろん女性にもいる。「肌と肌の摩擦だから、そんな考えすぎだよ」とか言っている人もいて。

 それで、僕は「ファンタジーを信じるかどうか」という話をよくしていて、それを田端信太郎さんは、「頭の中お花畑」と表現しているんですけど。
そういう乙女心みたいなのって女性の中にもあるし、男性も中にもあるんですよね。そういうのを抱えている人は恋愛感情がないとセックスってできないんじゃないかなと。
そこまでが、僕が「セフレ」対して考えた始めの段階だったんですよ。

恋愛は恋愛、セックスはセックスで楽しめる人たちとセックスの相性

―恋愛感情なしでセックスしている人たちも結構いらっしゃったんですね。

林:「恋愛感情がないとセックスできないんじゃないの」って色んな人に突っ込んで聞いていたんですけど、そしたら「いや、そうでもないよ」っていう人たちもけっこう出始めて。
最近の恋愛事情を取材している人たちに聞いたんですけど、恋愛は恋愛で別にしておいて、セックスはセックスで楽しんでいる人たちがいるって。他にも同じことを言っていた人たちが二組ぐらいいて。

 この『脳はこんなに悩ましい』(新潮社/池谷 裕二、中村 うさぎ)という本がすごく面白くて、これに、「人は何をしているときに幸福を感じるのか」というデータがあるんですが。
ランキング1位はセックスで90点を超えていてダントツなんですよ(笑)。
ねずみでさえもセックスをすると、ストレスが解消されるって書いてあって。
その次が、77点でエクササイズ、3位がお喋り。意外と料理とか、ダラダラするとかは点数が低いんです。セックスだけが圧倒的に90点を超えている。
それも踏まえて、みんなの言い分を聞いていると、セックスが圧倒的に気持ちいいからするっていうんですよ。
快感得られるからやっている人が確実に沢山いる。

 そんな話をしていると「すごく合う人とやったら、肌を触っていたり、はめているだけでも気持ちいいんだよ」とも聞きました。
ちなみに、その人たちによると、合う人は20人に1人ぐらいらしいんですよ。
とある女性は、ものすごく合う人と出会ったけど、お金や恋愛とか色々な価値観が合わなくて、このままだったら不幸になるわと思って、泣く泣く別れたと言っていました。
全然年下の女性なんですけど、「セックス合う、合わないとか本当にあるよ」って言われて、「あ、そうなんですか」って(笑)。

ブラジルの人の激しい恋愛観

―セックスに関してはあらゆる価値観が存在しますね。

林:そうですね。実は以前、2年ほど日本のブラジルレストランでブラジル人と働いていて、2か月間ブラジルで暮らしたこともあるんです。
そこで知ったのが、彼らってセックスに対して、ほとんど罪悪感を持ってないんですよ。本当に普通にしちゃうんですよ(笑)。
だから、男性も女性も恋愛する前に初めにセックスするんです。
なぜか聞いたら、「好きになってからセックスしてしまったら、合わないときにお互い辛いじゃない」って。
恋愛感情はまた別のものであって、すごくすごく好きでも相手が結婚していたら辛いし、身分が違っても辛いから、色んな条件を合わせておいてから恋愛するのが、恋愛ってものよって教えてもらって。
すごいですよねー。そのときにも、セックスが合う、合わないって本当にあるんだなって思いましたね。

 また、もっとさらにスポーツのようにやっていて、恋愛とか結婚とは別にセックスを楽しんでいるという方もいますよね。
そういう方たちを取材した人に話を聞いたら、何百人斬りというようなことをやっているのは病だと。
モテなかった経験があったり、東電OLみたいに自分が女性として認めらなくて、それを承認して欲しいがためにやっている人はいるねって。
でも、本人たちはセックスが気持ちいいからっていうことでやっている。

―林さんはそれを病だと感じますか?

林:病なのか分からないですね。
もしかしたら、恋愛感情がないとセックスできないと言っている僕らの方が実は病かもしれないし。どっちが病なのかは難しいですね。
恋愛という感情自体もしかしたら幻想かもしれないですし。

付き合うか、付き合わないかを口に出すことについて

林:Facebookにもこの話題をのせたのですが、最近って付き合おうって言わないと恋人状態じゃないんですよね。
僕ちょっと年がいっているのでわからなかったんですが、そう思います?

―そう思います。

林:昔は、デートしてキスしてセックスしたら、恋人って思っていいって考えだったと思うんです。
でも、最近は二人でセックスとか色々していても付き合おうかって言わないと恋人状態じゃないみたいで。
それで、その付き合おうとはまだ言っていない状態で、相手の女性が「ちょっとあんた浮気しているでしょ」って言ったら、「え、浮気相手はお前だよ」って言われる可能性があるっていうお話を聞いて(笑)。

―つらいです(笑)。

林:約束をしてないと、セフレの可能性があると女の子が思っていることを最近認識しました。
「付き合おうかって言われていなくて、ただ単に会ってセックスだけしている仲で、こっちにはすごく恋愛感情があるのに、向こうが恋愛感情があるかどうか、あるいは浮気なのかどうかが確かめられない状態をセフレって言うのよ、林さん」って言われました(笑)。

―その話はよく聞きますね。本命になりたいセフレってことですよね。少しダメなセフレかもしれません。

林:AMの特集でいう「片思いセフレ」というか(笑)。そういう人も多いみたいですね。

―セフレという言葉を便利に使っている感じがしますね。昔は付き合うって言わなくても、付き合えたんですね。ブラジルの方の恋愛観とは、また違いますが。

林:大体セックスしたら、付き合うって言わなくてもそれって付き合っている状態じゃないのって思っていたんですけど。

―なんで突然多様化したんでしょうかね?

林:多様化というか、もしかしたら出会える場所が増えたのもあるかもしれないですね。
僕、合コンって行ったことがないんですよ。今44歳なんですけど、同じくらいの年の男性だと合コンしたことない人がけっこういるんですよね。
しなくても、そこそこ周りで相手を見つけていた気がします。
昔の出会いは、職場の中とかすぐ近くだったので、セックスしたらすぐ「恋人じゃないの?」ってなる。

 でも合コンで出会った全く違うコミュニティの人とだったら、あっちでセックスして、こっちでセックスしていても全然バレないじゃないですか。
SNSとか、インターネットで、自分の生活から離れた狩場があるから、付き合うという承認や契約が必要となったのかなと思い始めたんです。
それで、セフレという言葉が今浮上してきたのかなって。

―なるほど。便利さが影響しているのかもしれないですね。

【続きます。次回をお楽しみに!】

『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』

 Barbossa店主・林さんの書籍『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』です。
セフレ以上にこんなに楽しい会話ができるバーに興味が出た方はぜひこちらもあわせて読んでみてくださいね。

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