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  • 2014.02.08

22歳青年を魅了するバーのママ、色香の秘密…『甘く匂う』(前編)

「寝たいか寝たくないか」以上に深刻なとある事情

大泉りか 官能小説
by Kris Krug

 10年かそこら前。今の年齢(わたくし、今年37歳になります)になった頃には、『結婚していたいな』とか『子供もいたらいいな』だとか、あと『バイトは辞めてライター一本になっていたい』などという、ボンヤリとした未来のビジョンを抱いていました。

 結果、結婚はできたけど、子供はなし、アパート暮らしだけれど、なんとか食えている……という『世間様からはどう見られているかわからないけれど、自分的には、まぁ満足』と思えるくらいの自己実現は果たせました。
しかし一方で、その頃には予想だにしていなかった恐ろしい未来が到来し、それがいま、直視し難い現実となってわたしの肩にのしかかってきている……

 それは、この10年で10キロほど肥え太ったという事実です。

 もともと痩せているタイプであったので、服を買う時は、何も考えずにSサイズをチョイスしていましたし、乳こそ小さいなれど、ウエストのクビレはあったので、突然、ホテルに誘われても『その人と寝たいか寝たくないか』のみで判断すればよかった。
が、しかし、下腹に大量の脂肪が蓄えられた今となっては、通販で服を買おうものならウエストがキツくて着られない上に、セックスに誘われても「このみっともない下腹を見せる勇気がない……」と断わざるを得ない。
そんな、まことに生きにくい肉体へとメタモルフェーゼしてしまったわけです。

 というわけで、今回、ご紹介するのは、川奈まり子さん著『甘く匂う』(廣済堂文庫)です。

22歳の青年が心奪われたキッチンバー・ママの色香

 この作品の主人公、春人は失恋をきっかけに大学を辞め、婚約者・真奈美の実家の花屋で働く二十二歳の青年
が、その恋人の浮気が原因で、すべてを失ってしまいます。金もなければ職もない。
途方に暮れる春人を拾ってくれたのは、自宅マンションの一階にあるキッチンバー・マルコのママ、留美子でした。

大泉りか 官能小説 ファムファタール ママ 年下の彼
甘く匂う』川奈まり子・著/廣済堂文庫

 ママの留美子が、湯気の立つ皿を手に戻ってきた。
カウンターの前に立つと、本能的に春人の目は彼女の胸に吸い寄せられた。
オムレツの皿を彼の前に置くと、上質なリネンのブラウスのカフスを折り、カウンターに肘をつく。
そんなしぐさも下品にならない、知性と貫録が留美子にはあった。
年齢不詳の美熟女だ。細面の端正な顔。
きちんと結いあげた夜会巻きが、往年のフランス女優のようによく似合う。
(『甘く匂う』P37L2-6)

 そんな色香漂う熟女の留美子がベッドに入ると……後編に続きます。

【後編につづく】

Text/大泉りか

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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