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  • 2014.02.07

不倫したいという願望は誰にでもある?/『官能教育』著者・植島啓司さんインタビュー(2)


『官能教育』を出された植島啓司さんに女性の不倫、そして愛についてお聞きしました。
「女性は性に関して罪の意識を感じるように教育されている」、「生物学的に、浮気において男女に違いはないのかもしれない」など人類学者の植島さんならではのお話に注目です!
第一回目「セックスとは性行為ではなく相手を受け入れること」も合わせてどうぞ。

傷つかない不倫をするには?

植島啓司 官能教育


─不倫をしている女性は、楽しんでいるイメージもある反面、傷ついて苦しんでいる場合ももちろんあると思います。
傷つかない不倫をするために気をつけることがあれば教えてください。

植島啓司さん(以下、敬称略):不倫ということは本命のパートナーがいるわけですよね。
ですから、「パートナーを裏切るか裏切らないか」というところが分岐点になってくる。
ちょっと裏切ると、快感もそれだけ大きいんですけど、その分罪悪感も出てくるわけで。
でも、「パートナーを裏切らない」というのは気持ちの問題だから、どこからが裏切りなのかは人によって異なってくると思うんです。

 例えば、嬉しくてハグしたり、手を繋いだりしただけでも裏切りだと感じる人もいるし、セックスまでして初めて裏切りだという人もいるだろうし。
それは人によっていろいろ違うんですね。
でも、快楽、喜びというのは裏側に多少の罪の意識がついているものなんです。
逆にいうと、そこまでいかないと喜びにならないと思うんですけどね。

─じゃあ、罪悪感があるのは悪いことじゃないんですね。

植島:それは裏表ですから。
最近、みなさん罪悪感に過敏で、人に見られていない部分も正しくあらねば、と思っている人が多いように感じますね。

─そうですよね。窮屈です。
不倫が楽しいと人に言いたくなっちゃう気持ちもあると思うんですけど、そうすると友達から反感を買ってしまったり、嫌われてしまったりしまいますよね。

植島:(笑)。あんまり言わないほうがいいかもね。
ほかの男の人と映画を観に行ったらどんなに楽しいだろうとか、そういう気持ちは誰にでもあるじゃないですか。
不倫したいという願望はやっぱり誰にでもある。
不倫ができない人は、できない自分の状況に不満をもっていたり、自由にしている人がいたら、「なんだお前だけいい思いして」という気持ちになるんだと思います。
同性に対する嫉妬心ですね。
自分は機会もなければ勇気もないのに、それができている人が羨ましいんじゃないでしょうか。

─我慢している感情があるということですよね。
基本的にみんな不倫したいという気持ちがあるのでしょうか?

植島:不倫というのも定義が難しいんですが。
でもやっぱり人は多くの人を愛するように生まれてきているのであって、一人の人だけに愛情を全部そそぐわけにはいかないんじゃないですか。
だから、そういう願望は誰にでもあると思いますよ。
たくさん好きな人ができるのはしょうがないし、けっして悪いことではない。
どちらかというと好きになれない方が大変なんじゃないかな。

本命と浮気はどっちを選ぶべき?


─遊びのつもりで浮気や不倫を始めて、結果的に本命の男性の方がおろそかになる場合もあると思うんですけど、そうなってしまったら、本命をやめて新しい方へ行った方がいいんでしょうか?
気持ちを上手く分散する方法はありますか?

植島:パートナーはパートナーで、もう過去に愛情生活も性生活も楽しんできているわけだから、新鮮なときめきは少なくなってきますよね。
そうなってきたら、男性も女性も、今度は一緒にいてワクワクする相手が欲しくなってくるわけです。
愛情ってやっぱり4年で終わるって言われているように、同じようなテンションではなかなか続かないから、ちょっと質が変わるんです。

 でも、今いるパートナーに飽きたから他へというのを続けていくと永遠にきりがないですよね。
ですから、恋愛の質が変わったということをちゃんと理解しないといけないと思いますよ。
新しい相手というより、その長い恋愛とは質が違うものが必要になってくるってことです。
A君よりもB君がいいというわけじゃなく、新しい男性とも4年くらいしたら同じようになるかもしれないのでね。

─では、パートナーには安心とか家族的な役割を求めて、わくわくとは質が違うということを分かって付き合っていくってことですね。

植島:そうですね。ただ恋愛って先着順じゃなくて、後から本当に素敵な人が現れるということもあるので、我慢をすべきかどうかはその人の状況次第ですね。

─確かに、先着順じゃないということを忘れがちでした。

そもそも本命の相手を見つけるには


―今までのお話で、本命のパートナーと、キスフレや愛人が両方いたらより楽しい生活が送れそうなんですが、ただ、その前に本命の男性を見つけられないという部分で悩んでいる人が多くいるように感じています。
頑なに恋愛しないと思っている人や私には恋愛は向かないと思っている人が、本命を見つけるためにオススメの方法ってありますか?

