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  • 2013.06.03

甘え下手な優等生キャラは得しないが男に縁がない訳ではない(1)

 今回は、小説家・コラムニストの中村うさぎさんに、ご自身の体験を踏まえて、「依存と甘え」についてのお話を伺いました。
第一回は、「甘え」とは一体どんなことかを解き明かしていただいています。
うまく甘えられない優等生タイプのあなた、ぜひ読んでみてください。

甘えるからって別にモテる訳じゃない
甘えはテクニックではなく気心が知れているかどうか

中村うさぎ 甘えと依存 AM インタビュー
©AM編集部

―男性には甘えた方がモテるとはいいますが、甘えられない女性の方が多いと思います。
一体甘えとはなんだと思いますか? 媚びとはどう違いますか?

中村うさぎさん(以下敬称略):そもそも、媚びは相手に気に入られるためで、甘えは自分の都合を相手に受け入れてもらおうとすること
だから、その二つはまず目的が全然違いますね。

 甘えは、心が通じ合っていることを前提として、初めて成立するんですよ。
その「通じ合ってるよね」という確認がとれないまま甘えると、ただの図々しい人になってしまいますよね。

 男女間だけではなく、職場でも、自分では気心が知れているつもりの相手に「この仕事代わりにお願い」って頼んだら、実は向こうは全然そう思っていなくて「あの人図々しい」と影で言われてしまうとか。

 結局甘えを受け入れてもらえるかどうかというのは、「私とあなたの間に垣根はない」と思い合えているかが一番の課題だと思うんです。
だから、甘えをテクニックとして使おうとするのはものすごく難しいと思います。
甘えるのが下手な人は、その距離感が不安なんですよ。
だから、「こんなこと言ったら図々しいと思われちゃうんじゃないか」とか、あらゆる遠慮が発生して、甘えることがものすごく苦痛になってくる。

 相手が自分と気心が知れている、または気心が知れた関係になりたいと思っている場合のみ甘えられるんです。
だから、甘えたほうがモテるとは一概に言えないんじゃないかな。
己を知らずに甘えるとただの図々しい人になってしまうだろうし。

甘えられない大人の女がうまく甘えるコツ            

中村うさぎ 甘えと依存 AM インタビュー
©AM編集部

―そうですね。それでは、どうやったら大人の女性が上手く甘えられると思いますか?
そもそも甘える必要はありますか?

中村:ここはなかなか私には分からないですね。
というのも、私自身が甘えるのが得意な方ではないんです。
その人にどこまで言っていいのかを常に気にしてしまって、そこで甘えるぐらいだったら自分でやっちゃえって思ってしまうので。

―その気持ちが分かる女子は多いと思います。

中村:めんどくさくなるんですよね。
「甘える」のも気を使う人にとっては負担なので。
だったら、1人でさっさとやってしまうと。
大人の女になるほど甘えられないというのはそういうことだと思うんだよね。
若いときはあまり距離感だとか考えないから。

 だから、何とか大人の女の人が上手く甘えられるコツを提案するとしたら、まず相手が甘えてもらいたがっているかどうかを見極める必要がありますね。
そもそも相手が甘えてもらいたがってなければ、無理に甘える必要はないですから。
分かりやすい男の人で、自分に好意を持っていたり、「何でも僕を頼りにしてね」とか言いたがる人だったりしたら、甘えた方がいいだろうし。

 とはいえ、わかりづらい男の人が多いから、私だったら「甘えちゃっていいかな」と直接聞いてしまうかもしれないですね。
大抵「いいよ」と言われるんですけど、もしもそこで「ダメ」って言われたら相当嫌われていると思うし(笑)。

「甘えて得しているように見える女は
影で失敗しているんだよ」

―あと、どうしても、甘えて得している女の人が多い気がしてしまうんですけど。

中村:その人はちゃっかりしているんだと思うんですよね。
同性から見て「得してる」と思うのは一部の成功例で、意外と影でたくさん失敗しているのかもしれない。
でも、そんなことは人に話さないだろうし、失敗は人の目に着かないよう隠蔽されるからね。

―たしかに失敗も多いのかもしれません。

中村:私の知り合いにも上手下手は置いておいて、すぐ甘える女の人がいて。
でも、そういう人って女性にも甘えている。
男子にだけ甘えているんだったらテクニックだと思うんだけど、男女問わず甘えている人は天然なんだよね。

 それにその内容も、「それ頼むの?」ってことなんですよ。
私がびっくりしたのは、服とかアクセサリーとかちょっとかわいい物を私が持っていたときに、「かわいい! 要らなくなったら頂戴」とか言うこと。
要らなくなっても、何でお前にあげなくちゃいけないんだよ!(笑)

―どんな心理なんでしょう。得したいんでしょうか?

