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  • 2013.07.08

自分で縛ることにハマって…人に言えない性癖の話『自縄自縛の私』(前編)

第10回:蛭田亜紗子・著『自縄自縛の私』(前編)
自縛好き主人公が追い求めたエロス

大泉りか 官能小説
Mikamatto


 女子会での定番トークといえば、恋愛話。
彼氏のセックスの不満や、最近デートした男のベッドテクの感想などなど、少々えげつない話で盛り上がることも少なくはありませんが、常々、なぜこの話題は出ないのだろう……と不思議に思っていることがあります。
それは『性癖の話』です。

 もちろんのこと、「ちょっとM」だとか、「わたし痴女っぽいから」くらいの性癖の話ならば、軽~く話題に出ることはあります。
が、「ハプバーに通い詰めて複数プレイにハマっている」「アナルバイブを挿したまま電車に乗るのが夢」などという深刻な告白はあまり聞きません。

 彼氏のノロケ話や愚痴の延長であるセックストークは出来ても、自らの性癖を口にするのは、まだまだ抵抗がある。
性癖を満たしてこそ、あなたの快感は叶うというのに、そこに蓋をしてしまうのは、照れ、羞恥、嗜みから「人様に言うことではない」と考えてしまうからでしょうか。 けれども性癖こそセックスの最後の砦でもあるのです。

 というわけで、今回紹介するのは、『女による女のためのR-18文学賞』にも輝き、映画化もされた(シネマレビューはこちら)蛭田亜紗子さんの『自縄自縛の私』。

 この作品のヒロインである「私」もまた、誰にも言えない性癖を持て余しています。

緊縛の魅力に惹かれた主人公と
ネットで出会った自縛好き女装家

大泉りか 官能小説
自縄自縛の私』/著・蛭田亜紗子/新潮社刊


今日の趣向はもう決めていた。
 麻縄二本――これはすでに処理済みのものだ――とボールギャグとアイマスクをクローゼットの奥のボックスから取り出す。カッターナイフの刃を剥き出しにしてテーブルに置き、テープで固定する。ちょうど刃がテーブルのはしから飛び出るような状態で。ここまでが下準備。

 私はボールギャグ――猿轡の一種だ――のピンポン球の部分を咥え、頭の後ろで留め具をひっかける。アイマスクで目蓋を覆う。

 麻縄を乳房の上と下にまわして締めつけたあと、みぞおちを縛り、股間にとおして留め縄を引き絞る。もう一本の縄で正座した脚にも縄をかける。(中略)
はじめのころとは違って、いまは手首だって上手に縛ることができる。しかも、決してほどけないようなやり方で。最低限の逃げ場だけは絶対に必要ではあるものの、いつのまにか自分を追いつめるような縛りかたでないと満足できなくなっていた。
(『自縄自縛の私』P12L16-P13L11)


 ひまを持て余していた大学生の頃、インターネットのサイトを見ながら、自分の身体を縛ったのをきっかけに、縄さえあれば生きていける(『自縄自縛の私』P14L12)と思うまでに、縛りの魅力に憑りつかれてしまった「私」。
もしも、その特殊な性癖を、恋人にもわかってもらえたなら、カップルでの緊縛プレイを分かち合うことができたかもしれません。
しかし、不幸なことに理解を得ることはできず、それ以後、諦めでもって、自縛の道へと突き進んでいきます。

 が、誰にも言えないこの性癖に、たったひとりだけ理解を示してくれる男性がいました。
インターネットで知り合ったWという男性。彼もまた、女装自縛愛好家。

 フツーのOLが緊縛の味を知り、女装かつ自縛好きというマニア紳士と出会えるインターネットすごいとしか言いようがありません。

【後編に続く】

Text/大泉りか

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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