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  • 2013.07.22

2度の自己破産と4度の離婚でわかるお金と愛のリスク/心的負債を減らせ!

 女優兼作家の前川麻子さんの、4度の離婚経験を元にした様々な恋愛に関するお話は本当に聞いて損はありません! 恋愛で困りがちなあなたにぜひおすすめです。

2度の自己破産と4度の離婚
恋をするたびお金と愛のリスクがよぎる

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©by GS+

 2度の自己破産と4度の離婚をしている私にとって「愛」と「お金」は、45年間生きてきて未だ苦手意識を克服できずにいる二大テーマなのですが、だからといってこれらに触れずに生きていくのは至難の業で、結局は酷い目に遭ったり遭わせたりを繰り返して苦手意識をこじらせるばかり。

 こんだけやらかし続けてきてるんだから、いい加減それなりの対処法を身につけてもいいはずなのになあと、考えるたび自己嫌悪に陥る二大重圧でもあるわけです。

 恋をするたびに「愛」と「お金」のリスクが頭をよぎります。
恋した相手に貢ぐというような「愛」と「お金」の連動がないのはマシなのかもしれませんが、つまり私にとって「愛」と「お金」はそれぞれ別個の重要な問題として、常に恋の障壁になり得ました。

 お金のない若い男の子との恋愛は苦しい。
デート代自分持ちでもしわ寄せがこないくらいに稼いでいればちっとも構わないのだけど、自分にそれだけの経済力がないときには、正直なところ居酒屋での飲み代だってしんどい。
デート代くらいなら1人で過ごす時間で使うお金をやり繰りすればなんとかなるとしても、奢ったという感覚が、どこかで見返りを望んでしまうところがあって、結局のところそれが満たされずに苦しくなるわけです。

 お金持ちのおじさんとの恋愛も然り。
夢中になるほどの恋心に至らなくても、デート代一切向こう持ちで豪勢な食事や贈り物、旅行にも連れて行ってくれるとなれば、それに見合うだけの何かをお返ししなければと思ってしまう。
「そんなのいいんだよ。おじさんはこうやって君が喜んでくれるだけで充分に満足なんだから」
なんて言ってくれたって、どうしても心の奥底では負債を背負っていく。

 ならば、割り勘。
自分の分は自分でというのが一番健全なわけですが、これまた常にバランスを計らなくてはならないようなところがあってどうにもしっくりやれず、趣味・嗜好が似ている→お金の使い方が似ているという相手であれば止める人なくお互いが好き勝手際限なく浪費するし、そうでなければ自分のお金を使うときでもなんだか後ろ暗いような気持ちになって「どうしても必要だから」と無駄な言い訳をしたり。

 嫌ですねえ。
こうやってざっくりなことを書き並べるだけでも、どよんと嫌な気持ちになります。

奢っても奢られても
どこかがちくっとすることがある

 4回も結婚してるのに、結婚していた人との生活でお金のことをどうやり繰りしていたのか、はっきりした記憶がない。
ということは多分殆ど私は何も考えていなかったということだろうと推察できる。
生活に必要なお金は男の人が稼いでくるものという、まったく意味のない思い込みがあったのです。
そして旦那さんもきっとそれに応えることが責任であると思ってくれていたのでしょう。


 苦しめてきたんだなあと今は判ります。

 経済観念というよりも社会性そのものがないので、旦那さんが一生懸命に働いて稼いでくるお金に対して、ありがたみとか敬意とかが欠落していたんだと思います。
独り暮らしになってようやく、あっちのスーパーとこっちのスーパーで野菜の値段を比べる程度の知恵がついた。
コンビニのATM手数料が惜しくてわざわざ遠くの銀行まで歩くなんて労力も、この頃は惜しくない。

 そういう当たり前の感覚が身に付いてきた私は、かなりケチンボになりました。

 どうでもよくない(どうにかなりたい)男の人と逢うためなら、1食2食抜いても余分なお金を用意して出かけたいし、ちょっとでも余裕があればちっとも予定なんかなくたって逢いたい男の子と逢う時のために服を新調したりもしたいけど、どうでもいい男の人との暇つぶしにお金を使いたくない。

 こんなことは、働く女の人にとってきっと当たり前の感覚なのでしょう。
ただ、そういう当たり前の感覚を持っていれば、お金が恋の障壁になったりはしないだろうと思うのですが、どうやらそうとも限らない。
障壁とまではいかずとも、何かしら再考すべき問題点が含まれていることが多い。

 歳下の女友達は、「だって、ちょっとでもいい思いしたいじゃないですか」と言いながら(自分よりは)お金に余裕のあるオジさまとの不倫関係を続けていたり、同世代の奥様連中は「いいのよ、だってカワイイんだもん」と言いながら(自分よりは)貧乏な若い男の子にいいようにタカラレて恋愛気分になっている。
結婚のケの字も見せない彼氏とずるずる付き合ってる女友達は「お互いにある方が出せばいいと思ってるからね」と言いながら、記念日に花束一つ贈られることのない関係に実は凹んでいたりする。

 本人がそれでいいってんだからあれこれ言う筋合いじゃありません。
しかしまあ、そういう類いの「愛」と「お金」は、傍で見ている方もちくちくと胸が傷みます。
奢っても奢られてもいいし、どんなに高価な贈り物をしてもされてもいいんだけど、出しても出してもらっても、自分の歓びにも恋の悦びにもならず、どこかがちくっとするのであれば、それは心的負債なのではないでしょうか。

【後編につづく】

Text/前川麻子

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ライタープロフィール

前川麻子
俳優。2000年小説新潮長篇新人賞を受賞、著作多数。

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