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  • 2014.02.10

美醜よりも、周りを巻き込むアクティブなエネルギーが現代のモテ/『官能教育』著者・植島啓司さんインタビュー(3)


『官能教育』を出された植島啓司さんに女性の不倫、そして愛についてお聞きしました。
「女性は性に関して罪の意識を感じるように教育されている」、「生物学的に、浮気において男女に違いはないのかもしれない」など人類学者の植島さんならではのお話に注目です!
第一回目「セックスとは性行為ではなく相手を受け入れること」、第二回目「不倫したいという願望は誰にでもある?」も合わせてどうぞ。

四十代でも肉食女性をめざせ!

植島啓司 官能教育


─『官能教育』の中に出てきた植島さんの知人である肉食女性のUさんが羨ましいなって思っていて。
(※Uさんとは今でも現役で素敵な恋をしている四十代の肉食女性)

植島啓司さん(以下、敬称略):Uさんすごいよね(笑)。
UさんとUさんの旦那さんとで3人で飲んだんだけど、旦那さんはすごくカッコいいんですよ。

─羨ましいです。どうやったらそうなれるんですかね?

植島: Uさんはそんなに美人というわけでもないんだけど、なんとなくセクシーで魅力的なんですね(笑)。

―最近聞く年下の素敵な男性と結婚した女性ってみんなそういう感じですよね。
美醜というよりは、湧き出るようなエネルギーがあるというか。

植島:Uさんの周りの女性もみんなエネルギー系の女性だね。
誰も結婚してなくて、子どもも産んでなくて、40代まで仕事していて元気。
それでいて恋人もたくさんいる。

―いいですね。

植島:「結婚したのは私ぐらい!」ってUさん言っていたから。
自分に何か欠けたものがあるとくよくよ思っている人はどんなにキレイでもモテないんだと思う。あまり魅力を感じないというか。
たぶん、男性の方もすごく楽しそうな人を見つけたらついていきたくなるんじゃないですか(笑)。

―男性もそう思っているんですね!

植島:男性も絶対そう思っている!

―将来的にそうなりたいですね。希望が湧いてきます。

幻冬舎担当:20代の若い期間なんて本当に短いし、あとの若くない女として過ごすときに何を目指すかがずっと大事だと思うんですよね。

植島:20代が一番しんどくて、やっぱり振り返ると楽しくないしね。
あと、Uさんは、どうしてこんなに大きな態度が取れるんだろうって思っちゃうぐらい男性に対しての態度が大きいんだよね(笑)。
もちろん隠れた配慮も忘れないけれど。

―20代に浸透しているモテテクとは真逆ですね。
今後、魅力的な女性像はそうなっていくと思いますか?

植島:その方向に変わっていくと思いますよ。
アメリカやヨーロッパなど海外でモテる女の子ってみんなアクティブな子ですよね。
海外ではシーンと大人しくしていて声をかけられるのを待っているような女の子っていないから。

 ただ、段々と男女が平等になっていいけど、女性もそれだけの義務や責任、自分がまわりを豊かにするようなものが必要になってきているわけです。
男女が平等になるということは社会的にはいいことなんだけど、女性の負担も増えるので、そこは自覚しなきゃいけないかもしれません。

矢口と不倫問題


―不倫をした女性に対する世間の目がすごく冷たいように感じます。
特に昨年の元モーニング娘の矢口真里の不倫報道が強いバッシングを受けていたのが印象的だったんですけど、これはどういう理由からでしょうか?
さっきおっしゃっていた嫉妬心などが関係するのでしょうか?

植島:嫉妬心はすごく大きいと思うけど。
このあいだ湯山(玲子)さんと対談したときには、「これが矢口真里じゃなくて、中谷美紀だったらオッケーなのにね」って話したんだけどね。あと蒼井優とかだったら。

 矢口真里はちょっとイメージがよくなかったかな。
中谷美紀だったら、いろいろ悩んだんだろうなって思われそうじゃないですか。

―確かに、中谷美紀だったら映画のワンシーンみたいですしね(笑)。

植島:ただ、やたらメディアが道徳を振りかざして責めたてるのは、みっともないですね。
前に芸能レポーターのことを批判したことがあるんだけど、自分はそんなに偉そうなことを言えるのかっていう人間ばかりなのにね。

