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  • 2013.06.18

中村うさぎインタビュー:男はマザコンというけど、女もお母さんを求めてる

 今回は、小説家・コラムニストの中村うさぎさんに、ご自身の体験を踏まえて、「依存と甘え」についてのお話を伺いました。
最終回は、男女それぞれお母さんを欲しがっているというお話についてお聞きしました。恋愛から結婚への流れで悩んでいる人はぜひ読んでみてください。
第1回「甘え下手な優等生キャラは得しないが男に縁がない訳ではない」第2回「甘え下手な優等生キャラは得しないが男に縁がない訳ではない」第3回相手に執着してしまうのは自己愛が強すぎるからも合わせてどうぞ!

男も女も母子のべったり依存からはじまる

中村うさぎ AM インタビュー
©AM編集部

―男性の甘えと女性の甘えに違いはあると思いますか?

中村うさぎさん(以下敬称略):私は、男の方が甘えると思うんだよね。
どんどん図々しくなるし、勝手にお母さんにされていっちゃう。

じゃあ、男がお父さんになるのかというと、ならないから。
お父さんは実のお父さんだけだし…っていう風潮あるよね(笑)。

 一部のファザコンの人は別にして、お父さんと娘の間にそこまでの依存関係がないからだろうね。
母子っていうのは、男でも女でも生まれた時はべったりの依存関係から始まるから。
そこから自分の自我が芽生えて、だんだん親離れをして、自分というものを確立していくんですよ。


 ただ、こと恋愛になるとバカになって幼児がえりしやすく、男性は女に甘えますよね。
みんなお母さんのことはぞんざいに扱うじゃないですか「いいじゃん、俺のこと分かってるでしょ」ってさ。
だからお母さんになった女の扱いもぞんざい。
実際は、俺のことなんて誰も分かってないんだけどね。
それが甘えであり依存だと思うんだけど、日本はまだまだ家族主義だから「お母さんとボク」という関係になりやすい。

男女での経済的な依存は
ほぼ親子関係に近い

―お母さんとして、扱われてしまうというのは身に覚えがある人が多いと思います。
女性の方はどうなんでしょう?

中村:女の人も、男の人のことをお母さんみたいにしちゃっているところがあると思うんだよね。
たとえば経済的な依存だってそうじゃない?
働かないで食わしてもらおうとか、それって親子関係ですよ。


 お互いに相手の子供になっちゃうんだよね。
でもそれが悪いとは私は思わないの。
相手が嫌がっていたら、それはヒビが入るけど、男の人が女の人を母親扱いするにしても、それがうれしい女の人もいるわけじゃない?
甘えられても「もう、子供なんだからー」とか言いながら、そういうところもかわいいって思える女の人だったら上手くやっていけるんだから。
依存が悪いんじゃなくて、その依存をいかに共有できるかってところが、恋愛における依存の課題なんだと思うんですよ。

 時間とともに関係性は変わっていくので、ある時相手の依存の共有が外れていたりする。
常に甘えすぎてしまうと、その移り変わりが見えなくなるから、距離感を見計らうことは必要ですね。

 でも、女だって男だって、子供になって、100%分かってくれて、100%受け入れてくれて、それで自分は何もしなくてもよければ、本当に楽だよね。
具体的にいえば、ごはんを出してくれるとか、養ってくれるとか。
そういう風に面倒をみてくれる人がいたらいいなあ、という気持ちは誰しもあると思うのね。

 うちも、夫との間には、お互いの母親役をするところがあるなと思うわけですよ。
うちの夫はゲイなので、すごくお母さんぽいところがあるの。でもゲイの人って、マツコ・デラックスとかもそうだけど、肝っ玉母さんみたいな「ちょっと厳しいことも言うけど、あんたのことを見守っているわよ」というところがあるよね。

