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  • 2013.02.19

キレイになって見返してやる!「自己変革」期(3)

雨宮まみ 失恋 図 画像
失恋図 作成:雨宮まみ

第1回プロローグ:失恋後の苦しみはひとりで引き受けるしかない第2回「リフレインが叫んでる」期、合わせてお読みください。

 失恋によってドン底まで落ち込んで、毎晩酒に溺れ、Twitterに思わせぶりなポエムを書き綴り、
気の済むまでLINEで長文愚痴メールを友達に送りつけまくると、傷つき疲れ果てた心の奥底から、炎のような気持ちが芽生えてきます。

「もう、こんな自分がイヤでたまらない……!」

 毎日を暗い気持ちで過ごすのももうイヤ、ふられて敗残兵のような立場に立たされている自分もイヤ、何を見ても元彼のことを思い出してしまうこの場所、この時間、この世界のすべてがイヤになり、「脱出したい!」と強烈に思うのです。
失恋後のこの時期は、やり場のない気持ちのモヤモヤがたまりにたまっていて、その気持ちに火をつけさえすればロケット花火ばりのスピードで前に進むことができる、勢いに満ちた時期でもあります。

 では、この時期をどのように過ごせば、失恋の痛手から抜け出し、前進することができるのでしょうか。

イキオイだけで習い事を始めるのは危険

 この時期、一番強く思うことは、おそらく誰もが同じです。

「自分を変えたい!」

 ふられるような、愛されない自分がイヤだとか、ずっと落ち込んでいる弱い自分がイヤだとか、理由はさまざまですが、
私の場合、この時期によくやらかしてしまった行動は「それまでまったく興味のなかった習い事に、急に興味を示して、それを習い始める」ということでした。
始めた習い事は、ボクシングとフラメンコです。
ボクシングとフラメンコ……そう書くだけで「弱い自分にサヨナラ!」「情熱的なイイ女になって、男を振り回してやる!」という心の叫びがフキダシになって可視化されそうです。

 しかし、運動がことごとく苦手な私にイキオイ以外の原動力があるはずもなく、
ボクシングではあの左右に軽やかに動くステップそのものがまったくできず、
フラメンコでは何度やってもターンの方向を間違えるというありさまで、どちらも2ヶ月も続かずにやめてしまいました。

 ボクシングをしているときは、「サンドバッグに浮かんで消える憎いあんちくしょうの顔めがけ~叩け! 叩け! 叩け!」(※世代が違うのでわからないと思いますが、『あしたのジョー』の歌です)という快感があり、失恋の憂さを晴らすにはいいなと感じる部分がありましたし、フラメンコで「ッターン!」と床を踏みならしているときもスカッとしたので後悔はしていませんが、入学金を払ったり、使う道具を買ったりしたのにこんなに短期間で辞めてしまうのはなんとももったいない話です。

変えるなら、内面よりも見た目を!           

Nurture By rickyqi
©By tabitum

 私が習い事で失敗したのは、「内面を変えたい」という願望を習い事で叶えようとしたからだと思います。
戦える強い女、情熱的なイイ女……。
もともと自分の中にそんな要素がないのに習ってみても、それはタネの入っていない植木鉢に水をやっているようなもの。

 今まで踏み出せなかった世界へ踏み出すには、失恋はいいきっかけになりますが、私のように続ける覚悟のない習い事をするよりは、短期集中でできる「見た目の変革」をすることをおすすめします。

 交際中は、なんだかんだで相手に対して油断も出てくるし、ルックスの気合いという面ではだらけていることも多いものです。
失恋を機に、手持ちの服や髪型を見直してみたり、新規の男性といい感じになったときに、その相手を呼べる部屋かどうかインテリアを見直したりしてみると、けっこうやることがあるのに気づくはずです。

 ついでに永久脱毛とか、見せる相手がいない今だからこそできるボディの磨き上げをするのにも、最高の時期だと思います。
見た目が変わると、自分の気分もかなり変わります。
「失恋したから髪を切る」という、古式ゆかしい伝統には、「髪を切ることで気分が変わる」という生活の知恵が込められているのかもしれません。

即効性のある手段、それは「移動」

 もうひとつ、私がおすすめしたいのは「移動」です。
落ち込んで自分の部屋に閉じこもっていると、彼との思い出の品や、ビタイチ鳴らないiPhoneばかりが目について鬱々とするばかり。
「何もかも捨て去る勢いで引っ越す」というのが、本当はいちばんいいと思います。
落ち込んだ気分を変えるには、環境を変えるのがてっとり早いからです。

「そんなに簡単に引っ越せない……。契約更新したばっかりだし」という人には、旅行をすすめます。
それも一人旅。なかなか一人で行くには勇気の出ない海外とかに、このイキオイを利用して行くと、グチを言う相手もいないし、シャキッとしていないと目的地にたどりつけないので、半強制的に気分を変えることができます。

 私も、初めての一人海外は失恋がきっかけでした。
マレーシアのランカウイ島という、思いっきりハネムーンで行くようなリゾートに一人で行きました。
自然の豊かな島で、部屋にはヤモリが勝手に上がり込んでいるし、「窓を開けると、野生のサルが入ってくるので開けないで下さい」と言われるし、油断すると廊下でヘビを踏みそうになるので、失恋したからといってぼさっとしているわけにはいきません。
敵は野生……常識の通じる相手ではありません。

 ある夜、ホテルのテラスでぼっち丸出しで食事をしていたところ、ホテルの従業員の女の子が「日本語すこしはなせます」と話しかけてきてくれました。
彼女は「宇多田ヒカルが好きです。いちばん好きな歌は『First Love』です」と言って、なんとその場で宇多田ヒカルをちょっと歌ってくれたのです。

You are always gonna be my love……。

 切ない表情で歌うその子を見て、私は「失恋は世界共通なんだ!」という事実に気づきました。
失恋したのは私だけじゃない、生まれた国も人種も違うこの子も、失恋の痛みを知っている……。
「一人じゃないんだ!」「みんなこの痛みを乗り越えて、けなげに生きているんだ!」
と思うと、全人類が愛しく思えてきました。

翌日はホテルのスパでアーユルヴェーダを受けてチャクラが開き、若干スピリチュアル過剰ながら、身も心もツヤツヤになって帰国しました。

 まぁ、旅先でセンチメンタルな気持ちになって、WiFiすらない離島で、ADSL以下のスピードのホテルのPCから、日本語入力のしかたがわからずローマ字と英語が混じった怪文書のようなメールを元彼に未練がましく送りつけたりという情けない副産物もありましたが、あの旅のステキな思い出は今も色褪せていません。

「失恋したら、飛行機に乗れ」。

私が積年の失恋経験をもとにたどり着いた言葉です。
一度は信じて、ぜひ乗ってみてください。

プロフィール
雨宮まみ

雨宮まみ

ライター。九州生まれサブカル育ち。守備範囲は「セックス&自意識&女のあれこれ」。
赤裸々な半生を綴った『女子をこじらせて』(ポット出版)は全国のこじらせ女子に大きな影響を与える。
現在、「女子」を語らせたら、この人! という5人を迎えての対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)が絶賛発売中。

ツイッター:@mamiamamiya

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ライタープロフィール

雨宮まみ
ライター。九州生まれサブカル育ち。守備範囲は「セックス&自意識&女のあれこれ」

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