植島:技術的なことは後にして、人を好きになるってことは結構難しいことになってきているんですよね。
今は、どんどん女の人が条件を出すじゃないですか。
身長は〇センチ以上で、収入は〇円で、私には優しいけど他の女の子には目もくれない人…みたいに(笑)。
でも、条件が多くなればなるほど相手を見つけるのが難しくなってくる。
昔は選択肢がなかったから、たとえば傍にいる5人の中で誰かを選ぶという、非常にシンプルなものだったんですけどね。
今はインターネットもあって出会いは無限に広がるからこそ、なんでこの男の人と…という迷いがいつもあると思うんですね。

 でも基本的には片っぱしから好きになったらいいと思います。
僕はどちらかというと簡単な人間なので、旅先で会って何となくその人と一緒にいただけで好意を持ったりもするし、そもそも嫌いになることがほとんどないっていう性格なんです(笑)。
「恋愛できない」と悩んでいる人がたくさんいるのは、恋愛は一生に一度の決定的なもので、間違ったら終わりと思っているからじゃないですか。

─確かに…!漫画やテレビドラマの影響で、恋愛というのは突然落ちて、どうしようもなく巻き込まれて、波乱もあるみたいなものだと思ってしまいますよね。

植島:そういう恋には憧れることはあっても、いつもそういうわけにはいかないでしょう。
もっと、じわーっと温まっていくような恋もあるし。
いずれにしても、こうしてインターネットが普及して個人的にいろいろな人と繋がれる世の中って逆に恋愛を難しくさせますね。
たった5人の中で選ぶなら、「まあこの人かな」って選べるけどね(笑)。

─選択肢が多い感じはしますよね。
漠然と結婚したいと思っている女性はいっぱいいるんですけど、いざこの彼氏と結婚するってなると本当にいいのかなと迷ってしまう女性が多いように思えます。
皆さんそういうことを考えながら結婚しているとは思うんですけど。

幻冬舎担当編集さん:Facebookで自分の彼氏よりもかっこよくて、面白くて、仕事もバリバリしている人が可視化されて、大変ですよね(笑)。

─決めるのって大変ですよね。
その「この人にしよう」「この人と結婚しよう」って決めたり決めさせたりすることってどうしたらいいんですか?

植島:基本的に、多くの男性は女性に比べたら結婚したくないと思ってますね。
子どもができてから結婚するケースが増えているのは、何かキッカケがないと結婚する必要がないからなんだと思います。
だって男の30代なんて楽しくてしようがない。
一人の女の人に決めて結婚して起こるいいことってあんまりないように感じている。

 自分の場合で言うと、何年も付き合っていて、向こうの家族も知るようになったので、責任もあるなって考えるようになったんですね。
それでその時は結婚した方がお互いのためになると思ったわけです。
そういう何かきっかけがあったり責任感を感じたというケースが多いんじゃないですかね。

─女性でも、「あれ、もしかして結婚しない方が自由なのかな」っていう子も出てきている気がします。

植島:そういう選択肢も増えてきたと思うんですけど、女性は子どもを産みたい場合は、どうしてもある程度タイムリミットがあるので不利ですね。
男性の場合は、そこは関係ないからのんびりしているけど。

【第三回 四十代でも肉食女性をめざせ!】につづきます。

Text/AM編集部

植島啓司
1947年東京都生まれ。宗教人類学者。東京大学卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了後、シカゴ大学大学院に留学、M・エリアーデらのもとで研究を続ける。NYのニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ(人類学)客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授などを歴任。40年以上世界各国で宗教人類学の調査を続けている。

植島啓司 官能小説

『官能教育』
著者:植島啓司
発行:幻冬舎

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