不倫したいという願望は誰にでもある?/『官能教育』著者・植島啓司さんインタビュー(2)

『官能教育』を出された植島啓司さんに女性の不倫、そして愛についてお聞きしました。
「女性は性に関して罪の意識を感じるように教育されている」、「生物学的に、浮気において男女に違いはないのかもしれない」など人類学者の植島さんならではのお話に注目です!
第一回目「セックスとは性行為ではなく相手を受け入れること」も合わせてどうぞ。

傷つかない不倫をするには?

植島啓司 官能教育

─不倫をしている女性は、楽しんでいるイメージもある反面、傷ついて苦しんでいる場合ももちろんあると思います。
傷つかない不倫をするために気をつけることがあれば教えてください。

植島啓司さん(以下、敬称略):不倫ということは本命のパートナーがいるわけですよね。
ですから、「パートナーを裏切るか裏切らないか」というところが分岐点になってくる。
ちょっと裏切ると、快感もそれだけ大きいんですけど、その分罪悪感も出てくるわけで。
でも、「パートナーを裏切らない」というのは気持ちの問題だから、どこからが裏切りなのかは人によって異なってくると思うんです。

 例えば、嬉しくてハグしたり、手を繋いだりしただけでも裏切りだと感じる人もいるし、セックスまでして初めて裏切りだという人もいるだろうし。
それは人によっていろいろ違うんですね。
でも、快楽、喜びというのは裏側に多少の罪の意識がついているものなんです。
逆にいうと、そこまでいかないと喜びにならないと思うんですけどね。

─じゃあ、罪悪感があるのは悪いことじゃないんですね。

植島:それは裏表ですから。
最近、みなさん罪悪感に過敏で、人に見られていない部分も正しくあらねば、と思っている人が多いように感じますね。

─そうですよね。窮屈です。
不倫が楽しいと人に言いたくなっちゃう気持ちもあると思うんですけど、そうすると友達から反感を買ってしまったり、嫌われてしまったりしまいますよね。

植島:(笑)。あんまり言わないほうがいいかもね。
ほかの男の人と映画を観に行ったらどんなに楽しいだろうとか、そういう気持ちは誰にでもあるじゃないですか。
不倫したいという願望はやっぱり誰にでもある。
不倫ができない人は、できない自分の状況に不満をもっていたり、自由にしている人がいたら、「なんだお前だけいい思いして」という気持ちになるんだと思います。
同性に対する嫉妬心ですね。
自分は機会もなければ勇気もないのに、それができている人が羨ましいんじゃないでしょうか。

─我慢している感情があるということですよね。
基本的にみんな不倫したいという気持ちがあるのでしょうか?

植島:不倫というのも定義が難しいんですが。
でもやっぱり人は多くの人を愛するように生まれてきているのであって、一人の人だけに愛情を全部そそぐわけにはいかないんじゃないですか。
だから、そういう願望は誰にでもあると思いますよ。
たくさん好きな人ができるのはしょうがないし、けっして悪いことではない。
どちらかというと好きになれない方が大変なんじゃないかな。