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  • 2013.09.21

従順だったはずの部下がベッドで豹変!/『ゆっくり 破って』(後編)

 前編に続き、『ゆっくり 破って』のヒロインである、三十路処女の理津子とその部下・絢人のディープな関係をお送りします。


従順な部下との濃厚なロストバージン

大泉りか 官能小説 部下とのエッチ
by Dan Queiroz

 わたしが十代の頃は、二十歳になってもセックスをしていないと「ヤラハタ」とバカにされるという風潮がありました。
「処女は重い」「処女は面倒」「処女はマンコ洗ってないから臭い」などと言われ、とにかく早く初体験を済ませた者勝ち、という風潮の中、としまえんでナンパしてきた男子を相手にさっさと貫通をした16歳の夏。

 が、時は流れて21世紀から早14年。
ネットを見れば『非処女=中古』とディスられる世の中……いやいや、たぶん、わたしが若い頃も、別のコミュニティーでは清い身体である『処女』は尊ばれていたはずなのです。
ただ単に気が付かず、焦りに負けて無駄に散らしてしまっただけでしょう。

 しかし、いくら尊いからといって、いつまでも処女でいていいということではありません。
なぜならば、処女喪失が大人への通過儀礼とするならば、処女である限り、永遠に娘のままだともいえるからです。

 というわけで、前回に引き続き、女流官能作家・深志美由紀さんの描くエロティック文芸作品『ゆっくり 破って(イーストプレイ刊)をご紹介いたします。

 高校教師の厳格な父親と、心配性の母親に育てられるまま、三十路を過ぎて高齢処女となってしまった理津子。
といっても、性欲がまるでないわけではなく、幼い頃に偶然見てしまった父親所蔵のSMビデオの影響で『SM』に興味を抱いてもいた。
しかし、実際に試す勇気はなく、写真や小説を無料で読めるサイトを見て妄想に耽ることで十分に満足もしていた。
処女であることも、さほど気にしておらず、『今の自分』にほどほどに充足しているヒロイン・理津子。
しかし、ある日、とんでもない目に合ってしまうのです。

豹変した部下に襲われて…

「やめて、やめてください、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
 気づくとただそう懇願していた。お互いの立場だとか損得だとか、余計なことを考える理性的な思考回路は完全にストップしていた。ただ本能的な恐怖と、懇願と、服従。
「お願いします、なんでもしますから、ごめんなさい」
――そして欲情。
 絢人は振り上げた手を私の下半身に向けて下した。めくれあがったタイトスカートの下、ストッキングの中へ掌を差し入れる。既にショーツはぐしょぐしょに濡れていた。
「……すげぇ濡れてるじゃん。感じちゃったんですか」
 呆れ果てたような口調で、彼は私を嘲笑った。
(『ゆっくり 破って』P38L5-P39L12)

 この日をきっかけに、部下の絢人と『ご主人様』と『奴隷』の関係を結ぶこととなる理津子。
処女喪失と同時にSMというディープな世界へと足を踏み入れることとなった理津子ですが、次第に変化していきます。
ご主人様である絢人への恋情から、言いなりだった両親に反抗し、嘘をつき、家族への秘密を蓄え、娘からひとりの女へ自立するのです。

SMは大人になるために通過儀礼だった?

 恋の持つ凄まじいパワー。それを知っているからこそ、親は娘の恋を封じるのでしょう。
が、しかし、『恋』というほどの熱量を持たず、また、両親へ罪悪感も抱かないまま、バージンを失くしたわたしは、処女を失ってもまだ娘のままでした。
そんな、通過儀礼に失敗して、ひとりの女として自立するタイミングを失ったわたしが、次に出会ったのがSMでした。

 SMにハマり、両親には絶対に言えない背徳的な行為を繰り返していくうちに、気が付くとわたしは娘から大人の女へとなっていたように思えます。
SMはわたしにとって、大人になるための洗礼だったのでしょう。
ならば、それと同時に不思議とスッコーンとSMへの興味が薄れたこと……切実な必需品から、自分の性欲をあやすための嗜好品へと変化したのは自然の理かもしれません。

 さて、本編の続きに話を戻します。理津子に与えられたこの『調教』は、実は緻密に張り巡らされた罠であり、すべての始まりは十年以上も前にあったのです。
そのきっかけを知った時に理津子が取った選択とは――。
「もしかしてすぐ隣にいるかもしれない……」と思ってしまう登場人物、最後の一行まで飽きさせないスリリングなストーリー展開、そして女による女が濡れる官能描写。

 まさに大人の女のためのラブストーリーといえる一冊。秋の夜長にぜひ、ベッドの中でお楽しみください。

『ゆっくり 破って』 深志美由紀 イースト・プレス

ゆっくり 破って
著:深志美由紀
イースト・プレス

Text/大泉りか

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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