• sex
  • 2013.08.24

4度の離婚歴に裏打ちされた「条件がイイ男」の正体『愛されすぎた女』(後編)

 前編に続き、『愛されすぎた女』のヒロイン加奈が選んだ道とは―。


結婚に何を優先させるか?

大泉りか 官能小説 同級生とのエッチ
by juliet_earth

 結婚――それは、突然にして、違うステージへとあがることのできるチャンスでもあります。
裕福な男性と結婚すれば、本来、自分の力では、到底得ることのできない地位や名誉や金銭を得ることのできるのですから、「条件のイイ男と結婚したい」と願うのも当たり前のことです。

 一方で互いに好いている相手とすることが『幸せな結婚』であるという風潮もあり、かといって、それはゴールではなく、その先には『生活』が待っておりさらにそれは『人生の墓場』だとか『愛の日没』だとかヒドい喩えで語られることもある……人生の中に、結婚ほど感情や打算や現実が複雑に絡み合ったものがあるでしょうか。

 愛を貫くのが尊いだとか、愛なんて醒めるものなのだから賢くなったほうがいいだとかいくら世間が騒いでも、結局、結婚に何を優先させるかは、その人の価値観次第。
というわけで、大石圭氏の『愛されすぎた女』のヒロイン加奈が選んだのは『玉の輿』の道でした。

「できれば、ハンサムで、背が高くて、上品で優しい人がいいです」
 照れて微笑みながら加奈が言い、樫村という女が加奈の顔を冷たく一瞥したあとで、目の前に広げた書類に、『容姿端麗、上品で優しい人』とボールペンで書き付けた。彼女の容姿と同じように、冷たくてギスギスとした感じの文字だった。(中略)

「ええっと……それから……」
 加奈はさらに言葉を続けようとした。その言葉を遮るように女が口を挟んだ。
「まだほかに、相手に望むものがあるんですか?」
 冷たい目で女が加奈を見つめた。それはまるで、『金持ちと結婚したがっているさもしい女のくせに、うるさいこと言うな』と言っているかのようでさえあった。

「ええ。あります。相手の収入は少なくとも3000万円はほしいです」
 今度は微笑まず、強い口調で加奈は言った。
(『愛されすぎた女』P23L4-P24L12)

   

 結婚相談所の職員が呆れるほどに、好条件な相手を求めた加奈でしたが、なんとすぐに希望の男性が見つかります。輸入中古車販売の会社を経営する35歳の岩崎。収入はなんと1億超えの超玉の輿。しかも容姿端麗とほぼパーフェクトなスペックの持ち主です。
唯一気になる点はというと、離婚歴が4回あるという点。が、加奈にとっては、そんなものは取るに足りぬこと。
そして高級ホテルのイタリアンダイニングでのゴージャスな初デートで婚約を交わし、わずかひと月後には、入籍、バリ島で結婚式をあげることとなるのです。

 ファーストクラスの飛行機、最高級リゾートホテルでのウエディングと新婚旅行。誰もが羨む新しい門出のはずでした。が、やはり4回の離婚歴には理由があったのです。
それは、岩崎の過剰なまでの束縛と、支配的かつ、サディスティックなセックスにありました。

「加奈、これから少し乱暴なことをするよ」
 男が言った。「いいね? 少し辛いかもしれないけど、耐えるんだよ。それが僕への愛の証だよ」

 直後に、男の手が加奈の髪を痛いほど強く鷲摑みにした。
 えっ? 愛の証って……何するの?
 加奈がそう思った瞬間、男が腕に力を入れた。そして、口いっぱいに男性器を含んでいる加奈の顔を、さらに早く、さらに激しく上下に打ち振らせ始めた。

「うっ……むっ……ぐっ……」
 硬直した男性器に喉を突き上げられ、加奈は思わず噎せて、顔を上げようとした。けれど、男はそれを許さなかった。それどころか、一段と激しく、一段と荒々しく、口の中に男性器を突き入れたのだ。(中略)

 拷問にも似たその時間が、いったいどれくらい続いたのだろう? やがて、男は低く呻くと、加奈の髪を抜けるほど強く掴んだ。そして、全身を震わせ、男性器を痙攣させながら大量の体液を放出した。
 男が髪を摑んでいた手を離し、加奈は精液を口に含んだまま男の股間から顔を上げた。そして、涙の浮かんだ目で、すぐ頭上にあった男の顔をじっと見つめた。

「飲みなさい」
 加奈を見つけて男が言った。「それが僕への愛の証しだよ」
 精液を飲み下した経験がないわけではなかった。けれど、加奈はそれが好きではなかった。できることなら吐き出して、すぐにでもうがいをしたかった。
 だが、『愛の証し』だと言われれば、ほかに選択肢はなかった。
(『愛されすぎた女』P133L8-P136L15)

『愛すること』と『支配すること』がイコールになっている岩崎との結婚生活に、次第に嫌気を感じるようになる加奈。そして物語は衝撃のクライマックスを迎えます。
いったい加奈がどうなるのかは、本編でお楽しみいただくとして、わたしと『許せていない元彼』が迎えたクライマックスは以下です。


束縛は「あなたへの愛」ではない

 5年程度の交際期間を経て、互いの親族に見守られての挙式、友人を招いての披露パーティー……をしたところで、ふと目覚め、入籍せずにそれから三か月足らずで別離しました。
土壇場でひっくり返したのはわたしなので、『傷ついたのは彼のほう』であるはずなのに、今だ許せていない。何が許せていないのかというと、そんな元彼の言うことを聞いて、彼からの愛と引き換えに、自分の人生を受け渡そうとした自分がまだ許せないでいるのです。

 ただ今、心から言えることは、別れてよかった、ということだけ。
もしもあなたが彼氏の束縛に悩んでいるならば、すぐに別れたほうがいいですよ。束縛は『あなたへの愛』などではなく『彼の性質』。あなたがいくら、『愛の証し』を見せても、束縛されなくなることはありません。


Text/大泉りか

Twitter、FacebookでAMのこぼれ話をチェック!

読者アンケート

AMではより楽しく役に立つサイトを目指すため、読者アンケートを実施しております。
本アンケートにご協力お願いします。
アンケートはこちら

あわせて読みたい

8月特集
SEX新連載

関連キーワード

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

今月の特集

AMのこぼれ話