―本当にそうですよね。
こういう報道を見て、やっぱり不倫をする女性はモテないんだなって思った人も多いかもと思っていて。

植島:僕の周りにいる30代の女子たちで不倫していない人ってほとんどいないけどね(笑)。
本当にごく普通の仕事している人たちだけど。

―矢口真理報道のときに、突如「不倫なんて誰もしてない」という雰囲気で叩かれた気がしたので。

植島:80年代90年代の反動かな。
セックスに対して自由になろうっていうメッセージが社会に溢れたときは雑誌も売れたし、テレビもすごく人気があったわけです。
でも、社会が不況で収縮してしまうと、今度は誰か得をしているやつがいるんじゃないかという雰囲気になってくる。

 これはよくない傾向で、いわゆる「貧すれば鈍す」ですね。
お金がある時代ってやっぱり心も豊かなんですよ。
悪いこともいっぱいあったけど、恋愛やセックスに関してはすごく豊かな時代だった。
そういう時代がまたくるといいんだけど。

―来てほしいですね。
言い方悪いですけど、20代の恋愛はちょっと貧乏くさいところがあるんです。結婚だけを目的にしていて、無駄を一切排除しているというか。

植島:女の人はどう思っているか分からないですが、ぼくは婚活とかあまり好きじゃないですね。
「婚活」っていう言葉自体がもの欲しそうで下品な気がして。
しかしまあ、そのくらい選択することや、人との繋がりが難しくなった時代ということですよね。
ご本人たちからしたら切実だと思うんだけど。

―結婚してないとヤバいんじゃないかと不安になる気持ちはありますね。
結婚したいのに、恋愛したいというのは恥ずかしくて言えないから、一見簡単に見える婚活に流れてしまっているところもあるのでしょうか。

植島:恋愛の豊かさを十分に満喫すれば、自然に結婚に移行していくと思うんです。
でも、恋愛をすっ飛ばして結婚にいこうとすると、どこかに歪みが出ると思いますね。

外見の美しさのヒエラルキーはなくなってきている


―恋愛体質の人の方がもしかしていいのでしょうか?

植島:そうですね。
話は戻りますが、女性も不倫できる世の中になったということは、本当に人間の歴史の中では珍しくいいことだと思いますよ。
やっとそうなったんだなって感慨深いものがある。
平安時代の女性の日記で『とはずがたり』という作品があります。
女の人が天皇に恋をされて、子どもを身ごもるんだけど、そのときはすでに愛人がいて、男性を転々とするという源氏物語の女性版なんだけど。
その物語を最初に読んだときは、すでにあの時代にこういう人がいたんだって思ってすごく痛快でした。

―奔放な女性はとても魅力的に感じますよね。

植島:そういう相手がいるってことは、つねに男に好かれるってことでもあるでしょ。
やっぱりそういう人は姿、形だけじゃなく、人間としても魅力的ですよね。

―それが、エネルギーの正体なんですかね。エネルギーを発する側を目指したいです。

植島:外見的な美しさって今はあんまり差がなくなってきているんですよ。
化粧も上手くなってきているし。

―なんでモテるんだろうっていう人は、みんな大体エネルギーがある人な気がしてきました。

植島:若い男性たちは、美醜関係なくなおさらそういう人に惹かれているかもね。
僕らの世代は、ハリウッド女優が基準だったし、それ以降も、女性誌の表紙はほとんど外人モデルだった。でも、今はそうじゃなくなった。
いまは、昔と比べれば美しさのヒエラルキーはあまりないかもしれない。みんなかわいい。
ちょっと口が大きかったり、鼻が低かったりしても、個性的と言われる時代だしね。
男だけじゃなくて、女も生き方が変わってきたからね。

―すごい勇気が出ますね。女性は特に美醜をすごく気にしている人が多いと思うので。
読者の方にも自信がなくて恋愛をしていない人もいると思うので、ぜひ自分だけの魅力をみがいてほしいと思います。

Text/AM編集部

植島啓司
1947年東京都生まれ。宗教人類学者。東京大学卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了後、シカゴ大学大学院に留学、M・エリアーデらのもとで研究を続ける。NYのニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ(人類学)客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授などを歴任。40年以上世界各国で宗教人類学の調査を続けている。

植島啓司 官能小説

『官能教育』
著者:植島啓司
発行:幻冬舎

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