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  • 2013.09.05

食べる姿は色欲の導線!/食と恋愛にまつわる欲望(2)


 前回の「見詰め合うだけで濡れるディナー」も合わせてどうぞ。

放送中のドラマ『たべるダケ』から読み取る
食事と色事の共通点

鈴木みのり エロしぐさ
midnights garden


 ひたすら食に興味を示し、豪快に食べる女を主軸にした現在放送中のドラマ『たべるダケ』(テレビ東京)。

 第一話目からいきなり、主演の後藤まりこがアイスクリームを食べるシーンが強烈でした。指で支えるコーンの登頂に丸く大きく張ったアイスクリームを、上から大口を開けてくわえこみ、溶けていくアイスがくちびるからこぼれ出して口もとを汚すと舌を回してすくい取り、食べる。

「いただきます」「ごちそうさま」以外のセリフはなく、目の前の料理をただただ「たべるダケ」。そんな様子を、いっしょに食事をしたもうひとりの主人公・柿野(新井浩文)は「優雅で、豪快で、ちょっとエロかったなあ」と評します。

 なぜ「食べる」という行為はエロいのか? 
性器と同じく、くちびるや舌は粘膜ですし、外部と内部の橋であり、何より快感は粘膜同士の接触から生まれるという点で共通します。性器とくちびるの色は同じ……なあんてことも、まことしやかに言われています。

『たべるダケ』で、ひょんと上がった口角をした後藤まりこのキュートなくちびるが大ぶりなカツをくわえこみ、こぼれ落ちる肉汁を指ですくい舌でなめる様がエロティックに見えるのは、彼女の食べる姿がそういう行為を連想させるからでしょう。「噛む」「くわえる」「なめる」「飲む」、食事にまつわる動詞が色事にも通じるのは、きっとそういうこと。
ドラマのオープニング映像でも、ケーキ、桃、ぶどうを口もとに運ぶところがドアップでこれでもか! と映し出されます。

 しかし、彼女の食べる様子はあくまでも爽快。下品さはありません。

 くちびるは性器を連想させると書きましたが、ローラちゃんが繰り出す、キュッと結んだくちびるの端から舌を出す、ペコちゃん風のアノ行為。わたしからすると、アレは女性器のアピールにしか思えないのですが、ローラちゃんのキャラと顔面でやられると、エロさよりかわいさが勝る。しかし、サブリミナル効果のごとく、女子ウケのかわいいのなかにエロスを潜ませているのではないかとにらんでいます。

食事のマナーはエロスのマナーにも通じる


 以前、「密かに磨く、エロしぐさ」の連載第2回で照沼ファリーザという友人について書きました。

 彼女は過去に大沢佑香、晶エリーという名前でAV女優として活動しており、企画ものAVでヒット作を連発、有吉弘行さんからは「AV業界の怪物」と言わしめたほど。

 そんな彼女が以前、アメリカはラスベガスでのアダルトビデオイベントに参加した際、「クリームパイ」という言葉が飛び交っていたそうです。メーカーさんに尋ねてみると、 アメリカのポルノ業界では「中出し」を意味するとのこと。なるほど、クリームが中に! なんておしゃれなの! 

 しかし、我々はハッとしました。
「クリームパイガールズ」とか言うとかわいいけど、連呼できるから逆に品が損なわれ、いやらしさも減退してスポーティすぎはしないか!? と。やっぱり「クリームパイガールズ<中出しギャル」の方がいやらしくないですか? ヤ、「中出しオンナ」か? この単語ならなかなか口にはできないでしょう。

 そこで思い出されるのが、TBSの田中みな実アナによる伝説的なビールフェスレポ。 ソーセージをくわえて「黒~い、ふと~い」、ビールを飲んで「やっぱりみな実、生が好き!」と放ったアレです。
「やりすぎ」「品がない」と非難囂々でしたが、たしかにそこには(仕事なので田中アナの本心はわかりませんが)恥じらいが感じられません。

