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  • 2013.02.04

飢えている世の中では愛のパスはまわらない(5)/二村ヒトシ×大泉りか

AV監督でありながら著書多数の二村ヒトシさんに、SM嬢の経験を持つ大泉りかさんがインタビュー。男は彼女にお母さんであることを求めているのかもしれない、けれど母性は本当に与えなければならないものですか?欲求不満の私たちの攻められたい願望への対処法を二村さんが伝授します。

 AV監督でありながら、『恋とセックスで幸せになる秘密』、『すべてはモテるためである』などの恋愛書の著作を持つ二村ヒトシさん。女性が積極的なアダルトビデオの先駆者であり、撮影現場で多くの女優の性を見つめてきた氏に今回の特集「セックスセンス」について語っていただきました。
第1回「セックスと恋の呪いにかかった女たち」第2回「セックスを餌にしても幸せにはなれない」第3回「恋愛とセックスが切り離せない理由」第4回「彼氏だとイケない女、彼女にはこんなことしないという男」も合わせてお読みください。
(インタビュアー:大泉りか)

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“ヤラれたい”のは欲求不満のせい

大泉:確かに“支配されたい”という女性、多いです。女性向けの官能小説のパターンとして、だいたい男はイケメンの俺様。で、そのドSの彼にいろいろされるっていう。女の欲望として“ヤラれたい”という願望があるのではないかなって。

二村:それは欲求不満だからですよ。責めもらってないから。
よくハプニングバーとかで「僕はSなんです」とか言ってる男はだいたいダメな男なんですけど、でも、きちんとしたSになれば男はモテますよ。
それと同じで、男もみんなM。だから女もモテたかったら女王様になればいい。確実にモテます。
女王様とM男の関係って本当に健康的なんですよ。男が女王様に恋をしていて、女王様はM男たちに愛を与えている。
よくできる女王様には母性があるからね。

まぁ、この母性という話になると、また男と女の愛の綱引きになっちゃうんですよ。
「それを求めないでよ!」と言われてしまう。

大泉:女は母性の話については敏感ですからね。
目に見えないし、あるかないかもわからないものですから。

二村:そして、「日本の男はみんなマザコンよね」って怒り始めるんです。

大泉:でも、マザコンですよね。あっ、怒ってはないですよ(笑)。
本当にそう思ってるんで。もうこれは仕方のないものだって。

二村:そう、マザコンなんです。マザコンに決まっているじゃないですか。
でも、男が女に母性を求めると、なぜ怒る女の人がいるのか。
それは、「かわいがってほしいのは私のほう」だからです。「私だって母に飢えてるんだよ!」って。

男性を肯定して愛撫することから始めよう

大泉:そもそも、母性って何だと思います?

二村:それは、相手を肯定すること、甘やかすこととは別です。
なんでもかんでもやってあげて、自分なしでは生きていけなくすることでもない。

大泉:母性にはそういう負の部分もあると思いますけどね。

二村:悪いマザコンを作る母性。でも、男の人をいい形でかわいがるのは、女の人にとって、楽しいことだと思うんだけどなぁ

大泉:ちょうど、この間、このサイトに連載している官能小説のレビューコラムで、母性について書いたんです(ファム・ファタールのススメ)。内藤みかさんという作家さんが書かれた『やわらかバスト』という作品なんですけど、そこに「愛をあげたい」ということ自体が欲望であると書かれていて。そうなるとラクですよね。女も男も満たされる。

二村:そう、愛の綱引きをしなくて済む。ちょっと理屈っぽくなっちゃうけど、さっき、セックスはコミュニケーションだと言ったけど、経済もコミュニケーションなんです。
「お金っていうのは言葉である」という経済と哲学を結びつけた考え方があって。
だからまわさないといけないんだ、と。
愛情もそうだし、お金もそうだし、パスを渡しやすい社会がいい

まず最初に、自分が人に与えられる社会のほうが上手くまわっていくんだけど、
でも、今はお金は一極集中で溜めていくほうだし、恋愛は「愛されたい」が出発点となっている

でも「愛して」あげたら、その相手は誰かを「愛する」ようになる。
その誰かは自分か別の他人かはわからないけど、とにかく人からパスを受け取ったら、誰かに渡したくなるはずなので、どっかで止まるということはない、だから愛情は与え続けたほうが自分にも戻ってくる

けれど、なかなかみんな飢えている世の中では、それが難しい。
だから、それを解決するために、女が男を愛撫するところからはじめよう……ってことを僕は伝えたいかな。


【完】
Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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