オカマには甘えられる女性

中村うさぎ AM インタビュー
©AM編集部

―そうですね。そういう存在を女性は欲しているところがありますね。

中村:女性が、オカマの人と友達になりやすくて、いい関係が作れるのは、甘えられるからなんですよ。
男に甘えない人もオカマには結構甘えられたりするので。

 一方で私のほうが、そんな母性的な夫よりも10個年上だから、面倒みたり心配して“やったり”もして。
“やったり”だって……まあ、心配して“やったり”ですよ。
心の底から心配してなくても、心配しているふりをしたりね、それがうれしかったりするじゃない。
そこまで心配するほどのことじゃないと分かっていても、「大丈夫なの?」って言ってもらえたら、ちょっとうれしいよね。

 自分が相手の母親になり、相手も自分の母親になってくれる。
そういう母親ごっこをやる感じで、恋愛相手と、あるいは結婚相手との関係性をつくるのはアリだと思うんですよね。

擬似親子関係を作ることができれば
本当にいいパートナーになれるかもしれない

―お互いにお互いの母親になるというのは、理想的ですね。
常に仕事のような人間関係だったらとても辛いので。

中村:だって、みんなどこかで息抜きしたいでしょ。
つまり甘えの効用は、本人のガス抜きになるってことですよね。
本人が安心してワガママを言えたり、素の自分を見せられたり、緊張しないで済む相手はやっぱり人生において最低一人は必要なんですよね。
子供のころはそれが親だったんだけど、ある時期から親は他人になってしまったり、死んじゃったりもするし、いつかはいなくなる。
だから親の代わりに、そういう擬似親子関係みたいなものを、お互いの共有意識のもとにつくりあげることができれば、それは本当にいいパートナーになれるかもしれない。
そうなった場合、それは、もう恋愛じゃなくなってるね(笑)。

 恋愛結婚はもちろんいいと思う。
恋愛中からどんなお母さんになってもらえるのかという共有認識を確立していって、親役をお互いにできる関係を育てていけば、結婚した後に上手くパートナーになりやすいんじゃないかな。
結局みんなお母さんが欲しいんだよね。

お互いにたまに相手の100%を
受け止めあいましょう

─親役ができない人と長く続けるのはしんどそうだな、と最近よく思います。

中村:でもこれ、相互性がないとまたダメなんですけどね。
やっぱり一方的に、どっちかがどっちかの親役になると、負担が大きいので、本当にいやになるから(笑)。

 それはやっぱり、男の人にも甘える一方じゃなくて「あなたもお母さんにならなきゃダメなのよ」ってことを分かってほしいんだけど、言葉で言っても分からない男は本当に分からないよね。
人によっては「え? なにそれ? 俺、オンナじゃねえし」ってことを本気で言ったりするから! 「いや、メタファーですよ」みたいな(笑)。
まあ賢い男だったら理解できるし、あと頭はよくなくても勘のいい男だったら、言葉で教えなくたって、たぶん体感で自然に体得してくれると思うんだよね。
両方できない男っていうのが一番困るんだけど、結構多い。

─たしかに、女性もやっぱり親役を求めているんですね。

中村:そうですね、どうしても母性という言葉は「女」。
性別的に決まっているから、男に母性なんてなくていいでしょ、みたいに思っているけど、そんなことないです。
女の子だって、お母さんほしいですから。

膝で甘えたい、みたいなね。もう、今日は泣かしてくれ! という日もあるかもしれないしね。

 でも、毎日毎日「私を100%を受け止めて」っていうのは図々しいと思うのよ。
だから、「たまに100%受け入れてくれ。その代わり、お前の100%を受け止めてやるから」
みたいな関係がつくれたらいいですよね。

中村うさぎ
1958年生まれ。福岡県出身。同志社大学英文科卒業後、OL、コピーライター、ゲーム誌のライターを経て、1991年にライトノベル作家としてデビュー。『ゴクドーくん漫遊記』がベストセラーになる。
その後、自身の壮絶な買い物依存症を赤裸々に綴ったエッセイシリーズで大ブレイク。
以降も、ホストクラブ通い、美容整形、デリヘル嬢体験を通じた、女の生き方や女の自意識に関する著述で多くの支持を集め続ける。

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