中村:おそらく得したいというのと、かわいがられたがりなんでしょうね。妹でいたい、というような。
いつも皆にくっついていて、リーダーシップは決して取らないんだけど、気がついたらこっちがいろいろやらされててる。
「なんで、いつも私が幹事なの?」みたいな。
それで、かわいがられたいのに同性に嫌われてしまったり。
私はそういう子に結構冷たいので、その子にとっては「中村に甘えてはいけない」という失敗体験だよね。

―そういう人は目指そうとしてなるものではないんでしょうか。

中村:そうだね、根っからの甘えん坊の人は天然なので意識してなれるものではないと思うんだよね。
もしも、絶対に失敗しない百発百中の甘え方があるとしたら、一大条件があって。
それはかわいいこと(笑)。
同じことをしてもかわいい子とかわいくない子では男の受け取り方が180度違うので。

「甘えられない」と言っている女は
そもそも「甘える」ことに向いてない

―胸が痛いです(笑)。

中村:本当に胸が痛いんですが、容姿やキャラが男から見てかわいいタイプは甘えのテクニックを駆使すればお得だと思うんだけど、そうでないタイプがムリして駆使しようとしても成功しないと思うんだよね。

 そもそも「自分は人に甘えるのが苦手だけど、甘える女子は得しているから甘えスキルを身につけたい」と思っているとしたら、苦手だと思っている時点で甘えることに向いてないから。
モテるテクニックを使える人は、苦手じゃないんですよ。
そんな私が好き、ぐらいの勢いなの。

だから「苦手だけど、スキルを見につけたいです」という相談には、「すでに向いていません」というのが答えです(笑)。

 そういう人は甘えじゃなくて、別の方法で男の人と上手くお付き合いした方がいい。
でも、男の人は自分が強い立場になったり、何かをしてあげたりすることで、女の子の斜め上ぐらいにいられるとテンションが上がるので、甘えられることでテンションがあがる男の人も多いと思うのね。
だから甘えるのが下手だったら、違う形で男を斜め上に置いといてやればいいんじゃないかな。
褒め上手になったり、さすがスゴイね! と立て上手になったり。

 甘えは失敗するリスクが高いけど、褒めはあまり失敗しないから。
甘えるのは、スキルと甘えられる距離感かどうかという前提の部分で難しいと思いますね。

―どうしても苦手なのに無理をして甘えようとするよりは、違う方法を探したほうが心を落ち着けて過ごせそうですね。

中村:恋愛において何かを無理してロクなことはないんだよね。
甘えとは少し違うんだけど、ノーといえない女性って男の人に受けがいいわけですよ。
拒絶せずに、いつでも自分を受け入れてくれると思うと男の人は嬉しくなっちゃうから。
でも受けがいいからってそれを続けてしまうと、女の人は本当に嫌な思いをすることが多々あると思うの。

 私も若いときは、曖昧な断り方していたこともあったんだけど、ある時、私がずっといい顔していても得一つもないわって思ったんだよね。
相手は傷つくかもしれないし、しばらくギクシャクするかもしれないけど、その時からはっきりガツンと断ってますね。

―ノーといえないのは一部の女性にとっては大きな問題ですよね。

中村:ノーと言えない人のほうが、媚びなんだよね。
甘える人は自分の都合は他人に押し付けるくせに、図々しいから自分の都合が悪いときは平気な顔でムリって言うんだよ。


甘え下手な優等生キャラは得をしないが
男に縁がない訳ではない

中村:本当は弱くないと思うんだけど、弱い振りをして、なんでも他人に押し付けちゃう子が甘え上手なんだろうなっていつも思う。
「私できない、苦手だからお願いします」みたいな感じで気がついたら皆がそいつの面倒を見てるみたいなね。

―あまりプライドはないということなんでしょうか。

中村:「できない」ということでプライドが傷つく精神構造ではないですね。
だから、優等生タイプではないと思う。

 優等生タイプの女の人って「できない」ということでプライドが傷つくし、カッコ悪くてできないから、「できるだけ努力をします」って答えちゃうじゃない。
だから、優等生は甘えベタだよね。

多分甘え上手の人って、劣等生ではないけど、クラスの学級委員とかリーダー格というような位置に自分を置いたことも、置かれたこともない人だよね。

―成長するにつれて甘えを身に付けたというか。

中村:そうだね。そういう人のほうが結果優等生より得はしていると思うのね。
優等生が結局ヒーロー、ヒロインになれるのってせいぜい小学生までじゃない。
中学生、高校生になったら、優等生だからって皆にスゴイねって言われるわけでもないので。
だから、違うことをしている人が自分を追い抜いて、めきめきと人気者になる。でも、それはそれで体質なので。

 私は最初からできないって言って甘える人よりは、頑張り屋さんのほうが好きなんだよね。
でも、優等生は得はしないです(笑)。

―でも、優等生は優等生でこの先頑張って行けばいいんですよね?

中村:かわいげない路線でね(笑)。
仕事とか頑張ればカッコいい路線にいけるかもしれないし。
同性に人気は出るよね。ただ、男性はかわいげがないねって思うかもですね。

 でも、大丈夫なんですよ。
男の人と優等生気質のせいで縁がないということはないので。
甘える女ばかりが男をゲットできるわけでもないですし。

さっきも甘えベタな人は男を別の方法で立ててやれって言ったけど、他の形で男の人から愛されたり、好かれたりする道は絶対にあるんですよね。
そっちを模索したほうがいいと思う。

第二回は「依存して自分を見失ってしまうことについて」お送りします。お楽しみに!

中村うさぎ
1958年生まれ。福岡県出身。同志社大学英文科卒業後、OL、コピーライター、ゲーム誌のライターを経て、1991年にライトノベル作家としてデビュー。『ゴクドーくん漫遊記』がベストセラーになる。
その後、自身の壮絶な買い物依存症を赤裸々に綴ったエッセイシリーズで大ブレイク。
以降も、ホストクラブ通い、美容整形、デリヘル嬢体験を通じた、女の生き方や女の自意識に関する著述で多くの支持を集め続ける。

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