 田中アナがソーセージはくわえる姿はあからさまに不特定多数の男の目を意識しすぎているからあざといけれど、後藤まりこが『たべるダケ』で見せる食事の様は、男への意識は皆無、ただ食に対してまっすぐなので清々しく映るのではないでしょうか。

 居酒屋なんかで男女混合の飲み会があると、ソーセージに色めきだってキャアキャア言う女性がいますが、だいたいそういう子はサバサバを標榜しがち。そういう風に、下ネタもいけるよアタシ~と振る舞っていても、内心は乙女でドロドロになっていることが多く、女同士になると見た目への劣等感を吐露したり、ひるがえってモテ女を批難してきます。
ですが、他人を攻撃するような品のないことをやっても、自分が高まることはないんじゃないでしょうか。

食卓さえ戦場と化す、恋愛ライフ! EAT or DIE!


 ここで大事なのは、自分のポジショニングを意識するということ。

 田中アナがソーセージをくわえこむと、テレビ的な「かわいい女子×あざといセックスアピール」でイヤミですが、それでも彼女は顔面偏差値が高いので、実際目の当たりにするとやっぱりグッとくる男性は多そうです。
飛び抜けて高い顔面偏差値は、あざとさを凌駕する。

 一方で、女性お笑い芸人がでかいソーセージを食べると、エロくなく、お笑いになる。
だけど、女性芸人のなかでも大久保佳代子さんがやると、笑える……けど、どこかエロい。
大久保さんの芸のすばらしさは、女を捨てているようで意外と上品、だから恥じらいのパフォーマンスが少し真実味を帯びていて乙女心を想起させる、結果としてエロスを感じさせるところだと思います。

 自分の顔面偏差値、キャラクター、狙い定める相手との相性や関係性、もっと細かいところだと見える角度次第で、「食べる」所作の効果が変わってきます。モテやエロテクの指南書をひもとくと大概、誰がやっても同様にエロい/かわいいとされる行為しか書かれておらず、それはつまり不特定多数へのアピールで身の程知らずのはしたなさにもなり得て、「誰でもいいんだ」と思われてしまう危険性もあります。

 自分の美意識に則ってかわいくしようとがんばってる女の子は、食べたいヤリたい出したいといった生理的欲求をなるべく男の子に見せたくないもの。エロスが生じるメカニズムは理想的な自己イメージからはずれた瞬間にこぼれ落ちる恥じらい……なあんて書くと仰々しいですが、単純に、ふだんみんなの前ではしない表情を女の子が見せてくれると、男はグッとくるものではないでしょうか。意中の男性が、自分以外の女性には言わないようなこと、やらないような行為をしてくれたとき、キュンとする、それと同じ。

 球体を吸い上げ、飲むタピオカミルクティー。
ドライフルーツとしてコンビニでも見かけるイチジクは性欲のシンボル。
あからさまに性器のモチーフとして使われるアワビをはじめとした貝類。
先述のクリームパイと同種のエクレアやシュークリームなど、乳白色のクリームを使った生菓子も気軽に手に入ります。
ビールでさえ、くちびるに残った泡を舌なめずることでセックスアピールに転じさせられることは、田中みな実アナが証明してみせました。使える! 食べ物に意味を込めればなんだって欲情の導火線として使えます!

 セックスアピールは捨てたくない、けどかわいいとも思われたい、そのうえアレも食べたいコレも飲みたい……。
自身の美意識と、食と性への欲望、周りからの視線といった、乙女心を取り囲む条件が食卓さえ熾烈な戦いの場に化します。巷にあふれる食べ物や飲み物、食事で使うくちびると舌と指を上手く利用して、サヴァイヴしたいものです。戦いから降りるのも手です。


Text/鈴木みのり


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ライタープロフィール

鈴木みのり
某出版社の編集者にナンパされて、流れるままにはじめたライター2年目。

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